なでしこジャパン 国際親善試合 コーナーキックをどう撮るか 【アフロスポーツ プロの瞬撮】
スポーツ専門フォトグラファーチーム『アフロスポーツ』のプロカメラマンが撮影した一瞬の世界を、本人が解説、紹介するコラム「アフロスポーツの『フォトインパクト』」。他では見られないスポーツの一面をお届けします。
2024年10月26日 国際親善試合 MIZUHO BLUE DREAM MATCH (撮影/文章:長田洋平 )
コーナーキックは撮るのが難しい。これまで色んな方法を試してきた。
理想としては肉眼でキッカーを見て、放たれたボールの弾道を瞬時に計算し、落下地点に最もコミットしてくる選手をカメラで捕まえる。個人的な見解ではあるが、そうやって撮れればヘディングやゴールシーンを撮れる確率は上がると思う。ただこれは理論に過ぎない。現場の状況はケースバイケースである。
今回はポジションの都合上ボールの出所が見えにくかったため、中で動く選手に注目して撮る事に決めた。ただし、この撮り方では確率は落ちる。中の選手の動きは様々だ。ダミーの選手もいる中で本命の選手を探さないといけない。選手の目線や動きの強度から得られる情報を感覚的に判断して撮る選手を決めていく。というか撮りながら決めることが多い。
今回はキッカーからボールが放たれる前後、最初は背の高い選手の動きを撮っていたが、あまりボールに食らいついていく気配を感じない。ここじゃない、と判断をニアサイドに切り替えた。
視界の隅でニアサイドに勢いよく飛び込む選手が見えていたのかもしれないし、まずはニアサイドをケアするという方法に則ったのかもしれない。
今回掲載したのはこのシーンでゴールを決めた北川ひかるだ。最初は中の集団にいた北川がニアに走り出し、相手ディフェンダーより先にヘッドで合わせてこれが先制点となった。
撮り方としてはとてもリスキーでこれまで数多く失敗もしてきたが、先制点を写せてホッとした。
今回は偶然撮れたようなものだ。やはりほんの少しでもいいので、ボールの弾道は確認すべきだと改めて思ってしまう。
また、この写真はトリミングをしている。出来ればノートリでこれを撮れるようになりたいが、確実性を担保しながらこの画角で撮るとなると、思い切りの良さと、より早い判断力が必要になってくる。その域まで達する地力を見につけるにはさらなる修行が必要だと痛感した。
おまけとしてアシストとなったキッカーの長谷川唯との良い関係性も感じ取れる1枚も添えておこうと思う。
なでしこジャパンは選手達の笑顔がとても素敵だ。
■カメラマンプロフィール
撮影:長田洋平
1986年、東京出身。かに座。
早稲田大学教育学部卒業後、アフロ入社。
2012年ロンドンパラリンピック以降、国内外のスポーツ報道の現場を駆け回っている。
最近では平昌オリンピック、ロシアW杯を取材。
今年の目標は英語習得とボルダリング5級。
★インスタグラム★
アフロスポーツ
1997年、現代表フォトグラファーである青木紘二のもと「クリエイティブなフォトグラファーチーム」をコンセプトに結成。1998年長野オリンピックでは大会組織委員会のオフィシャルフォトチーム、以降もJOC公式記録の撮影を担当。
各ジャンルに特化した個性的なスポーツフォトグラファーが在籍し、国内外、数々の競技を撮影。放送局や出版社・WEBなど多くの報道媒体にクオリティの高い写真を提供し、スポーツ報道、写真文化の発展に貢献している。
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