ドラムを叩きながら歌うカッコいい女、シシド・カフカ。ドラマへの出演など音楽以外のフィールドへも活動範囲を広げていた彼女が、再び力強いドラミングと歌を聞かせてくれる。ロックテイストでありつつも、ポップセンスふんだんに散りばめられている本作。それぞれの楽曲の素晴らしさはもちろん、どうかしちゃったのという豪華さもある。ドラマ『医師たちの恋愛事情』の主題歌『Don’t be love』が斉藤和義プロデュース。他楽曲にも、甲本ヒロト、TOSHI-LOW(BRAHMAN)、渡辺俊美(TOKYO No.1 SOUL SET)、YO-KING(真心ブラザーズ)がクレジット。
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女たちの歌声を聴く。「エモーション」カーリー・レイ・ジェプセン
新世代のポッププリンセスとして広く認知された感のある、カナダ生まれの女性アーティスト、カーリー・レイ・ジェプセン。カーディガンズの『ラブフール』を手がけたピーター・スヴェンソンとタッグを組んで制作したポップソング『アイ・リアリー・ライク・ユー』は、一度聴いたら忘れないどころか脳内でリピートし続ける魔法のような曲で今もなお好調が続いている。そんななかでリリースされる本作は豪華なスタッフと制作。『アイ・リアリー〜』はもちろん、表題曲や『オール・ザット』など、ボーナストラックを含む全18曲を収録。デラックス盤のDVDにはミュージックビデオ、インタビューなどを収録。
女たちの歌声を聴く。「こううたう」柴咲コウ
時代を超えて歌い継がれる名曲の数々を柴咲コウがうたう。そして彼女なら「こううたう」。本作でカバーしたのは全部で15曲。ロック、歌謡曲とジャンルはさまざまで、曲調もアップテンポあり、バラードありと、魅力的な歌い手としての柴咲コウを再確認させてくれる。『ただ泣きたくなるの』(中山美穂)、『アイ』(秦基博)とそっと寄り添う曲、情感たっぷりの『めちゃくちゃに泣いてしまいたい』(工藤静香)など愛の歌といってもタイプはさまざま。さらには『桜坂』(福山雅治)、『若者のすべて』(フジファブリック)、『糸』(中島みゆき)なども収録している。柴咲の歌唱、アレンジメントを含めて、何度も聞きたくなるカバーアルバムだ。
女たちの歌声を聴く。「#1 インフィニティ」マライア・キャリー
改めて説明が必要がないほど、圧倒的な表現力と、たくさんのヒット曲、その一挙手一投足にパパラッチが群がる歌姫、マライア・キャリー。今年デビューから25周年を迎えるが、その存在感は揺るぎない。その記念碑的な作品となるのが本作だ。『エモーションズ』『ドリームラヴァー』『ヒーロー』などヒット曲をまとめたオールタイムベストに、自ら書き下ろし、プロデュースも行った新曲『インフィニティ』を加えて現時点で最強のベスト、ベストオブベストを完成させた。新曲は重厚で荘厳なR&B曲。ポスト・マライアと称されるアーティストは多くいるが、本作はマライアが唯一無二の存在であることを知らしめる。
ミライを聴く。「Happy Umbrella」シナリオアート
ロックとエレクトロニカ、シューゲイズをポップで包むドラマティックミュージック。公式ウェブサイト上のプロフィルに書かれた説明は見事だ。男女ツインボーカルのスリーピースバンドが放つファーストアルバムを一聴すれば誰もがそう思うはずだ。男女のボーカルの連なりやドリーミーなメロディーラインの楽曲の組み合わせは童話的になってしまいそうなところを、疾走感あふれるギターがきりっと引き締める。そのバランスがとてつもなく心地よいだけでなく、リスナーを彼らの音楽が織りなす世界へ連れて行く。本作は「降り注ぐ悲しみの雨から 幸せの傘であなたを守る」ということを考えて作ったという。
ミライを聴く。「Wonder Future」ASIAN KUNG-FU GENERATION
真っ白なジャケットは手にした人それぞれが自分自身の『Wonder Future』を描くため。アジカンはいろんな形で粋なことをする。ソリッドでシンプルな楽曲&アルバムに込められた熱を感じながら全11曲を聴いていると、描きたい『Wonder Future』がクリアになったりぼやけたり……。頭のなかも考えがぐるぐると巡って真っ白になったり、本作はそんなアルバムだ。
米ロックバンドのフーファイターズのスタジオで制作されたそうで、若さゆえの前のめりではなく、前傾姿勢で前進していく強さを感じる。踊れるロックとは一線を画すロックの王道を示す力強いアルバム。何度でも聞いて味わい尽くし考え尽くしたい作品だ。
ミライを聴く。「カブラモ!」ASH
北アイルランド出身のスリーピースバンドが放つ最新作。90年代からパワーポップのキラーチューンを多く発表し、現在第一線で活躍する日本のロックバンドにも多大な影響を与えた彼ら。前作から8年のインターバルを経て完成させた本作には、往年のファンをガッツポーズさせ、初めて出会ったリスナーをジャンプさせるメロディックでポップな楽曲が詰まっている。
ファーストシングルで、メンバーが「バンドの最高の状態」という『コクーン』が良い例。この本作までアルバムの概念から離れていたバンド。本作で再びアルバムを念頭に音楽について考えられるようになったという。スペシャルなアルバム、必聴。
ミライを聴く。「ドローンズ 」MUSE
力強く分厚いロックサウンド、そしてそのカリスマ。史上最強のスリーピースと称されて久しい、英ロックバンドの最新作。常に作品の聴き心地やアルバム・楽曲の持つ世界観やメッセージを通じて、思考させ議論させる彼ら。
本作もまた新たな問題提起をする。本作のタイトルは「頼るものもない精神病的な行動を可能にする、比喩的な意味での精神異常者」を示すといい、人類が希望を失い自身を放棄し、ヒューマン・ドローンに追い込むシステムに洗脳されるが、最後にはそこから離反していく、その人類の物語を探求する作品だと説明する。フジロックで来日決定。
ミライを聴く。「空からの力:20周年記念エディション」キング・ギドラ
日本のヒップホップシーンを黎明期から支え発展させ、今もなお数多くのアーティストに影響を与え続けるキング・ギドラ。
ZEEBRA、K DUB SHINE、そしてDJ OASISのメンバーは個々でもその魅力を発揮。さまざまなフィールドで活躍している。本作は、彼らのデビューアルバムであり、ヒップホップアルバムのクラシックとされる『空からの力』がリリースから20周年を迎えるにあたり、これまで発表されていなかった激レアなデモ音源なども収録したリマスタリング盤。そのレア音源について、ZEEBRAは、5月に出演した音楽イベント「RHYMESTER presents 人間交差点2015」のステージで「俺じゃない…」と苦笑いしつつ、アップデートした本作には満足そうだった。日本のヒップホップの最重要アルバムのひとつ、今聞かずにいつ聴く?
聴けば体が動きだす!「True Colors」ZEDD
EDMブームの立役者の1人として世界各地を飛び回る、DJでプロデューサーのZEDD(ゼッド)が地球規模の大ヒットとなったアルバム『クラリティ』に続く最新アルバムをリリース。彼の新章の幕開けともいえる本作には『アディクテッド・トゥ・ア・メモリー feat.バハリ』『アイ・ウォント・ユー・トゥ・ノウ feat.セレーナ・ゴメス』を始め、ボーナストラックを含む全13曲を収録。メリハリのきいたトラックに、リスナーの心の琴線を震わせるメロディーライン、透明感、爽快感、そして高揚感のある“ZEDDブランド”と称される彼ならではのサウンドが満載だ。
現在、本作を携えツアー中。6月には東京と大阪でプレミアムライブが行われる。東京の日程は4日で新木場スタジオコースト。ZEDDの新章をいち早く見るチャンスだ。
聴けば体が動きだす!「ビールとジュース」サ上と中江
ヒップホップグループ、サイプレス上野とロベルト吉野のサイプレス上野と、ガールズ・ダンス&ボーカルグループの東京女子流の中江友梨からなるヒップユニットのミニアルバム。番組『サイプレス上野と中江友梨の青春日記』(MTV、すでに放送終了)から生まれたユニットで、タッグの組み方は異色だし、2人のジェネレーションギャップもまたハンパじゃない。
楽曲にはそのギャップがそのまま落とし込まれていて、面白いし、ちょっと切ない気持ちにもなる。ポップでキャッチーな楽曲もあるが、本気であることがビシビシと伝わってくる。おりしも女性によるヒップホップが注目を集めている。彼女たちが既存のヒップホップイメージを裏切る作品を発表するなかで、王道を行きながら衝撃を与える作品だ。