『ぐるり東京 江戸散歩』に出演中の女優・森マリアが語る江戸の魅力

 女優の森マリアが現代に残る「お江戸文化」を紹介する『ぐるり東京 江戸散歩』が4月2日からTOKYO MXで放送している。番組で森は“お散歩娘”となり、毎回迎えるゲストと共に、江戸時代からの伝統を守る職人を訪ねたり、江戸時代から続く旧跡や風景を巡ったりしながら、現代に残る「お江戸」文化を体感している。番組について、そしてこれからの女優活動について、森に話を聞いた。

森マリア

 森さんは兵庫県出身の22歳。東京に来たのはいつ?

「兵庫県の神戸出身なんですが、高校を卒業して大学の入学に合わせて上京してきたので今年で5年目になります」

 では東京にはどういうイメージを?

「最初はやっぱり、怖い場所というイメージでした(笑)。何があるか分からない大人の世界だと思っていました。人がたくさんいるし、電車も路線がたくさんある。神戸のように誰かしら知り合いがいるかもしれないというところで生活していたので、誰も知らない人ばかりというのがちょっと怖かったです。でも東京は“夢を叶える場所”と聞いていたので、私も夢をかなえるために志を持って東京にやってきました」

 ではこれまで「江戸」というワードは接することのないワードだったのでは?

「歴史の授業くらいでしか接することはなかったですよね。でも“江戸”とか“江戸時代”というのは、現代とはまた違った、すごい不思議な世界だったのかなという思いは漠然とありました。私はアニメが好きなんですが、アニメとか漫画で見る江戸時代って、今とは別世界のような活気があって素敵なイメージがあったので、とても興味がありました」

 ではさまざまな形で「江戸」に接することでイメージや印象は変わりました?

「江戸とか江戸時代ってはるか昔のこと過ぎて、実際に存在しないんじゃないか?ってくらい遠くに感じていたんですが、実際に江戸の文化だったり魅力というものが残っていて、私の中にも実際に江戸時代の名残というものはあるんだなということを感じました。全然知らないこともたくさんあったんですが、そういう今ではあまり見かけない江戸の文化だったりを新たに発見する、昔あったことをもう一度発見するというのは日本人としてうれしいことだなと思いました」

 私の中に?

「例えば食文化とかですね。当時の江戸の人も好きだったものが今の私も好きだったりとか。お蕎麦とかてんぷらとか鰻とか。食文化は分かりやすいんじゃないかと思います」

 

  蕎麦は関東と関西の食文化の違いを語る際によく例に挙げられますね。

「全然味が違いますね。関西にいたころは私は完全にうどん派だったんですけど、こちらにきてお蕎麦をよく食べるようになってから蕎麦派になりつつあります。こちらのお蕎麦はガツンと醤油が利いていて、お蕎麦の香りが余計に引き立っているように思います。そういうのは関西ではなかなかないですね。あとは蕎麦前の歴史とか。お蕎麦の前に蕎麦前が出てきて、それを楽しみながら、最後にお蕎麦をお酒のあてにするというのは関西では見かけないので、いい文化だなと思いました」

 言葉遣いも大きく違いそう。これまでの散歩の中でいわゆる“江戸っ子”といった方と会ったことは?

「あります。老舗の大将とか職人さんとか。寡黙そうなのに喋ってみると、結構洒落の利いたことを言って下さったりとか。江戸の言葉というのはまだそんなに勉強したことはないんですが、よく見かける江戸の言葉だったり歌だったり、江戸時代の方々は洒落とかユーモアがあふれていて、日常の中に面白さが散りばめられているんだなと感じています」

 江戸時代の人物で頭に浮かぶ人はいますか?

「江戸時代で好きなのは新選組で、歴史上の人物の中では沖田総司さんがカッコいいなと思っています。中学生くらいの時に新選組をモチーフにした携帯小説が流行ったんですが、それをきっかけに新選組を知って、興味を持つようになりました。“こんな面白い集団があったんだ”と新選組を知りたくなって、それから中学生の時に新選組にまつわる本とかを読んだりして勉強したことがあります」

 面白い集団とは?

「新選組という組織があったことは知っていたんですが、その一人一人に個性があるし、江戸時代後期で歴史がすごく動いていた時代に活躍していた人たちということで、詳しいことを知れば知るほど、その歴史だったり話の面白さが当時の中学生の私には新鮮で興味がわきました」

 江戸時代のもので興味のあるジャンルはありますか?

「大学時代は芸術学科に通っていたんですが、歴史的建造物とか絵、浮世絵や水墨画とか昔の芸術にすごく興味があります。上野の美術館や博物館ではたまに特別展をやっていますので見に行きますし、直接お寺や神社に出向くこともあります」

 では東京の中で好きな場所ってありますか?

「好きな場所は浅草です。お寺もあるし神社もあるし、昔ながらの下町が残っていますし。歴史とは離れてしまいますが、個人的にはホッピー通りが好きなんです(笑)。ホッピー通りの雰囲気、オジサンたちが日曜日に競馬の話題とかで盛り上がっているみたいな姿を見るとほっこりするので(笑)。コロナで行けてないんですが、一度行ったことがあって“ああ、東京にもまだこんないいところがあるんだな”と思いました(笑)」

 浅草はすべてにおいて味がありますよね。

「神戸にはああいう“下町”といった感じのところはあまりないので、神戸出身の私からしたら、テーマパークみたいなくらい面白いです」

 花やしきにはもう行きました?

「ロケで初めて行きました。ジェットコースターは苦手なんですが、花やしきのはぎりぎり乗れました(笑)」

 4月2日から新番組『ぐるり東京 江戸散歩』の放送が始まっています。

「私がリポーターで、ホーリーさん(堀口茉純)がナレーションを担当しています。若いからこそ感じる江戸の魅力だったり、東京出身じゃないからこそ気づける東京の魅力というものをしっかり届けていきたいと思います」

 番組は「江戸時代の遊び」「徳川家康にまつわるもの」といったテーマで各所を回るが、今後はちょっと怖いスポットに行く可能性も?

「回るかもしれないですね。怖いのはちょっと苦手なんですが、そういう時は塩を持って行きます(笑)」

 6月3日に公開される映画『太陽とボレロ』では交響楽団のヴァイオリン奏者・宮園あかりという重要な役どころで出演しています。

「映画への出演自体が初めてでした。今はSNSとかで“森マリアはいったい誰なんだ?”といわれることが多いんですが(笑)。今年からはちゃんと“女優・森マリア”としてみんなに知っていただけるように頑張りたいなと思います」

 女優活動をするにあたり、『ぐるり東京 江戸散歩』への出演はかなりプラスになるのでは?

「いろいろな人と接したり、話すことって芝居の勉強になるし、ロケを進める中で演技力が必要な時もあります。視聴者の皆さんに向けてその魅力を伝えるというのは、芝居や女優というお仕事にとっても役に立つと思っています。それに個性あふれる職人さんのような方にお会いするのは、めちゃくちゃ勉強になります。以前、茶道の体験をしたことがあるんですが、その時も所作がとても美しくて、できるだけその所作をまねできるようにやったりしていました」

『ぐるり東京 江戸散歩』は毎週土曜の11時30分からTOKYO MX1で放送中。東京には長く住んでいても知らないことは意外に多く、新たな発見がありそう。