『ブラマヨ弾話室』で考えた、自分の意見をぶつけてみることの面白さ〈徳井健太の菩薩目線第152回〉
“サイコ”の異名を持つ平成ノブシコブシ・徳井健太が、世の中のあらゆる事象を生温かい目で見通す連載企画「徳井健太の菩薩目線」。第152回目は、『ブラマヨ弾話室〜ニッポン、どうかしてるぜ!』について、独自の梵鐘を鳴らす――。
BSフジで放送中の『ブラマヨ弾話室~ニッポン、どうかしてるぜ!』に、初めて出させていただいた。
ブラマヨさんのお二人と仕事をする機会はあまりないから、とても楽しみにしていた半面、緊張していた。なんといっても、ブラマヨさんだ。とりわけ吉田さんの舌鋒の鋭さに、自分は対応できるんだろうかドキドキハラハラ。
この番組は、ブラマヨさんが政治家や学者など様々なジャンルの専門家を招き、「今起きている問題」をテーマに「今後のニッポンはどうなっていくのか」を、独自の“心配性”な目線から考察する雑談系アカデミックバラエティだ。
よぎった疑問を、政治家や専門家に対してすぐさまぶつけていく。平成の時代まで当たり前のようにあった討論番組も、よくよく考えると、今では絶滅危惧種かもしれない。
「間違ったっていいから、それが偏った論だとしても言ってもいいんだぞ」。そんな雰囲気をブラマヨさんから感じたので、精一杯、沸いた疑問や意見をぶつけてみたつもり。
ブラマヨさんはいつだって面白い。でも、『ブラマヨ弾話室』のブラマヨさんは、ここでしか見れない面白さがあると思う。
吉田さんが意見して、小杉さんが突っ込む――というのが多くの人が想像しているブラマヨさんの姿だと思う。ところがこの番組では、小杉さんがボケて吉田さんがツッコむこともあれば、瞬時にその関係性が逆転する。立ち回りの豊富さとスピード感。漫才やバラエティで見るブラマヨさんとは異なる予測不能な面白さは、自由という言葉がぴったりだ。あまりに自由に振る舞うものだから、私徳井健太も心地よくなって、偏った意見をたくさん話してしまったような気がする。
この日の収録のテーマは、「幼児の事故が多発していて心配」「政府が政策の反省をしているのか心配」「出世したがらない若者が多くて心配」「老後が不安になるように誘導されていそうで心配」「インボイス制度が全然わからなくて心配」「命を救う仕事をする人に過剰に求める風潮が心配」などなど。
多岐に及んだテーマを、ブラマヨさんがしゃべり倒す。もう面白い。私徳井健太が登場する回は、11月20日(再放送は12月4日)と、11月27日(再放送は12月11日)。放送時間は、22:30~23:00なので、ぜひご覧いただけたら幸いであります。
収録のゲストには、参議院議員で防衛大臣政務官の小野田紀美さんが参加した。小野田さんは、とてもわかりやすく説明してくれるので、あれもこれも聞いてしまった。「え? そんなことまで答えてくれるんですか!?」ってことまで答えてくれたので、ホントに攻める番組だなと感心してしまった。
社会問題や政治問題を取り扱って議論するトークバラエティって、一筋縄ではいかない。難しい。
たとえば、「多発する幼児事故」というテーマ。日本の場合、子どもをあずけたら、あずけた人(ベビーシッターなど)に責任が置かれるけど、欧米ではあずけようがすべての責任は親にあるという。責任の所在が違う――。そうした多面的な視点を大切にしないと、豊かな議論は育まれない。
その中で「持論」の意味を考えた。
ラジオで相方である吉村と話していたとき、俺が「売れるためだったら死んでもいい」 とか、「長生きしたいなら売れなくてもいい」みたいなことを口にしたときがあった。
吉村は、「いやいや、人間って 二択で生きているわけじゃないでしょ」と制すんだけど、俺は二択で生きてきたところがあるから、その吉村の補説がよくわからない。やるか・やらないか。もしもやるって決めたのなら、死んでもやるか・死なないでやるか――しかないと思うのだけれど。
ギャンブルが好きなのも、こうした考え方によるところが大きいから、張って負けたら恨みっこなし、だと思っている。でも、世の中の多くの人は、張って負けると恨みつらみを言ってしまう。それは都合がいいんじゃないかと思うけど、吉村に言わせると、どうやら「極論」ということになるらしい。
誰かの持論は、他の誰かにとっては極論になることもある。揺れ動くのが人間だから、吉村の言うこともたしかにわかる。あまりに自分の意見は、味わいがないなぁと思う。一方で、持論を極論と言われると、なんだか釈然としない。
そんな俺が、『ブラマヨ弾話室』の吉田さんの持論を聞くと、「吉田さん、すげぇ極論言うな」と笑いながら感心してしまうのだから、人間の「論」って面白い。気兼ねなく自分が思っていることを話せる場って自由。持論も至論も極論も交わせるのだから、あったほうがいい。そんな場が、『ブラマヨ弾話室』だったんだなぁ。
収録後、「もっと話せたんじゃないか」と反省したのは言うまでもないよね。
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