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衝撃を受け止めろ!「NIGHT TOUGHT」suede

2016.01.25 Vol.659

 1992年にデビューしてからというもの、さまざまな話題と数々の名曲を世に送り出してきた英バンドのスウェードが最新アルバムをリリース。前作から約3年のインターバルをおいて発表される本作は、ファンの期待を裏切らない美しいアルバム。バンドのキャリアにとって重要な作品となった前作『Bloodsports』同様、『suede』『Dog Man Star』『Coming Up』といった彼らの珠玉の名盤を手掛けたエド・ビューラーをプロデューサーに迎えている。先行シングル『outsiders』や収録曲『Like Kids』を通じて、ブレッドの伸びやかで艶のある歌声と絡み合うリチャードのギターの図は、耽美で壮大な世界を感じさせる。ファンの期待を最大限に引き上げていたが心配ない。そんな期待は軽々飛び越える。

[ROCK ALBUM]
ワーナー 発売中 CD+DVD 3124円 CD 2547円(税別)

衝撃を受け止めろ!「矛と盾 」Fly or Die

2016.01.24 Vol.659

 俳優か文筆家かミュージシャンか、お笑い芸人か—。たくさんの肩書きを持つマキタスポーツ。そんな彼が今最も力を入れているであろうと思われるのが、ビジュアル系バンドのFly or Die(フライ・オア・ダイ)だ。人気バラエティー『ゴッドタン』の企画から生まれたバンドではあるが、音楽を愛するゆえに音楽を批評し、また細部まで分解して、音楽の持つ魔法とは何なのかを追求してきただけに、ファーストアルバムとは思えない完成度。そして「テレビから出てきたやつでしょ」といった目線で聞ききることはできない作品だ。もちろんパロディー曲もあるし、ユニークな歌詞もある。だけれど本気でかっこよさを求めるおじさんたちがここにしっかりといるのだ。人気上昇中なのも納得。

[J-POP ALBUM]
日本コロムビア 発売中 3000円(税別)

新しいサウンドで加速する!「女の46分」チャラン・ポ・ランタン

2016.01.12 Vol.658

 昨夏のフジロックでは、目撃した人すべてを愉快な気分にさせるライブで魅了した姉妹ユニットのチャラン・ポ・ランタン。最新作となる本作には、タイトルから暗示されるように、女たちのさまざまな物語が押し込められている。アコーディオンやヴァイオリンやら、いろんな楽器が所せましと並ぶ彼女らのライブのステージ上を音にしたよう。シングル『メビウスの行き止まり』を含め全13曲を収録。遊び心も満載で、例えば『テイラーになれないよ』は冒頭から、このテイラーは、あのテイラー・スイフトだろうとさらりと思わせてくれる。

[J-POP ALBUM]エイベックストラックス 発売中
Blu-ray+CD4860円 DVD+CD3780円、CDのみ2916円(すべて税別)

新しいサウンドで加速する!「Not To Disappear」Daughter

2016.01.12 Vol.658

 ドーターは、英ロンドンで結成された3ピースバンド。ダークでメランコリックなサウンドが特徴で、デビュー作『イフ・ユー・リーヴ』は世界的なヒットとなり、フェスやイベントで来日もしている。本作はそんな彼らが放つ最新アルバム。ディア・ハンターやアニマル・コレクティブを手掛けたニコラス・ヴァーネスとともに彼のニューヨークのスタジオで制作している。

 ヴォーカルのエレナの歌声は、浮遊感のあるサウンドと重なって、ダークファンタジーの語り部のようにも感じられるが、実際は私たちとは別の世界の物語ではない。どちらかというと自分たちの話だ。音に包まれる感覚が心地よさを感じるアルバム。

[ROCK ALBUM]4AD/Hostess 1月15日(金)発売 2592円(税込)

新しいサウンドで加速する!「★」David Bowie

2016.01.11 Vol.658

 英国を代表するロックスターであるデヴィット・ボウイが自身の誕生日である1月8日に最新アルバム『★』(ブラックスター)をリリースした。数々の作品を通じて、新たな芸術表現を創り上げてきたが、通算28枚目となる本作でもボウイの姿勢は変わらない。

 奇跡の復活となった前作『ザ・ネクスト・デイ』も担当したプロデューサーのトニー・ヴィスコンティによれば、これまでの過去のボウイの要素が入り込まないようにミュージシャンを起用するなど新しいことにこだわったよう。その結果、タイトルトラックはダークでグラマラス、少しセンチメンタル。そこにビートが絡みついていく約10分の壮大な曲になっている。

[ROCK ALBUM]ソニーミュージックジャパン インターナショナル 発売中 2500円(税別)

新しいサウンドで加速する!「両成敗」ゲスの極み乙女。

2016.01.10 Vol.658

 昨年大みそかに紅白歌合戦に初出場を果たしたロックバンド、ゲスの極み乙女。の最新アルバムは、紅白で緊張のあまり歌詞が飛んでしまった!というハプニングなんて、簡単に吹き飛ばしてしまうであろう会心の作だ。ポップでキャッチー、ロックでダンサブルでもある。どことなく奇妙な感じなのだが、中毒性がある。歌詞はというと、シンプルですっと入ってくるように見せかけながらも、フレーズを咀嚼していくほどに「ん?」となることも多々。それこそが彼らの魅力であり、支持される所以でもある。

 本作を携えて行う全国ツアーは激しいチケット争奪戦が繰り広げられたそうだ。

[J-POP ALBUM]ワーナー 1月13日(水)発売
初回限定盤(CD+DVD)3500円 通常盤3000円(ともに税別)

新しいサウンドで加速する!「Right Now」ASIAN KUNG-FU GENERATION

2016.01.09 Vol.658

 バンドの結成から20周年のアニバーサリーイヤー。アジカンこと、アジアン・カンフー・ジェネレーションにとって2016年はちょっと特別な年といえそうだ。その幕開けとなるのが年明け早々にリリースされた本シングル『Right Now』。最新アルバム『Wonder Future』で聴かせてくれたラウドなロックの流れを継続しつつ、“アジカンらしさ”のキモでもあるエモーショナルな要素が重なり、言葉の連なりがリスナーに訴えかけてくる。この曲は公開中の映画『ピンクとグレー』(行定勲監督)のために書き下ろされた曲で、独特なアートワークも含めて、映画と寄り添いつつも、アジカンの作品としても自立する楽曲だ。

 カップリングは、昨年のツアー『Wonder Future』から厳選されたライブ音源を3曲も収録している。オーディエンスの歓声や拍手、バンドのちょっとしたMCなど、その端々から、日本のみならず世界も魅了した彼らのライブの熱を感じることができるような気がする。この1年、アジカンがどんな活動を展開するのか、どんなライブで熱狂させてくれるのか。本作を聞くほどに期待が膨らむばかりだ。

[J-POP SINGLE]キューンミュージック 発売中
初回生産限定盤(CD+DVD)1500円 通常盤1250円(ともに税別)

年末年始のサウンドトラック「White Light」 The Corrs

2015.12.28 Vol.657

 透明感のあるボーカルに、その連なりが作るハーモニー、そして清らかなメロディーからなる楽曲の数々を発表してきたアイルランド出身の兄弟バンドの最新作。1995年にデビューしてから、数々の名曲を発表、確かな結果を残しつつも2005年に活動休止。それから10年のインターバルを経ての本作は、美しくエモーショナル。楽曲はもちろん、メロディーの一遍、フレーズの一つひとつが涙腺を刺激する。アルバムには、タイトル曲のほか、先行シングル『ブリング・オン・ザ・ナイト』、彼らのルーツを感じる『ジェリーズ・リール』など全12曲を収録。収録曲のうち8曲は、ボン・ジョヴィや、ミシェル・ブランチ、シェリル・クロウなどを手掛けたジョン・シャンクスがプロデュースを担当。

年末年始のサウンドトラック「東京スカ・プレイズ・ディズニー」 東京スカパラダイスオーケストラ

2015.12.28 Vol.657

 世界中の老若男女に愛されるディズニーの音楽。空前のヒットとなった『アナと雪の女王』の『レット・イット・ゴー〜ありのままで〜』を筆頭に、ディズニー音楽には数えきれないほど名曲があり、オリジナルとともに、ロックやエレクトロニックミュージック、ダンスミュージックにアレンジされたりして新たなアレンジでも楽しまれている。本作はスカ! 日本が誇る東京スカパラダイスオーケストラがスカサウンドでカバー。『レット・〜』のほか、『星に願いを』『小さな世界』『ミッキーマウス・マーチ』など全8曲を収録した。『ホール・ニュー・ワールド』では、話題の姉妹ユニットのチャラン・ポ・ランタンが参加。新解釈のディズニー音楽から刺激を受けられそう。

年末年始のサウンドトラック「When The Morning Comes」 A Great Big World

2015.12.28 Vol.657

 水晶を思わせる楽曲で世界を夢中にさせるニューヨーク出身のピアノポップデュオ、ア・グレイト・ビッグ・ワールドの最新作。ピュアで大自然を音にしたような壮大さ、美しいメロディーは、膨らみ切った期待を裏切らない。目を閉じて楽曲に耳を傾ければ頭上に大空が広がり、はるか遠くに地平線も見えてきそうな気がしてくる。美しく優美なアルバムだが、制作時には世界で愛された前作を超えるものを作ることができるのかというプレッシャーに押しつぶされそうになるときもあったというが、そのうえで音楽を作ること届けることの幸福を感じられたことで完成に至った。そうして作られた楽曲たちが、日々感じている悩みや、どうにもならないもやもやを洗い流してくれる。

年末年始のサウンドトラック「渋谷純愛物語2」SPICY CHOCOLATE

2015.12.28 Vol.657

 ヒット曲『ずっと』を生んだSPICY CHOCOLATEの『渋谷純愛物語』シリーズの第2弾が完成。収録曲は全13曲で、どの曲も胸がきゅんとするものばかり。『ずっと』を彷ふつとさせる『ずっとマイラブ feat. HAN-KUN & TEE』や『あなたと明日も feat. ハジ→ & 宇野実彩子(AAA)』『ミスキャスト feat. 大橋卓弥 (スキマスイッチ) & 奇妙礼太郎』など心に染みるミディアムソング、『Last Forever feat. 加藤ミリヤ & SKY-HI』などのダンサブルなナンバー、レゲエチューンまで、さまざまなサウンドにそれぞれの純愛ストーリーを乗せた。初回盤のDISC-2は本作収録曲のほか、他アーティストのヒットチューンを加えたミックスCDになっている。心が温まるアルバム。

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