永瀬正敏!浅野忠信!佐藤浩市!豪華キャストを箱に閉じ込めた超シュール文学映画『箱男』がとりあえずスゲェ!【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】

 こんにちは、黒田勇樹です。

 このコラムの担当編集さんが、先日、猛暑の中、外を歩いていて急に眠くなったそうです。皆さんもお気をつけください。

 しばらく潜伏していたので、ただ今、今後の仕事について整理中です。なるべく早いうちに皆さんにお知らせできればと思ってますので、もうしばらくお待ち下さい。

 では今週も始めましょう。

『箱男』8月23日(金) 新宿ピカデリーほか全国公開 配給:ハピネットファントム・スタジオ ⓒ2024 The Box Man Film Partners

 映画には“ドラマ”と“モチーフ”という、大きな要素があって、人間ドラマはそれぞれ共有で、そこに「どんなモチーフを持ち込むか」が、ストーリーの展開に重要になってきます。

 ジュラシック・パークだったら「家族愛」とか「科学の暴走」とかがドラマで、そこに「恐竜」という、モチーフが介入してくることで。どんどん面白くなってくる。

 ワイルド・スピードなら「車」、バイオハザードなら「ゾンビ」、ダイ・ハードなら「ブルース・ウィリス」。映画をじっと観ていると、監督たちが、ストーリーそっちのけでモチーフを撮る行為に熱狂していることが、画面から溢れ出ている作品が多くあります。

 今回観た映画『箱男』、明らかに監督は何よりも優先して「段ボール箱」に、熱狂して撮影したことがスクリーンから滝のように溢れ出してくる。

 出演者、メインキャストの永瀬正敏さん、浅野忠信さん、佐藤浩市さんをはじめとして他にも豪華メンバー満載なんですが、それでも、どうみても、監督が一番愛しているのが「箱」!!
 豚骨ラーメンだったら、トッピング全部のせの状況に、いきなり上からチーズで閉じたみたいな衝撃でした。

 ストーリーは、もうなんか、公式のあらすじとかを読んで下さい。1行目だけ抜粋すると、

「『箱男』 ――、それは人間が望む最終形態、すべてから完全に解き放たれた存在。」

 ね? 要約しようがなさそうでしょ? とりあえず、ある男が箱に入っているんですが、箱の内側こそが真の世界であり、箱の外の世界にいる人間たち側が“世界の秩序に閉じ込められている存在”と、信じて町を徘徊したり、命を狙われたりするんですが、これだけの名優をキャスティングして、基本的には「足が生えた段ボールが走ったり戦ったりエッチなことをしたりするのをひたすら観せられる」。

 段ボール同士のガンアクションとか…メタルギアソリッド以来、初めてこんなに一生懸命、箱を見守りましたよ。

 大問題なのが、原作が大人気小説なので、めちゃめちゃ哲学的で文学的な物語が展開していくんですが、いかんせん、映ってるのだいたい箱。
 感動させたいの!? 笑かしに来てるの!?「この場面、どう見ればいいの!?」と、感情の嵐が起こす、混乱の渦に巻き込まれたまま2時間が過ぎていきます。

 鑑賞後、監督名をみてある程度、納得しました。
『狂い咲きサンダーロード』の人だぁぁああああ!(カルト的大人気“イカレ”映画)

 名作です。傑作です。超オススメです。1回1万円払ってでも、あと10回観たい!
 2000円弱でみられるうちに是非、劇場へ。

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