ラジオって、難しい。叩かれまくった『シン・ラジオ』で感じた可能性〈徳井健太の菩薩目線 第134回〉
“サイコ”の異名を持つ平成ノブシコブシ・徳井健太が、世の中のあらゆる事象を生温かい目で見通す連載企画「徳井健太の菩薩目線」。第134回目は、『シン・ラジオ』について、独自の梵鐘を鳴らす――。
ラジオって、難しい。
bayfmで毎週月曜日から金曜日の夕方に放送されているラジオの帯番組『シン・ラジオ -ヒューマニスタは、かく語りき-』。この番組では、パーソナリティのことを、ヒューマンとファンタジスタを組み合わせた『ヒューマニスタ』と呼ぶ。
火曜ヒューマニスタの鈴木おさむさん。その「週替わりパートナー」として、俺は登板させていただいている。
本来は、おさむさんが担当予定だった4月5日。コロナ陽性により、代理として週替わりパートナーのライス・関町(知弘)と、わたくし、平成ノブシコブシ ・徳井健太が務めさせていただいた。
「そぐわない」「耳障り」――。
そんな手厳しい声がリスナーから殺到し、思わず冒頭の言葉を紡いでしまった。厳しい反応の数々に、正直、驚いた。じんじんきた。
後日、たまたま遭遇した月曜ヒューマニスタのグランジ・遠山(大輔)に「どう思う?」と相談したところ、「すごい叩かれてたもんね」と労ってもらった。正直なところ、俺はラジオについて明るくない。局によって、どんなカラーがあるのかもよくわかっていない。ラジオに造詣の深い、校長・遠山の言葉に耳を傾けたのは言うまでもない。
面談を終え、『シン・ラジオ』のガンとも言うべき俺が、この番組を通じてどのようにラジオを学び、変わっていくか――そんな姿を見せれればと思った次第。
勝手に師と崇めている『カリカ』さん。そのボケだった (マンボウ)やしろさんがパーソナリティを担当している『Skyrocket Company』に出演させていただいた際、これまた「たいへんだなぁ、ラジオ」と声を掛けられた。
その際、アドバイスとして朝昼夕のFMリスナーはシビアで耳が肥えているといった話を教えていただいた。やしろさんは、長年、『SCHOOL OF LOCK!』を担当していた。その後、現在の夕方枠の『Skyrocket Company』を開始したわけだけど、(『SCHOOL OF LOCK!』が放送されていた)夜と夕方とでまったく毛色が異なることから、「最初の2年間はぜんぜんダメだった」と述懐していた。あのやしろさんでさえ2年間悩みに悩んだとしたら、俺はどれくらいかかるんだろう。
先日、コロナから復活したおさむさんと初めて『シン・ラジオ』で共演した。 「なんで俺を抜擢してくれたんですか?」と話を聞くと、おさむさんは、自身がMCを務めるBSフジの『冗談騎士~お笑いネクストジェネレーション!秋のユニットコント祭り~』に、俺がゲスト出演したことを振り返り、「徳井とお笑いの話をしたい」と思ってくれたそうだ。
ライス・関町は根がおばちゃんのような性格をしているから、そういう包容力のある人と喋りたかったと教えてくれ、 松崎健夫さんとは映画の話を、月替りクリエイターとはクリエイティブな話を、 そして、ありがたいことに俺とはテレビの話を話したいということだった。そうして、『シン・ラジオ』の中でも、火曜日は「鈴木おさむ&週替わりパートナー」という座組ができあがったそうだ。
そんな話を聞いている間も、真綿で首を締めるように手厳しいメールが、届いていく。そんな光景を見て、イジった方が傷口は悪化しないかななんて思って、「僕らのラジオの嫌いなところを教えてください」と、あえて集ってみたところ、流れは激流へと変わっていた。
2時間が経った頃。このままでは力尽きると思い、「ちょっと変えていこうか。アジャストしていこう」と声を絞り出し、息も絶え絶えに救命ボートを探し始めた。
正直なところ、俺一人だったらパニックになっていたと思う。でも、隣にいるのは百戦錬磨の鈴木おさむさん。数多のバラエティ番組を設計してきたプロが隣にいて、「一緒に変わっていこう」と励ましてくれている。その背中を追って、大先輩のおさむさんに食らいついていくしかない。しかし、その姿さえ、リスナーの望む姿ではなかったみたいで、「こびるな」といったメールが届いた。ラジオって、難しい。厳しい。見失ったら、谷底へ流される。
ここで自分がどんな学びを得るのか。厄年の中にあって、自分を成長させてくれるかもしれない機会に出会えるのは、本当にラッキーなこと。ここで頑張らないのは、大ウソつきだ。
bayfmのある海浜幕張までは、当初電車で通っていたけど、カーシェアを使って通勤しようと思う。約30 km の距離を、楽しく思えるように行くために、環境を変えてみよう。移動中は、FMラジオを聞いて、研究してみよう。カーシェア会員になってサブスクの料金を支払うためには、クレジットカードが必要らしい。過去、借金をたくさん抱え、収入が安定しない芸人という職業柄、審査に落ちまくった俺は、これまでデビットカード一本でやってきた。
『シン・ラジオ』を機に、初めてクレジットカードを作ることになりそうだ。新しい機会は、新しい日々を作り出す。リスナーからの審査も、認められるといいな。
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