これが令和の教育現場。ICT化で生徒の健康管理、いじめの早期発見。そして教員の働き方改革も
2015年に国連総会で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)は、目標達成期限の2030年まで折り返し地点を過ぎた。持続可能な未来へ向けた取り組みや、目標達成のヒントとなる話題を紹介する「シリーズ:未来トピック」。
今回は目標4「質の高い教育をみんなに」、目標10「人や国の不平等をなくそう」、目標16「平和と公正をすべての人に」の実現の足掛かりとなりそうなシステムに目を向けてみた。
少子高齢化が叫ばれる日本においては「異次元の少子化対策」が大事なのはもちろんなのだが、それが目に見える成果を挙げるようになるのはいつになるかは 未知数だ。となると小中高校生といった次世代を担う世代の健全な育成が“持続可能な社会”を形成するために最も考えなければいけないことになるといえる。
とはいえ多感な時期とあって、それは口で言うほど簡単ではない。2023年2月22日の衆院予算委員会では当時の永岡桂子文部科学大臣が「不登校生徒は全国で24万5000人に上り、過去最大になっている。一人一台端末を活用し、子供たち自身が毎日の体調・心の状態や教師に対する相談欄も入力できる仕組みを作ることで、不調を訴える子供たちの早期発見につなげ、予防処置を施し、子供たちの安全と安心を守っていくことが重要と考えている」と答弁。友人関係や家族との関係、SNSの発達といったことを原因とするストレスやコロナ等による肉体的な変調といったことに注視し、その対策として教育の現場でのICT化の重要さについても言及している。
実際に東京都教育庁では2022年からビッグデータの活用・分析による授業の改善、教育データの連携を目的とした「TOKYOスマート・スクール・プロジェクト」を掲げ教育現場でのICT化を推進。2023年3月から都立高校196校の約13万5000人の生徒を対象に日々の気分、体温、体調、生活リズム等の情報収集から、心身の変化(睡眠時間・気分・体調の様子等の生活リズム)を判断する情報や心因性の発熱を判断するための情報を収集し、アンケートの回答をもとに定量的に判断できるツールを構築している。