ストリートピアノ系ユーチューバーが実は気にしていること「順番待ちをしてなくても弾きたい人がいるかも」
音高・音大卒、普段は演奏から作編曲、音響まで手掛ける音楽のプロ
駅や施設の中といった公共の場所に置かれ、ルールを守れば誰でも弾くことができるストリートピアノ。かつては珍しかった“ストピ”の存在も今や広く認知され、多くの人が気軽に楽しむようになっている。そんなストピ文化を盛り上げるのが、いま話題のストリートピアノ系ユーチューバーたち。素晴らしい演奏をネットで気軽に、ときには生で聞けるとあって人気は上々。中には200万人近いチャンネル登録者を誇るユーチューバーも。普段はプロの音楽家として活動する人も少なくない。彼らがユーチューバーになったいきさつは? 実は多くのストピ系ユーチューバーが気にかけているというストリートピアノの流儀とは?
話を聞いたのはストリートピアノ系ユーチューバー〈ばたばたピアノ〉としても活動している川端宙輝(かわばた ひろき)さん。ここ、羽田空港第2ターミナルにある「メルセデス ミー 羽田エアポート」のストリートピアノは“シゲル カワイ”シリーズのSK-7という最高級グランドピアノとあって、よく演奏に来るという。ピアノの素晴らしさだけでなく、設置部分に敷かれた床板や、キャスターの向きが内向きにそろえられていることなど、ピアノの良さを損なわず騒音防止対策がなされているストリートピアノであることも説明してくれた。
「普段はフリーランスで音楽関係の仕事をしているんです。ピアノ演奏の仕事のほかにも、ポップス音楽のキーボーディストや作編曲、あとはレコーディングエンジニアや音響エンジニアなどもしています」
音楽系の高校・大学出身の筋金入りのプロ。そんな川端さんがストリートピアノ、そしてYouTubeを始めたいきさつとは。
「2019年の秋ごろ、地元に設置されたものをたまたま通りがかって目にするまで、実はストリートピアノを弾いたことなかったんです。誰もいないし少し弾いてみようかなと思って弾いてみたんですが、最初は“本当に弾いていいのかな? 怒られたりしないかな”ってオドオドしていましたね(笑)。でもそのとき、いろいろな弾き手の方と話せて、ストリートピアノがなかったら出会わなかったであろう人たちとのつながりが楽しくてハマってしまって。そんな出会いから連弾ユニット〈ももばた〉を結成したところ、YouTubeにアップしないのかと聞かれることが増え、それならやってみようかと始めたんです」
ピアノ系ユーチューバーといっても人それぞれ、と川端さん。
「もちろん僕もユーチューバーとしても成功したいですよ(笑)。でも僕の場合は、いろいろな形で音楽に携わっていたいということが前提にあって、ユーチューバーはその1つ。ストリートピアノで出会った人と仕事でつながることも少なくないですし、YouTubeを通してファンになってくださったりライブを聞きに来てくださる方もいます。本音はやっぱり、生の音を聞いてもらいたいという思いがあるので、そのための手段の一つであったりもします。とはいえ、ソロで舞台の中心になるのはあまり慣れていなくて、演奏中にすごく多くの方に集まっていただいているのに気づいて、途端に緊張してしまうこともよくあります。足を止めてしまってすみません!って(笑)」