車椅子バスケ 名もなき選手の引退試合【アフロスポーツ プロの瞬撮】

 スポーツ専門フォトグラファーチーム『アフロスポーツ』のプロカメラマンが撮影した一瞬の世界を、本人が解説、紹介するコラム「アフロスポーツの『フォトインパクト』」。他では見られないスポーツの一面をお届けします。

撮影/文章:長田洋平
西村元樹という車椅子バスケ選手を知っているだろうか。
マイナースポーツの車椅子バスケにあって日本代表歴もない。天皇杯を連覇した神奈川ヴァンガーズの
中でもチームを牽引する選手、という訳でもない。世間的には無名の選手である。
そんな彼が今年の夏に競技からの引退を宣言した。そして、障がい者スポーツ業界では極めて珍しい
引退試合イベントが9月26日に行われた。
 
今回掲載するのは印象的だったシーンや引退試合だからこそ撮れた写真だ。
試合中、彼の全力プレーにコートの中も外も笑顔で溢れた。最も印象的だったのは、最後に放った
ブザービーターの3ポイントシュート。それまでも外しに外しまくったシュートもその時ばかりは
入るのでは、と一瞬期待させたが、あえなくエアボール。それもまた彼らしかった。
 
僕は彼のプレーする姿がけっこう好きだった。
決して上手い選手ではないが、全力でプレーし、コート上で感情を表現する。
その姿はどこかカメラマンの感性をくすぐるものがあり、いつしか彼もまた撮りたい選手の1人に
なっていた。同じような事を思っていた人がおそらく彼の周りには沢山いただろう。
最後の花道を祝ってやろう。そんな思いで作られた引退試合は素敵だった。
 
■カメラマンプロフィール
撮影:長田洋平
1986年、東京出身。かに座。
早稲田大学教育学部卒業後、アフロ入社。
2012年ロンドンパラリンピック以降、国内外のスポーツ報道の現場を駆け回っている。
最近では平昌オリンピック、ロシアW杯を取材。
今年の目標は英語習得とボルダリング5級。
 
★インスタグラム★
アフロスポーツ

1997年、現代表フォトグラファーである青木紘二のもと「クリエイティブなフォトグラファーチーム」をコンセプトに結成。1998年長野オリンピックでは大会組織委員会のオフィシャルフォトチーム、以降もJOC公式記録の撮影を担当。
各ジャンルに特化した個性的なスポーツフォトグラファーが在籍し、国内外、数々の競技を撮影。放送局や出版社・WEBなど多くの報道媒体にクオリティの高い写真を提供し、スポーツ報道、写真文化の発展に貢献している。

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