飲料各社、多種多様な取り組みで「水平リサイクル」活発化
6月は環境月間であり、6月9日は「リサイクルの日」ともいわれているが、プラスチック資源の循環利用を推進する取り組みとして、近年、リサイクルの中でも、「もとの製品と同じもの」に生まれ変わらせる「水平リサイクル」の機運が高まっている。
その中でも代表的なものが、飲料メーカーが推進するボトルtoボトルの「水平リサイクル」で、今年に入ってその動きが各社一層活発化している。ボトルtoボトル「水平リサイクル」とは、使用済みペットボトルを新しいペットボトルに生まれ変わらせることで、同じ材料を何度も資源循環させる理想のリサイクルの形であり、新たな化石由来原料を使わない取り組みとして昨今注目されている。
コカ・コーラ社は、今年4月に埼玉県吉見町とペットボトルの水平リサイクルの協働事業を開始。埼玉県内の自治体としては初の取り組みだという。これまで、吉見町の集積所で回収された使用済みペットボトルは、繊維や食品トレーなどにリサイクルされることもあった。しかし、一度これらのものにリサイクルされると、その後繰り返し再生するのは困難であるため、今後は使用済みペットボトルをボトルtoボトルの「水平リサイクル」することで、何度も繰り返しペットボトルとして再生することを可能にしていく。
アサヒ飲料は、5月に同社グループが管理する自販機横のリサイクルボックスで回収した使用済みペットボトルについて、水平リサイクルの取り組みを開始すると発表。自販機横にある回収ボックスに集められる使用済みペットボトルは、キャップやラベルがついたままの状態はもちろん、飲み残しが入っていたり、タバコの吸い殻が混じっていたりすることも多く、ペットボトルに再生することが困難だ。今回活用するリサイクル技術は、汚れやゴミなどの不純物を含む使用済みペットボトルでも、石油由来のバージンPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂とほぼ同等品質の原料に再生できるとしており、これにより自販機横で回収したペットボトルにおいても水平リサイクルの実現を可能とする。
サントリー食品インターナショナルは、3月から住友不動産と、5月からはスーパーマーケットのヤオコーとそれぞれ協業し、水平リサイクルの取り組みを開始している。サントリーはペットボトルの分別啓発の活動にも注力しており、先月「前代未聞の異世界リサイクルライフ」という分別啓発アニメ( https://www.youtube.com/watch?v=fLI_GY79KcM )を公開し、SNSを中心に話題にもなっている。業界でいち早く水平リサイクルを開始した同社をはじめ清涼飲料業界では、ペットボトルは次のペットボトルに生まれ変わる「資源」であることを消費者に広く伝え、水平リサイクルを加速したい考えだ。
これまでの使用済みペットボトルが何かしらの資源としてリサイクルされれば良しとされてきた時代から一歩前進し、循環型社会の実現に向けたボトルtoボトル「水平リサイクル」へと転換されつつある。飲料メーカー各社の取り組みは、これからも過熱しそうだ。