観るだけでもっともっと美味しくなる!魅惑のカカオドキュメンタリー映画『巡る、カカオ〜神のフルーツに魅せられた日本人』【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】

 こんにちは、黒田勇樹です。

 2024年一発目ということで本来なら「明けまして…」という感じなんですが、年明け早々からいろいろなことがありまして、そんなことも言ってられませんね。

 取り敢えず、今年も頑張りますのでよろしくお願いします。

 では始めましょう。

『巡る、カカオ~神のフルーツに魅せられた日本人~』 1月12日(金)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次公開 配給:ナカチカピクチャーズ © HEARTTREE

 チョコレートの原料としてお馴染みの「カカオ」を、2人の日本人女性を中心に、多角的に描いていくドキュメンタリー映画。

 かなり丁寧な文法で話が進んでいき、まずは舗装もされていないジャングルのような道を進んでいき収穫。続いてそれを焙煎しチョコレートへと加工。原産国であるガーナの村でハンドミキサーで作る場面から始まるのですが、街にあふれるチョコレートやココアを始めとするカカオ製品のすべてがこの工程から始まっていると思うと「果てしないな!」と、慄きます。

 もちろん、機械化や工業化されている部分も多いのでしょうが、フルーツであるカカオは、同じ木であっても実ごとに味も違うようで、手作業に依存する部分も沢山あるようです。

 1人目の女性はベンチャー企業のCEO、まだ20代前半なのですが、精力的に現地を訪れクラウドファンディングなどを活用しながら、ガーナのカカオ事情の改善を図っていきます。

 彼女を通すことで、1本の木から国民の生活や世界の経済との関わりが、くっきりと見えてきます。

 面白かったのは僕らがチョコと呼んでいる所謂固形チョコレートはガーナの人にはあまり馴染みがないようで、現地の方が日本人を見ると「ああ!チョコレート美味しいよね!」と、まるで日本の名産のように扱われていたところですかね。こういう部分も知らない世界でとても好奇心が煽られます。

 間で、日本国内のカカオ事情と、カカオが世界に分布していって多様化した歴史などが挟まれ、2人目の女性へ。コロンビアでチョコレートの技術コンサルタントとして活躍する方。日本の大手製菓メーカーでの商品開発を経て、単身海外へ。現在は生産、仕入れ、技術開発、人材育成などカカオのありとあらゆることを手掛けている。

 専門的な話も出てくるのですが、ここまで観てくればもう皆カカオ博士なのですんなり入ってくる。日本人にしか楽しめないカカオの秘密なんかも教えてくれるので、次食べるときは、いつもより格段に美味しく感じること間違いなし。

 カカオというと、貧困層による児童労働の問題。
「このテイストのドキュメンタリーで触れるのは難しいかな」と、思っていたのですが「カカオ産業の価値を上げていくことで、地域社会の向上を目指す」という、挑戦がきちんと掲げられていたことにとても安心しました。

 カカオがもっと好きになる、素敵な映画なので、皆さま是非、御覧下さい。

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黒田勇樹(くろだ・ゆうき)
1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。
主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。
2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。
現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。

公式サイト:黒田運送(株)
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