シビれるしかない!芸人が撮る芸人の芸と“芸ごと”の映画『浅草キッド』【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】
こんにちは、黒田勇樹です。
現在、三栄町LIVE×大山劇団『STAND BY ME』が絶賛上映中です。
ふと気づいたら今年ももう10日を切っているんですね。こんな時まで演劇ができているのはとても幸せなことのような気がします。
26日までやっていますので、ご興味のある方はぜひ。
さあ今週も始めましょう。
シビれるしかない!芸人が撮る芸人の芸と“芸ごと”の映画『浅草キッド』。
「ネット配信限定の“映画”」
え、あ、いや、スクリーンにかけないで「映画」ってドラマと何が違うんですか?
「何話かにかけて連続していればドラマ?」「1本で完結していれば映画なら、単発の2時間ドラマはどうなるの?」
筆者が今いる演劇畑も「コントって言っちゃえばコントだし、演劇って言っちゃえば演劇」みたいに思っている人の多い“芸ごと”の世界。
もはや、ジャンルなんぞ「個人が勝手に決めればいい」と思っているのですが、唯一ゆずれないのが「芸」という言葉のカテゴライズ。
僕は一応
「10年以上やってきたこと」
「1000回練習したこと」
「今、命を懸けてやること」
このどれかじゃなければ「芸」ではないと思っています。
だから、若いうちは命かけて1000回練習するしかないんですよね。
そんな「芸」の神様「ビートたけし」さんの半生をご本人の原作をもとに描いた、劇団ひとりさん脚本監督の“ネットフリックス限定映画”『浅草キッド』。
確かに「映画」でした!「演劇は“瞬間”、映画は“永遠”」
未来永劫「芸人の生き様」をフィルム(まぁ、正確にはデータなんでしょうがカッコつけてこういわせて下さい)に、焼き付けた傑作でした。
前半、漫才のネタもタップダンスのステップも、ひたすら同じものが繰り返されるのですが、
「そうそう、それが“芸”だよね」という描かれ方。
ストリップ劇場が舞台なのでストリッパーさんのステージも描写されるのですが、ここも“最近よく見かける”「なんかスタッフがお気に入りの可愛い子に適当にやらせました」的なキャスティングではなく、えっちな描写もなく、ただひたすら美しい“芸”として映し出されていることに感動。
柳楽君の「ビートたけし役」にはじまり、エンドロールに出てくる、最後の「(声)」の人まで、全てが“芸”で構成された素晴らしい作品でした。
あと、もうひとつだけ個人的な感動ポイント!
キッズリターンとか「たけしさんの映画に“モップ”がいっぱい出てくる」謎が解けたのは、そこをきちんと描いた劇団さんの演出含めめちゃくちゃ胸に刺さりました。