吉岡⾥帆「平和な国である日本をこれからも守っていきたい」批評家大賞で助演女優賞受賞

 

 第32回日本映画批評家大賞の授賞式が16日、都内にて行われ、『島守の塔』で軍国少女を演じた吉岡⾥帆が助演女優賞を受賞した。

 日本映画批評家大賞は1991年に水野晴郎が発起人となり、淀川長治、小森和子ら映画批評家たちと、日本大学名誉教授・登川直樹の手で生まれた、映画批評家ならではの視点で選ばれる映画賞。

『島守の塔』は多くの県民の命を救おうとした2人の人物の姿を通して沖縄戦の悲劇をつづった作品。

「題材が難しい、戦争の物語ということで、見に来ていただくためにどうお伝えしたらと考えていたんですけど、見てくださった方の口コミなど共鳴していく気持ちによって支えられた映画だと思います」と振り返り「平和な国である日本をこれからも、新しい世代としても守っていかないといけないと思いましたし、そういう気持ちが込められた作品だと思います」と思いを語った。

 戦時下の沖縄に生きる女性を演じるにあたり「撮影に入る前の準備期間が本当に大切な時間になりました。自分自身が無知であることを痛感する毎日。書籍を読んだり実際に沖縄に出向いてガマ(自然壕)の中に入ったり、語り部の方たちと一緒に一つひとつ学んでいく作業をしました」と役作りを振り返った吉岡。

「普段は(役の)切り替えが早いタイプなんですけど、この作品は(コロナでの撮影中断もあり)終わっても自分の中で忘れたくない、どちらかというと切り替えをしないという作品でした」と語っていた。

 他、作品賞とダイヤモンド⼤賞(淀川長治賞・受賞者は宮本信⼦)に『メタモルフォーゼの縁側』、主演男優賞に中井貴⼀(『⼤河への道』)、主演⼥優賞に板⾕由夏(『夜明けまでバス停で』)、ゴールデン・グローリー賞(⽔野晴郎賞)を『裸⾜で鳴らしてみせろ』の⾵吹ジュンが受賞した。

 

【受賞者一覧】
作品賞:『メタモルフォーゼの縁側』(狩⼭俊輔監督)
主演男優賞:中井貴⼀『⼤河への道』
主演⼥優賞:板⾕由夏『夜明けまでバス停で』
助演男優賞:窪⽥正孝『ある男』
助演⼥優賞:吉岡⾥帆『島守の塔』
監督賞:三宅唱監督『ケイコ ⽬を澄ませて』
ドキュメンタリー賞: 『夢みる⼩学校』(オオタヴィン監督)
アニメーション作品賞:『夏へのトンネル、さよならの出⼝』(⽥⼝智久監督)
アニメーション監督賞:湯浅政明監督『⽝王』
新⼈監督賞:⽵林亮監督『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』
新⼈男優賞(南俊⼦賞):坂東⿓汰『フタリノセカイ』
新⼈⼥優賞(⼩森和⼦賞):伊東蒼『さがす』
脚本賞:吉田恵輔『神は⾒返りを求める』
編集賞(浦岡敬⼀賞):⼩林譲 ⽵林亮『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』
ワタシタチのトキワ荘賞:⼀般財団法⼈⼿塚治⾍⽂化財団
特別賞(松永武賞):⽴川志の輔『⼤河への道』
特別主演男優賞:岡⽥准⼀『ヘルドッグス』
ゴールデン・グローリー賞(⽔野晴郎賞):⾵吹ジュン『裸⾜で鳴らしてみせろ』
ダイヤモンド⼤賞(淀川長治賞):宮本信⼦『メタモルフォーゼの縁側』

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