北口榛花【アフロスポーツプロの瞬撮】

2023.09.13 Vol.web Original PHOTOIMPACTープロの瞬撮ー

　スポーツ専門フォトグラファーチーム『アフロスポーツ』のプロカメラマンが撮影した一瞬の世界を、本人が解説、紹介するコラム「アフロスポーツの『フォトインパクト』」。他では見られないスポーツの一面をお届けします。

「2023年8月25日世界陸上ブダペスト大会女子やり投決勝」撮影／文章：森田直樹

最終6投目の前、隣のカメラマンとこんな話をした。

「最後に大逆転の投擲をして大喜びでこっちにきてくれるはず。大喜びの北口を撮影しましょう。」

そうなってくれるといいなと願いを口に出してみた。

この時点では冷静だった。喜びを想定し撮影ポジションにつく。

あとは祈りながら撮影するのみ。

投擲前の北口の表情はとても集中していて何かやってくれそうな予感がした。

助走に入る瞬間から投げ終わるまでシャッターをひたすら切った。

投擲直後、雄叫び上げる北口。記録を確認したあと振り返り再び雄叫びをあげた。

無我夢中でシャッターを切り続けた。

その後のことは興奮してよく覚えていない。

とにかく喜ぶ北口を追いかけ続けた。

選手の努力が報われる瞬間に立ち会えることは非常に感動的で興奮する出来事である。

冷静に撮影しようとしてもそれ以上のものが込み上げてくる。

北口の最後の投擲はスポーツの魅力が詰まった瞬間だった。

■プロフィール

撮影／文章：森田直樹

1993年、奈良県生まれ。2014年、ビジュアルアーツ専門学校・大阪卒業後アフロに入社。

4年間のスタジオアシスタントを経て2018年よりアフロスポーツ所属。

スポーツ選手の心情を追い、選手たちの努力、成長や挫折、感動を写真で表現することを目指す。

スポーツ撮影を中心にポートレイトなどジャンルを問わず活動中。

アフロスポーツ

1997年、現代表フォトグラファーである青木紘二のもと「クリエイティブなフォトグラファーチーム」をコンセプトに結成。1998年長野オリンピックでは大会組織委員会のオフィシャルフォトチーム、以降もJOC公式記録の撮影を担当。
各ジャンルに特化した個性的なスポーツフォトグラファーが在籍し、国内外、数々の競技を撮影。放送局や出版社・WEBなど多くの報道媒体にクオリティの高い写真を提供し、スポーツ報道、写真文化の発展に貢献している。

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