キーワードは手軽さ?推し活を捉えた飲料のカスタマイズ
飲料のカスタマイズといえば、スタバに代表されるように味わいを調整して自分好みの一杯として提供してもらえることは当たり前。近年流行ったタピオカミルクティー専門店でも氷の量や甘さを選べたり、コンビニでもキャラメルやバニラのフレーバーパウダーを用意している店舗もあるように、飲料を自分好みにすることは一般的になっている。そんな中、カスタマイズに特化したお店が増えてきている。
中でも「TAG COFFEE STAN(D)」はカスタマイズ飲料のパイオニア的な存在といえるだろう。コーヒーや紅茶などの飲料の味わいを自分好みにカスタマイズできることは今までのカフェと同様だが、加えて提供されるペットボトル容器のラベルまでカスタマイズできるのだ。3000種類以上のデザインから選ぶことができ、名前やメッセージなどのテキストも入力することができる。カスタマイズの自由度が口コミで広がり、多い日は1000杯以上売れた日もあるそうだ。好評を得ている背景には「推し活」と「手軽さ」があるという。利用者の多くが特定の人物やキャラクターを応援する「推し活」としてサービスを利用しており、ライブや誕生日などのイベントがあると、推しのメンバーカラーでデザインをチョイスしたり、推しの名前やその時々の気持ちに合わせたメッセージを入力したりしてオーダーしている。今までにもTシャツやタオルなどカスタマイズできるサービスはあったが、どれも作りたいと思いたっても出来上がりまで時間がかかり、そもそも自分でデザインすることが難しかった。「TAG COFFEE STAN(D)」では自由度は高いがカスタム自体は難しくない。素人が作ってもちゃんとデザインされた製品として提供されるのだ。さらにそれが店頭でオーダーしてから1分ほどで完成する、という「手軽さ」がこのサービスがウケているもう一つの理由だろう。「109シネマズ川崎」「109シネマズ二子玉川」「109シネマズ名古屋」に導入されており、11月には「T・ジョイ博多」にも導入される。
手軽なカスタマイズサービスは広がりを見せており、2021年12月にオープンした「The Label Fruit(ラベルフルーツ)」はモバイルオーダーでカスタマイズしたフルーツオレを店舗にあるロッカーから待たずに受け取れるというサービスを展開。ラベルもカラーを選んだり、テキストを入れることも可能だ。カラフルなフルーツの色合いが映えて見た目にも楽しい飲料が作れる。
自分らしい消費を支援するカスタマイズサービスの可能性は「推し活」とともに広がっていくのか。そして新たなサービスは生まれてくるのか。成功のカギは「自由度の高さ」と「手軽さ」の両立となりそうだ。