斎藤裕の「この試合は平本選手の分岐点になる」の言葉の裏にある11年前の上田将勝vs堀口恭司戦【RIZIN LANDMARK】

「RIZIN LANDMARK 5 in YOYOGI」(4月29日、東京・国立代々木競技場 第一体育館)に出場する元RIZINフェザー級王者の斎藤裕(パラエストラ小岩)が4月20日、都内で公開練習を行った。練習後の取材で対戦相手の平本蓮(剛毅會)のこと。そして「この試合が平本選手にとっての分岐点になる」と語っていたことの意味を聞いた。

対戦相手の平本蓮について語る斎藤裕

「彼はすごく真面目に練習に取り組んでいるので、悪い印象は全くない」

 平本蓮選手とはCAVEで練習したことがあるのですよね?
「重なっていた時期があるので、一緒に練習したことはあります」

 その当時は今こうして対戦することになると思っていたでしょうか。
「うーん。対戦するというような意識では練習はしていなかったですね、その時は」

 では、たとえば平本選手がMMAに転向して新たに取り組むようになった組みの練習の際など、斎藤選手から何かアドバイスするような場面もありましたか?
「そういうことはしていないですね。練習を見ていたのは石渡(伸太郎)さんであって、それを差し置いて僕が何か言うのは違うと思っていましたし、偉そうにものを言っているように見えるのは好ましくありませんし。ただ組んでみて“ああ、こういう感じか。こういう動きをするのか”と、自分が一方的に感じているものはありましたけど」

 言葉も交わしていると思うのですが、その印象は?
「平本選手はいろんな選手の試合(映像)を見ているんですよね。キックボクシングも見るし、K-1もRISEの試合も見る。そしてUFCの試合もたくさん見ていますよね。そういうなかで、打撃について例にとると、たとえばピョートル・ヤン(UFCバンタム級元王者)がどういう打ち方をして、なんでそれが強いパンチの打ち方になるのかということを、彼なりの理論で説明することができる、そういう感じでした。立ち技においては野扖(正明)選手はどうして強いのか? では安保(瑠輝也)選手はどうなのか……?というふうに、平本選手の話を聞いているだけで“ああ、そういう見方があるのか”と。立ち技は僕の専門ではないので、専門の方たちの視点を通じて“だから強いのか”と納得させられるというのでしょうか。たぶん聞けば聞くほどそういう話が出てくると思います。そのなかで僕が聞くことができた話はどれも参考になります。勉強させてもらいましたし“(平本選手は)ずっとそういうことを考えている人なんだな”と思いました」

 そうやって「ずっと考えていられる」ほどに、平本選手は本質的に「格闘技が大好きな人」であるととらえることができると思うのですが彼のパーソナリティーについてはどう感じましたか?
「もちろん彼の練習を見ていれば、すごく真面目に取り組んでいるので、悪い印象は全くないんですよ、僕は。ただ彼のセルフプロデュースが……“上手”という言い方が正しいかは分かりませんが、良くも悪くも周囲を巻き込むような形にするのが彼のひとつの武器なので。その点では彼の立ち回り方は24歳にしてはすごいなと思います」

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