映画『鬼滅の刃 上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』が、もたらしたメディアミックスの“新時代”【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】
こんにちは、黒田勇樹です。
新作舞台となる三栄町LIVE×黒田勇樹プロデュースvol.13『シン・デレラ』が絶賛稽古中です。
いろいろなメディアに取り上げられていて、すでにご存じの方もおられると思うのですが、今回、妻を主演に据え、子連れ稽古という現場になっております。
取りあえずはなんとか想定内ではあるのですが、想像を超えることも起こっており、この先予断は許しませんが、幕が上がるまで頑張りますので、ご興味のある方はぜひ。
それでは今週も始めましょう。
筆者も愛読している少年漫画「週刊少年ジャンプ」が、最近、メディアミックスで大暴れをしています。
漫画という、たった1人の想像力で1枚の紙の上に生み出された世界が、全世界を巻き込むような現象へとなっていく。今回観た『鬼滅の刃 上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』は、その象徴ともいえる現代的な作品でした。
今回は、ストーリーの話とかは、全くしません。“マーケティングのここがヤベェよ!”だけ、書きます。
まず、「漫画の映画化」というと、今までの流れは「アニメ化されている好評連載中の作品のスピンオフ」「完結した作品の映画化」「人気作品の実写化」この3パターンが主流だったと思われます。
映画オリジナルキャラが紅白出場まで果たしたワンピースも「好評連載中~」の流れを汲んでいるし「完結~」でいえば今話題の『スラムダンク』や『ドラゴンボール』も、その流れの中にいます。
「~実写化」は『テルマエロマ』とか『ちはやふる』とかね。
映画って、エンタメの中では特別視されていて「映画になったら1つのゴール」みたいな感覚がどこかにあったのですが、今回の仕掛けで全部ひっくり返されました。
明らかに映画業界と“ズブズブ”になっている漫画業界が「仕掛けた」のが、この「前回のアニメシリーズ最後の2話と、次のシリーズの最初の1話を映画館で見せちゃう大作戦」
漫画の映画化が主流になればなるほど「やりかた」は、こすりつくされていき、受け取る側からすると“飽きちゃう”はずだし、特に去年からの『ワンピ』『スラムダンク』という大作の後に「前回の映画が記録的大ヒットだった鬼滅」を、やるのは相当な挑戦とプレッシャーだったと思われます。失敗がすぐ数字で出て、叩かれる世の中になってきていますし。
そんな中、既に大ヒットの兆しを見せている本作…落ち着いて考えてみて下さい。
再編集や、音楽のリミックスなどの手はかかっているものの、冷静に見れば「ありものを繋いで映画館で流してるだけ」!!!もっと言えば「新シリーズのコマーシャルを客から1900円取って見せてるという暴挙」!!!なんですよ。
低コスト・ハイリターン!
「映画がゴール」の時代は終わりを迎えました。映画がTVアニメのプロモーションに使われたのです!
『鬼滅~』の戦略を見ていると、エピソードごとに放送時間がバラバラだったり、テレビだったり映画だったり、コンテンツの完結するゴールを、(1昔前はDVDとかだったけど)「最終的にネット配信で一気観してくれればいいよ!」と、設定しているように思えます。
ファンは楽しいし、制作側は儲かるし、映画館に人が来ること自体、映画人には嬉しいし、誰も損しない、今回の大作戦、まだまだ新しいことをやらかしてくれそうなので注目です。
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1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。
主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。
2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。
現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。
公式サイト:黒田運送(株)
Twitterアカウント:@yuukikuroda23