どエンタメ怪獣映画『ゴジラxコング 新たなる帝国』に物申す!!【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】

 こんにちは、黒田勇樹です。

「しばらく休む」つもりだったんですが、先日、ついつい集英社オンラインさんの取材を受けてしまいました。子役について、経験上のことをちょろっと喋らせてもらってますので、お暇な方はぜひ読んでみてください。

 では今週も始めましょう。

黒田勇樹

 まず、「弩級(どきゅう)」という言葉の“ド”って、イギリスの巨大戦艦、ドレッドノートの頭文字を取って、(概念としても含めて)巨大なものを“ド級”と呼ぶようになったそうなんですよね。

 この、今回鑑賞した『ゴジラxコング 新たなる帝国』も、マジでド級。
 ハリウッドだしシリーズでいうと「モンスターバース」でくくれば5作目という、このままマーベルやハリポタ、SWに並ぶ、作品群になるとみられるモンスター作品(上手いこと言ってみた!)。

 褒めている人が多そうなので、僕も大満足だったのですが、あえて「ここがもうちょっと…」を、書いてみようと思います。

 まず、ゴジラの手足が長過ぎる!コングとの共闘を描くため、バランスを取るためには必要だった工夫だとは思うのですが、やっぱりゴジラには短い手と太い足で「ズシン、ズシン」て歩いて欲しい。

 予告にも出てるカットなので言っちゃいますが、ゴジラとコングが並走するシーン、マジで人が走ってるようにしか見えない。ゴジラが手ブンブン振ってダッシュしちゃダメでしょ。

 なんなら、今回のキーキャラクターであるモスラも、手足いっぱいあるのに、人間ぽかったから、モーションキャプチャーだったんではないかと、思いました。

 自分が昭和生れなせいか、着ぐるみとか特撮、操演の方が怪獣モノの“味”だと思っていて、モーションキャプチャーに頼りすぎていると「中の人」を感じ、少し萎えます。

 もうひとつは、ゴジラとコングが「脅威」ではなくなって、ヒーローとして描かれ始めていること。

 原作の描き方としては、ゴジラは「現代社会の脅威」の象徴であって、コングは「自然の脅威」なんですよね。今回そこに、つまんない悪役出して、2匹に共闘させたというのは、エンタメとしては「そうそう!」、文学としては「もうちょっとヒネってくれ!」という印象でした。

 あ、ちょっと褒めるとすれば(全体的には大好きなんですよ)、西洋ゴジラのイグアナっぽさが、今回、海のシーンでずっとカッコよかった。ああいうシーンが「ハリウッドの予算で作られたドエンタメ」といったビジュアルで「もうこれで、1900円払って満足」という感覚。

 ここから、ゴジラシリーズやモンスターバースの入口に入るのに、とてもお勧めな作品でした!

<人生相談の宛先はこちら>

黒田勇樹に相談したい方はメールにて相談内容をお送りください。メールには「ニックネーム、性別、年齢、ご相談内容」をご記載ください。宛先はコチラになります。相談お待ちしています。


黒田勇樹(くろだ・ゆうき)
1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。
主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。
2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。
現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。

公式サイト:黒田運送(株)
Twitterアカウント:@yuukikuroda23