3秒ルールがここにも!? 高校生が発案したあるものとは
面接で第一印象を判断されるとき、食べ物を落として拾うとき、都市伝説か真実かは定かではないが、世の中にはいくつもの「3秒ルール」が存在する。そんな「3秒ルール」が“あるもの”にも使われ始めた。
埼玉県にある早稲田大学本庄高等学院で3月24日、その「3秒ルール」をとり入れたリサイクルボックスがお披露目された。その名も「3秒チャレンジリサイクルボックス」。同校の生徒が発案し、1~3年生の生徒有志が100日以上もかけて完成させたものだ。
リサイクルボックスとは、飲み物の自動販売機の横に設置されていてる空容器の回収ボックスだ。異物が混じっているとリサイクルに支障をきたす場合もあるという。それにも関わらず、回収日を待てなくなった家庭ごみや、分別方法が分からないものが投棄されていたりするのを目にしたことがある人も多いはずだ。
資源として繰り返し循環させるためには、家庭と同じように、ちゃんと分別することが大事。そんなことは分かっているけれど、どうせやるなら、楽しくできたほうがいい。そう思った同校の生徒たちが、3秒というルール設定によって、この課題を解決しようと試みたのだ。
「3秒チャレンジリサイクルボックス」の仕組みは、こうだ。ボックスには、キャップの投入口と、ボトル胴体の投入口、加えて通常のリサイクルボックスでは見られない。秒数が表示される電光掲示板的なものが備えつけられている。キャップを投入すると、カウントが開始。その間、秒数は表示されない。自身の感覚で3秒を測る。1,2,3・・・! 3秒と同時にボトル胴体部分を投入口に通過させると、カウントが停止。3.00秒ちょうどなら、お祝いの音楽が流れ、ちょうどでなければ「おしい!」などと言った掛け声が流れる。
アイデア発案者は3年生の長谷川さん。当初からゲーム性をとり入れたいと考えていたが、思い浮かんだのは“時間ルール”だった。そこに着目した理由をこう語る。「最寄駅から高校行きのバスに乗り遅れたら、1時間も歩くことになる。ここの生徒は時間にシビアなんです」。3秒という時間設定にしたのは「5秒だと周りの目が恥ずかしいから」と、笑いながら語る。高校生の心理をついた絶妙な時間設定というわけだ。
アイデアのきっかけとなったのは、サントリーによる出張授業。同社は「2030年までに全世界で使用するすべてのペットボトルに、リサイクル素材あるいは植物由来素材のみを使用し、化石由来原料の新規使用をゼロにする」ことを目標に掲げている。その実現に向け、教育機関や自治体、民間企業などに出向いて、資源循環や分別の重要性を伝え続けている。
ペットボトルは、繰り返し循環する資源。サントリーによる出張授業の中で、そのような気付きを得た生徒有志が“飽きられずに長く使ってもらえるようなリサイクルボックス”の実現に挑戦した。
長谷川さんは完成したリサイクルボックスに手をやりながら、こう語った。「3秒ルールがなくても、資源を次に生かしていく行動が当たり前になっていけばいいな」。4月からは大学生になる。母校への感謝と、後輩への願いを乗せた、置き土産となった。