松本潤「すごいことをやっている」8日スタートの『どうする家康』で大河初出演&初主演
松本潤が主演する大河ドラマ『どうする家康』の放送が8日、いよいよスタートする。今作の主人公は、ほとんどの人が名前以上のことを知っているであろう歴史のスーパースターのひとり、徳川家康。織田信長、武田信玄、石田三成に、豊臣秀吉といった武将たちが覇権を争った時代の幕を引き、太平の世となった江戸時代をもたらした人物で、これまで数々の名優とされる俳優たちが演じてきた。そんな大役に大河ドラマに初出演にして初主演の松本が挑む。数えきれないほどの人がモニターの前で今か今かと放送開始を待っている。さあ、“どうする? 松本”。
大河ドラマに初出演で主演
大河ドラマへの出演、それも主演で。そんなオファーをもらったとき、松本はただただ驚いたと振り返る。
「自分自身大河ドラマの出演経験はないですし、いつかはそういうタイミングが来るのかもしれないけれど、おそらくほぼこないものだろうと思っていました。なので、「どうして私に?しかも家康?」とちょっとびっくりしましたね……。また、時期的なことも含めて、(大河ドラマに主演している)自分自身がイメージできなかったので、そのときは一度、お断りさせていただいたんです」と松本。
「ラスト2カ月強、まだ嵐でやること、集中したいことがあったので、いまこの重大な決断を短い時間のなかでするのは難しいと、話はありがたかったのですが、一度お断りさせていただきました。ですが、返事を待っていただけて。年が明け、自分が新たに挑戦できることは何かと考え、そこまで待っていただいていて、信じてくださるのなら、私でよければぜひとお受けしました」
昨年6月に愛知県でクランクイン。これまでにもドラマや映画といった映像作品を中心にさまざまな現場で過ごしてきたが、初めての大河ドラマの現場でどんなことを感じているのか。
「初めてのことですから。大河ドラマだからなのか、この作品だからなのか、判断はできないんですけど、ものすごい規模で動いている作品だと思いますし、これだけたくさんのスタッフが常に一緒に動いている現場ってすごいなと思います。
“たぬき親父”のイメージとは全然違う、古沢良太が描く“家康”
撮影が始まって約半年、家康を演じてきた。
「演じることになる前に僕が持っていた徳川家康のイメージは、皆さんが思い描くものにおそらく近いんじゃないかと思います。たぬき親父と形容されるような、ちょっと恰幅のいいおじさん。年配の俳優さんがやっている印象で、描かれ方も様々かもしれないですが、津川(雅彦)さんや西田(敏行)さんなど、年配の俳優さんが演じられているイメージで、江戸幕府を開く頃の年を重ねた家康です。ただこの作品では竹千代時代も出てきますし、次郎三郎元信・元康・家康と名を変えながら、若かかりし頃から演じているので、今までの印象とは明らかに違いますね」
『どうする家康』は、気鋭の脚本家・古沢良太が脚本を担当していることでも注目を集めている。古沢が本作で描こうとしているのが「ナイーブで頼りないプリンス」としての徳川家康。古沢の言葉を借りるなら、「カリスマでも天才でもなく、天下取りのロマンあふれる野心家でもない、ひとりの弱く繊細な若者」が、その宿命ゆえに、もがき、泣きながら猛者たちに立ち向かい、最終的に生き残る。
「古沢さんの描く家康像という意味で言うと、戦国時代、三河は強国に挟まれた場所にあるので、毎日が生きるか死ぬかの選択をしなくてはならなかったり、周りと比べると自分たちはまだまだ力が足りないことを痛感したりする日々に生きていたと思います。そのなかでどういった選択をどうしていくかが問われています。
また、(家康は)“か弱きプリンス”として描かれている部分はありますが、それと同時に、博打じゃないですけれど、家康は別の道を選んでいたら死んでいたかもしれないという選択のなかで、運も含めて生き延びる方を選んでこられた人。そういう人が長生きしたからこそ、戦国時代が終わり、将軍になれて、江戸時代を切り開いていくことができたのかな、と。自分が演じることが決まってから、改めて史実を掘り下げていったときに考えました」
松本は、長く生きられたことは家康のひとつの能力だと言う。そして、もうひとつが「自分ひとりの力でやらなかったということ」。
「僕の中の家康像は誰がやるということは重要ではないと思っている人なんです。周りの人たちが優秀だったという見方もありますが、あなたはこれが得意だからやってくださいと託すというか、シェアをする。どうやって形にし、いかにそれを早く、成功させるためにどういう道筋にするかを考える人。江戸を切り開いたときは、地理を調べて、どう水路を引くかという時にも、適材適所にの人を置けたんですね。そういった人の能力を見出すことができるということがすごいのかもしれないし、人に仕事を預けられることがすごいのかもしれない。自分の手柄をみんなの手柄にする人柄がすごいのか……いろんな要素があると思います。そこをどう描いていくのかが僕も楽しみです」
話を古沢に戻すと、古沢がこれまでに手がけた作品は『リーガル・ハイ』や『デート~恋とはどんなものかしら~』、そして『コンフィデンスマンJP』と人気作品ばかり。『ALWAYS 三丁目の夕日』もまた古沢の手によるものだ。NHKでは『外事警察』も担当している。
『どうする家康』もまた魅力を放つ。何よりもまず、演者を魅了している。
「演じていて思うのは、(台本を)読んでいる時よりはもちろん、演じてみるとより面白いということ。読んでいる時は、時間軸だったり動きの間尺だったりとか、ちょっとうまくいかないかもなって思ったりしても、いざ実際に動いてみるとちょうどいいことが多くて、びっくりします。語尾を含めた言葉のセンス、ワードセンスも素晴らしい。人をドキッとさせたり、思わず感動するような、人の心を動かす仕掛けを作るのがとても上手だなと思います」
それと、こんなに長い期間1人の人物を演じ続けることって……後にもさきにもないんじゃないかなと思っています。ひとつ前の大河ドラマ(『鎌倉殿の13人』)を友人の小栗(旬)君がやっていて、1年前の彼を今僕がやっているんだなって、たまに話すとそういう話になりました。向こうはこうだった、こっちはこうだったよって、情報共有を含めて、友人とそんなことができているのは面白いなと思います。小栗君が話していたのは、このことだったんだなど現場に入って分かることもありましたね」