金メダリスト対談 女子柔道・角田夏実×技能五輪・吉⽥陽菜「負けず嫌いなところは同じですね」
持続可能な未来へ向けた取り組みや、目標達成のヒントとなる話題を各界の著名人とビジネスパーソンが語り合う「シリーズ:未来トーク」。今回は目標5「ジェンダー平等を実現しよう」に関わるテーマ「女性活躍」の視点からも注目したい、2人の女性金メダリストが対談。2024年パリ五輪柔道女子48kg級の金メダリスト角田夏実選手と、第62回技能五輪全国⼤会「情報ネットワーク施工」職種で女性として初めて金賞を獲得した吉田陽菜選手(株式会社ミライト・ワン所属)が分野を超えて、挑戦することの大切さを語り合う。

オリンピックと技能五輪…2人の金メダリスト、メンタルは好対照
角田夏実選手(以下:角田)「私は今回、初めて技能五輪のことを知ったのですが、さまざまな技能の部門がある中、吉田さんは出場された部門で女性初の金賞受賞という快挙を達成されたそうですね」
吉田陽菜選手(以下:吉田)「はい。技能五輪は青年技術者が技能レベルを競う大会で、工業系からサービス系など、さまざまな職業の部門があります。若手育成を目的としているため原則的に出場できるのは23歳以下なのですが、私が出場した「情報ネットワーク施工」職種は24歳以下の出場になります。今回その職種で女性として初めて金賞を受賞し、所属のミライト・ワンとしても初の金賞受賞者となることができました」
角田「技能五輪を目指したきっかけは何ですか?」
吉田「私が通っていた高校に、ミライト・ワンの技能五輪チームの方たちが来てくださったんです。ミライト・ワンは通信インフラ設備などの事業を手がける企業で、技能五輪では多くの所属選手が活躍しています。その選手たちのデモンストレーションを初めて目の当たりにし、かっこいいな、自分も出たいと思いました。それで技能五輪出場を目指すべくミライト・ワンへの就職を決めました。ちなみに今、私の指導員を務めてくれている先輩は、そのとき高校に来てくださった女性選手なんです。女性技術者、若手技術者が夢や目的をもって働ける環境なんだと、とても刺激を受けました」
角田「私も、よく学校などでデモンストレーションをさせていただくのですが、そんなふうに良い刺激になれていたらうれしいです」
吉田「私自身、角田選手をはじめアスリートの方々から勇気をもらった1人です。パリオリンピックの試合も手に汗を握りながら見ていました。少し恥ずかしい話なのですが、金メダルを獲得した姿にすごく刺激を受けて、恩師に“私も五輪で金メダル決めてきます”と宣言して技能五輪に臨んだんです」
角田「すごくかっこいいです! 私はメンタルが弱くて“勝ってきます”とは言えなくて、大体どの試合でも“負けたくないです”というのが精いっぱいでした。ただ、自分自身の中では、絶対に負けたくないし、悔いの無い試合をすると心に決めて備えていました」