唯一無二の歌声と驚愕のメロディーセンスで聴く人すべての心をがっちりとつかんでしまう。そんな楽曲を世に送り出す彼は、ミュージシャンズミュージシャンの顔もあって、他アーティストへの楽曲提供、さらにはコラボレーション作品も多い。本作はそのコラボ作品、フューチャリングしたりされたりした楽曲ばかり14曲を収録。スキマスイッチの大橋卓弥の『ピアノとギターと愛の詩(うた)』、福耳の『LOVE & LIVE LETTER』といったオーガスタの面々との楽曲はもちろん、KREVA『生まれてきてありがとう feat.さかいゆう』などジャンルもメンバーもバラエティー豊富。
CD/MUSICカテゴリーの記事一覧
音楽で「つなげる」、「つないでいく」こと。
音楽で「つなげる」、「つないでいく」こと。
「ベスト・オブ・KISS 40」
誰もが数曲は彼らの楽曲を知り、例え音楽を知らなくてもインパクトのありすぎるビジュアルは知っているであろう、米ハードロックバンドのKISS。結成以降、さまざまな変化をしながらも、世界中でロックし続けて、今年はデビュー40周年のアニバーサリーイヤー。それを記念する世界ツアーを展開する。日本でも今月23日の名古屋の日本ガイシホールを皮切りに、3月3日の東京ドーム公演まで、全国5都市で5公演が行われることになっており、東京ドーム公演には、ももいろクローバーZの出演が決定したことでさらに話題を集めている。
本作は彼らの来日を記念し日本独自企画で制作されたスペシャルなアルバム。ももクロとコラボした新曲『SAMURAI SON(U.S.ミックス)』の他、『ロックン・ロール・オール・ナイト』『狂気の叫び』『デトロイト・ロック・シティ』『ラヴィン・ユー・ベイビー(シングル・エディット)』なども収録。ビギナーに最適。
コザの街で歌うフォークとブルース『sing KOZA blues』ひがよしひろ
コザといえば、昔からロックの街として全国的に知られている。70年代には、紫やコンディション・グリーンといった伝説のバンドが続々と登場し、オキナワン・ロックというジャンルを作り上げたがその一方で、フォーク・シーンも存在していたことはあまり知られていない。
ひがよしひろは、そんな70年代のころから音楽活動を始め、今も現役で歌っている数少ないフォーク・シンガー。フォークといっても、彼の渋くしゃがれた歌声はブルースといったほうがいいかもしれない。全国津々浦々を放浪しながら実力を付けてきたが、なぜかこれまでレコード・デビューすることはなかった。しかし、満を持して発表したのが、このファースト・アルバムとなる『sings KOZA blues』だ。
アルバムのタイトルからも分かるとおり、コザの風景が切り取られたナンバーが多数収録されているのが、本作の特徴。まずは、返還前のギラギラとした街の風景が描かれた『熱帯夜』と、まだ映画館があったころのゲート通りを優しく見つめる『KOZA黄昏に吹かれ』との対比と表現力に圧倒される。また、無骨なブルースをベースにした『別れはブルースで』や『彼女はいい女』、そしてまるで70年代のボブ・ディランを思わせるフォークロックの『女優』といったナンバーからは、彼がフォークとブルースを自由に行き来できるセンスを持っているのがよく分かる。三線の音色も取り入れながらウチナーグチで披露する美しい『月夜の願い』や、どこかノスタルジックながらも今を生きる友人たちへのエールを込めた『語る想いは友からの夢』なども説得力満点。ラストの『ヨンナァ』も愛する人へのメッセージが心に染み渡る。この冬、ちょっと暖まりたいなら必聴の一枚だ。(栗本斉)
シンガーはホンモノ嗜好「クリア」吉井和哉
昨年キャリア初となるカヴァーアルバムをリリースしたことで、シンガーとしての魅力を幅広い層に知らしめた吉井和哉。本シングルはタイトル曲カップリング曲、それぞれが彼の新たなスタートを宣言しているように思える作品だ。別れや旅立ちといった分かりやすいワードが使われているのはもちろん、それぞれの楽曲のテイストや世界観がこれまでの彼のイメージとは異なって新鮮だからだ。この先に続く道のりや大海原へと漕ぎ出していくような楽曲に吉井のクリアなボーカルがフィットしていて心地よい楽曲だ。
シンガーはホンモノ嗜好「VOCALIST 6」徳永英明
徳永英明が女性アーティストの名曲を彼の匠の技と唯一無二の歌声でカヴァーする人気シリーズの最新作が完成した。これまでも時代や社会環境を超える珠玉の名曲を歌ってきたが本作でも、先行シングルの山口百恵のバラード『さよならの向こう側』をはじめ、薬師丸ひろ子の『Woman“Wの悲劇”より』といった美しい曲が並ぶ。また、trfの『寒い夜だから…』やキャンディーズ『やさしい悪魔』など軽快さが魅力の曲も歌い上げる。ラストのレリゴーも聞き応え満点。
シンガーはホンモノ嗜好「イン・ザ・ロンリー・アワー」サム・スミス
今最も聴くべきアーティストを1人挙げるならば、それは間違いなくサム・スミスだ。美しく繊細でありながらも力強く、さまざまな傷を負うことでしか獲得できない強さや優しさといった、相反するようでいてセットであって初めて成立する魅力を持つシンガーだからだ。そんな彼の歌声は、アデルのマネジャーを驚かせ、レディ・ガガを感嘆させ、音楽関係者はもちろん、耳の肥えた世界の音楽ファンを虜にした。彼は2月発表のグラミー賞において主要4部門すべてにおいてノミネートされた。このアルバムも最優秀ポップアルバム賞の候補だ。リード曲『ステイ・ウィズ・ミー〜そばにいてほしい〜』他、ボーナストラックを含む全21曲を収録。すべてサム本人の恋愛経験がモチーフになっている。胸が苦しくなる。
2015年を彩るサウンド「ヒロイン」back number
心の琴線に触れる楽曲の数々で支持を集めるバンド、back numberがニューシングルをリリース。タイトル曲は、広瀬すずが出演するJR SKI SKIのCMソングとしておなじみのミディアムバラード。気持ちを伝えたいけれど伝えられない臆病な恋を歌った、男性サイドからの切ないラブソング。小林武史がプロデュースしている。一転、カップリングの『アーバンライフ』と『アップルパイ』は力強い言葉とサウンド、ちょっとした繊細さからなるロックなナンバー。このシングルで彼らのさまざまな魅力が聞ける。
2015年を彩るサウンド「Tree」SEKAI NO OWARI
ファンタジックでドリーミーな音楽とその世界観で人気を集めるバンド、SEKAI NO OWARI。昨年も多くのヒット曲を生み出したが、今年もその勢いは止まらない。新年早々にリリースされるセカンドアルバムは彼らの世界があふれ出る。『Dragon Night』『炎と森のカーニバル』『スノーマジックファンタジー』といったシングル曲を含む13曲を収録している。初回限定盤は昨年のツアーのライブの模様を収録したDVDつきで、ステージ上で繰り広げられる彼らの世界も楽しめる。夏には日産スタジアム2DAYSも決定。今年もセカオワ旋風が吹き荒れる。
2015年を彩るサウンド「Never Been Better」OLLY MURS
日本でも大人気のUKポップスター、オリー・マーズの最新作。本人いわく、タイトルが示すように“これ以上ない”自信作。収録曲も“これ以上ない”といわんばかりのハッピー感あふれるものばかりだ。リード曲『ラップド・アップ (feat.トラヴィー・マッコイ)』は突き抜けるように明るいし、タイトルトラックはより地に足のついたナンバーだが肩で風を切っているようなロック調の楽曲。もともと英人気オーディション番組「Xファクター」で実力を認められた彼の磨き上げられた歌唱が聞ける。オリーの歌声が新しい年のスタートダッシュを後押ししてくれそう。
2015年を彩るサウンド「Girls In Peacetime Want To Dance」Belle And Sebastian
90年代にデビューして以来、全世界のインディーキッズたちのハートをつかみ続けるベルセバこと、ベル・アンド・セバスチャン。さまざまな優れたミュージシャンやバンドを輩出しているスコットランドのグラスゴー出身で、ベルセバもその独自の音楽シーンの代表格だ。美しくもキュートなメロディーラインと繊細な世界観、さらにどこか懐かしさを感じさせる楽曲が特徴だ。2010年の『Write About Love』以来のスタジオアルバムとなる本作では、ダンスパーティーの要素を取り入れ、『ザ・パーティー・ライン』などビートに合わせて自然と体が動き出すようなナンバーも。もちろん、ベルセバならではのソフトな世界も堪能できる。アニマルコレクティブやナールズ・バークレイのベン・H・アレンがプロデュースとミックスを担当していることをみるとこの仕上がりにも納得する。大きな期待を寄せるファンはもちろん、新たなファン層も呼び込みそうなアルバムといえる。
2015年を彩るサウンド「RATWORLD」MENACE BEACH
英リーズ出身のサイケポップバンド、メナス・ビーチがデビューアルバムを完成させた。これまでもEPやダウンロードで楽曲を発表してきたけれど本作が初めてのフルアルバム。浮遊感のあるサウンドや歪められたボーカルやそれに重なるハーモニーがまるでイリュージョン。目を閉じて楽しみたいロックアルバムだ。メンバーは本作について「サイケなワンダーランドを旅して不幸な生活様式に別れを告げるドキュメンタリー」と語っている。英音楽紙が今年最も期待される英バンドに挙げ、ジョニー・マーもファンだという。聞いておきたいアルバムだ。