コロナ診療公的支援が終了へ ワクチンは? 治療薬は? 発熱したら? 都医・尾﨑会長が解説
東京都医師会は3月12日に都内で定例記者会見を行い、4月からコロナ医療費の公的支援が終了し、通常の医療体制に移行することを解説した。
尾﨑治夫会長は「4月からのコロナ診療についてですが」と切り出し、これまでの公費負担の割合を説明。
5類移行直後の昨年5月8日~9月末まで治療薬(経口薬のラゲブリオ、パキロビット、ゾコーバ、点滴薬のベクルリー)は全額公費負担、入院費は高額療養費制度適応後に最大2万円補助、昨年10月~今年3月末まで治療薬は自己負担割合が3割負担で最大9000円、2割負担で最大6000円、1割負担で最大3000円が上限となるよう公費負担、入院費は高額療養費制度適応後に最大1万円補助されていた。
尾﨑会長は「今年4月から通常通り保険診療の中で自己負担ということになる。例えばゾコーバという治療薬は薬価がおよそ5万2000円なので3割負担だと1万5600円くらい。コロナにかかったことが分かっても、そういった費用を負担して薬を飲む、少なくとも若い人は減っていくだろう」と予想し「今のところJN.1株は、感染力が非常に強いものの重症化はしていないということだが、今後どうなるか不透明な部分がある」と懸念を示した。
「昨日も私のクリニックに75歳の発熱者が来院し、検査をしたらコロナ陽性だった。この方は心臓に持病があったので薬を希望され、2割負担の6000円で処方した。そういった形が今後取れなくなると、高齢者や重症化しやすい方にとっては問題が増えてくる。入院についても最大1万円の補助がなくなり、病床の確保もされなくなる。診療報酬についても、発熱患者全般に対応する加算はあるが、コロナ診療の特例はなくなってくる」
ワクチン接種は季節性インフルエンザなどと同じ年1回の定期接種となり、対象者は65歳以上の高齢者と60~64歳の基礎疾患のある人で、自己負担額はおよそ7000円程度になる見込み。「これもコロナとインフルエンザを両方接種するとかなり負担になるのでどうしていくのか。治療薬も、今後の変異によって重症化しやすい株が出ないとも限らない。その時に公費負担を復活させるのかどうかなどを注意深く見ていきたい」と尾﨑会長。
発熱外来についても、外来対応医療機関の指定や公表の取り組みが終了し「コロナ禍の前は、インフルエンザを含めほとんどの医療機関で診ていたわけで、今後はそういう体制になっていく。発熱や上気道炎症状を有している、コロナに罹患している、もしくはその疑いがあることのみを理由に患者さんの診療を拒否することは、応召義務を定めた医師法の診療を拒否する『正当な事由』に該当しないと、厚労省の事務連絡にはっきり明記してある」と明言した。
「今後は “コロナの疑いがあるからうちでは診られない” ということではなく、慢性疾患などでかかりつけの患者さんを診ている医療機関でも、ぜひ多くの発熱患者さんを診ていただきたい。患者さんも遠慮なく診てくださいと言っていいのでよろしくお願いします」