トランプ関税に立ち向かい、日本経済を立て直す!【長島昭久のリアリズム】
「歴史は繰り返さないが韻を踏む。」
アメリカの著名な作家マーク・トウェインの言葉とされています。
欧州ではウクライナ戦争が続き、アジアでも台湾海峡や朝鮮半島に不穏な空気が立ち込め、米中貿易戦争が激しさを増しています。
世界経済が再びブロック化する様相は、百年前の1930年代の世界情勢と重なります。
私は、国家安全保障担当の内閣総理大臣補佐官として、これらの地政学的リスクに的確に対応できる外交・安全保障体制の構築に全力を挙げて参ります。

また、理不尽な関税政策には毅然として対応し、国際的な自由貿易秩序を守って参ります。
トランプ政権の「関税攻勢」から国民の生活を守る
海外情勢は、国内経済にも大きな影響を及ぼしています。
長く続いたデフレという闇の中をようやく抜け出しかけていたところに、トランプ政権による「関税攻勢」が襲い掛かかり、物価高騰に喘ぐ国民生活をさらに圧迫しています。
年明けのころには、「成長と分配の好循環」のサイクルがようやく回り始め、企業の賃上げから個人消費の回復、そして物価目標の達成・・・そんな光が見え始めた矢先に、関税をめぐる激しい米中対立が自動車をはじめとする日本の輸出産業、ひいては私たちの生活に暗い影を落としています。
消費者物価は2%を大きく超え、インフレが現実のものとなりつつあります。
一方で、デフレ・マインドから抜けきれない企業の内部留保は、なお過剰です。
日本経済は、いわば「インフレ下のデフレ圧力」という二重の重みに苦しんでいます。
さらに、少子高齢化という日本経済が抱える構造問題も横たわり、働き手が毎年数十万人規模で減り続ける中、生産性の劇的向上がなければ、日本の未来は危ういものとなってしまうでしょう。
未来を拓く新国家戦略「技術と人への大胆な投資」
この国難を乗り切るためには、これまでの延長線上ではない、「新たな挑戦」へと踏み出さねばならないと痛感します。
それは、未来を拓く国家戦略「技術と人への大胆な投資」です。
世界の誰よりも先に、未来を創る産業に賭ける。世界の誰よりも真剣に、人間の力を育てる。それが、日本経済を再び力強い成長軌道に乗せる唯一の道だと確信します。
まず第一に、「技術への投資」です。
半導体、人工知能、量子技術、ロボティクス、ナノテクノロジー。
この5つの分野を、国家の中核戦略として位置づけ、10兆円規模の「成長技術投資ファンド」を創設し、全国に「イノベーション・コア」と呼ばれる次世代研究拠点を整備することを提案したい。ここで民間と大学、そして国と自治体が連携し、日本初の技術を世界へと羽ばたかせていくのです。
第二に、「未来技術減税の導入」です。
世界を制する先端産業における研究開発と設備投資に対し、大胆な減税と即時償却を認め、スタートアップや中堅企業も思い切った挑戦ができるよう支援するのです。
第三に、「人への投資の抜本強化」です。
STEM分野(※)の博士課程やリスキリングを無償化する「未来人材育成債」を導入し、企業による職業訓練を徹底的に後押しします。
働く一人ひとりが、創造の担い手となる社会へ。これは、単なる再教育ではありません。人生にもう一度、挑戦のチャンスを届ける「社会契約の刷新」といえるでしょう。
※STEMは、science, technology, engineering and mathematicsの頭文字で、科学・技術・工学・数学の教育分野。
第四は、「未来インフラへの国家的投資」です。
自動運転、スマートグリッド、量子通信、脱炭素社会。
こうした分野に30兆円規模のインフラ投資を行い、未来の「当たり前」を、今から創っていくのです。
そして最後に強調したいのが「分配の再構築」です。
中間層の所得を引き上げる税制改革と、段階的な最低賃金の引き上げ。そして、政府が税制優遇を通じて下支えする「支援付き最低賃金保証制度」の創設。
これは、働く人すべてが尊厳をもって暮らせる社会を実現するための、力強い一歩なのです。

国難に立ち向かい、「未来に誇れる日本」を創ろう!
「失われた30年」と呼ばれる負の遺産は確かに大きいですが、ピンチはチャンス。
今ここに、「新たな30年」を始めるチャンスがあると確信します。
なぜなら、この国には世界に誇る技術があるからです。
困難に立ち向かう人々の知恵と情熱があるからです。
そして何より、この国には、過去の国難を克服した誇りと未来を切り拓く力があるからです。
変化を恐れず、挑戦を拒まず、日本を再び、世界の希望として輝かせるために。今こそ、歴史を動かす時。まさしく、「未来に誇れる日本」を創る時なのです。
衆議院議員 長島昭久
自由民主党 衆議院議員8期・東京30区(府中市・多摩市・稲城市)。総理大臣補佐官
【国家安全保障担当】
1962年生まれ。慶應義塾大学で修士号(憲法学)、米ジョンズ・ホプキンス大学SAIS
で修士号(国際関係論)取得。2003年に衆院選初当選。これまで防衛大臣政務官、防
衛副大臣を歴任。2019年6月に自由民主党に入党。
日本スケート連盟会長、日本スポーツ協会参与。