なぜここに!? 田んぼにポツンと現れる神社だけを集めた写真集『田んぼのまん中のポツンと神社』
田舎道を歩いている時、幹線道路を走る車の中から、一瞬で過ぎ行く新幹線の車窓から──。田んぼの真ん中にポツンとたたずむ小さな神社を見かけたことはないだろうか。そんな “田んぼのまん中のポツンと神社” だけをまとめた日本で唯一の写真集、その名も『田んぼのまん中のポツンと神社』(飛鳥新社)が発売された。

著者のえぬびいは日本各地の「田んぼのまん中のポツンと神社」を探し出し、記録している写真家。2022年頃からSNSでバズり出し、時には1枚の写真に4万以上の「いいね!」がつくことも。
これらの神社はほとんどが小さな祠であり、地図に神社として記載されていないケースも多々ある。著者は地図の衛星写真とにらめっこし、田んぼの中にこんもりとした木立などがあるのを目印に探し出しているという。
巡りゆく季節ごとにさまざまな表情を見せる「田んぼのまん中のポツンと神社」。春は水が張られてきらきらと輝く田んぼの中に、まるで水上に浮かぶ島に。夏には、見渡す限りの稲の草原の中で、来たる豊作を見守って。収穫の秋には、一面黄金色に染まる田んぼの中で。冬には、一面土色あるいは雪に埋もれ、静かで寂しげに。途方もない時間と労力をかけて撮影された写真の数々になぜか心をつかまれるだろう。
著者はまえがきで読者に「ポツンと神社のある風景、それは古来から日本人の生活や文化に密接に根付いていた田んぼと神社の結びつきによって生まれたものであり、まさに日本人の心の原風景とも呼べる郷愁と憧憬の風景だ。
巡りゆく季節ごとに様々な表情を見せてくれる。それぞれの神社に長い歴史の中で受け継がれた伝説や風習も独特なものがあり、それら伝承を探ることもまた面白みがある。
私はポツンと神社を親しみを込めて『ポツ神(ポツジン)』と称し、本書でもそのように記している。なんだか可愛らしく、より身近で楽しげに感じられないだろうか。あくまでも敬意は忘れずに持っているので許してほしい」と呼びかけている。『田んぼのまん中のポツンと神社』 は飛鳥新社より発売中。定価2420円(税込)、B5判変形、144ページ。