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大谷ノブ彦 カタリマス!(裏)第50回 エンブレム問題は、パクリ探しで終わっちゃいけない。

2015.09.04 Vol.649

 9月の声を聞くとともに比較的過ごしやすい日が続いています。涼しくなったと感じる一方で、ますます過熱しているのが、2020年東京オリンピック・パラリンピックのエンブレム問題。1日には、組織委員会が白紙撤回を決め、選考し直すことを決めました。
 
 この件について、デザインを手がけた佐野研二郎さんの盗作なのか否か、トレースがどうだと、ネット上では「これもそうじゃないか」「あれもそうじゃないか」っていう指摘が、ものすごい勢いで行われ続けています。これが、なんか気持ち悪い。行き過ぎちゃってる感じもするし、揚げ足取りにしか見えなくなってきてるんです。

 この動きが大きくなったことで白紙撤回になったとは思うんだけど、本当の問題というか、驚いたのは、デザインの世界って、こんな身内で回ってるんだってことが分かっちゃったことじゃないですか? それで仕事が発生してるんだったら、デザインをやってる人、これからやろうと思っている人は……希望がないって思っちゃうんじゃないかな。

 いろいろな報道を見ていると、受賞は持ち回りになっていたとか、選ばれる顔ぶれが似ているとか…。これって、決定の方法が問題ですよね。誰がエントリーできるようになっているのかってこともそうだし、審査する・決定する人、権力のある人たちは、ちゃんと仕事をしているのかなっていう見方もできちゃいます。

 お笑いに置き換えて考えてみると、お笑い番組に出ている芸人が同じ顔ぶれだとしましょう。でも、それって芸人それぞれの努力や人間的な魅力があってプロデューサーに気に入ってもらい、「使いやすい」だとか「大衆性がある」だとか、ちゃんと理由があって、呼ばれているわけです。それ以降も呼ばれるかどうかは、芸人自身がさらに努力し続けるかどうかなんですよね。プロデューサーは常に新しい才能に目を光らせていますから、常に自分をプレゼンし続けないとならない。そうやって動いているんです。

 僕はデザインのことは分からないですけど、佐野さんもこれまでいろいろ仕事をしてきて、プレゼンし続けてきたからこそ、そこに名を連ねる人になったんだと思います。ただ、自分のプレゼンを続けている人は佐野さんを含めて今もいるし、これからも出てきます。だからこそ、選ぶほうがもっとしっかりしなければならないと思うんです。審査をする人として選ばれたんだからね。そうすると、デザイナーさんもこれまで以上に自分をプレゼンしていくことが必要になるけど、希望が持てるんじゃないかなって思うんです。

 新国立競技場のことについても、同じことじゃないの。そう思わずにはいられません。

脱こじらせへの道 第5回 「anan」のセックス特集の今後を勝手に考えてみる

2015.08.28 Vol.649

 こんにちは、田口です。
 今回は趣向を変えて、今月発売された「anan」のセックス特集についてちょっと考えてみたいと思います。

 GIRL’S CHでは「あなたは買った?ananSEX特集(8月7日発売!)」というアンケートをとったのですが、結果は8割以上の人が「買った」「買う予定」でした。その理由は大きく3つに分類されますが、「毎年買っています」という人も多く、近年ではSILK LABOのエロメンや、GIRL’S CHのイケメンたちがセックス特集のDVDやとかグラビアに出演しているため、「出演者のファンです」という理由もありました。あとは「ハウツーを勉強しています」など。

 このananのセックス特集も定番化してもう10年前後が経っていると記憶しています。私が就職活動をしているときに、SODの面接で、「ananのセックス特集で、今度女性向けに作ったDVDの特典がつくよ」と言われたのをよく覚えています。
(ちなみにその年は、5月に発売でした。)

 この10年で女性とセックスの話題との関係性はずいぶん変わってきました。乱暴な言い方をすると、セックスの話について、もうカマトトぶる必要がなくなったように思います。

 これまでは、こういう話題の本を買うのに、「セックスに関する本じゃなくて、ananを買っているんだ」という建前が必要だったと思われてきました。この連載でいつも言っているようなことから考えると、そういう買い方は「こじれ」だったかもしれません。でも最近、とくにこの1〜2年は、そういう建前がなくてもセックスの話が普通にできるようになってきた。恥ずかしがりながらセックス特集のananを買う女性は、もうほとんどいないんじゃないかと思います。

 女性の意識がかわるきっかけとして、この2〜3年のメディアからのアプローチに変化があったのではないでしょうか。具体的にいうと、女性の性を肯定する風潮が強くなっています。GIRL’S CHもそうなんですけど、“一人エッチしてもいいんだよ” “女性に性欲があってもいいんだよ”ということをいろいろなメディアが言うようになったので、隠れてこそこそ買う必要がなくなって、こじれなくなった。

 それもこれもananさんがこの企画を続けてきてくれたおかげで、女性がおおっぴろげにセックスの話題をすることができるようになってきたということが大きいと思います。

 ということで今回は、私が勝手にGIRL’S CHの視聴者を代表して、ananさんに今後やってほしい企画を考えてみたいと思います。

 今回は、GIRL’S CHのプロデューサーという立場半分、いち読者としての私の立場半分、という感じで。

 先ほども言ったように、読者の質はこの1〜2年で大きく変わってきています。
例えばこれまでは、著名人や医師が出ていることで得られる安心感というものはひとつのポイントでした。ですが、そんな建前もいまは必要ないのかもしれません。

 本当に知りたいのは、「実際みんな(私達)がどんなことをしているのか」ということなのではないでしょうか。GIRL’S CHでも、リアル感のあるAVや、実は盗撮ものが好まれる傾向があり、女性は(男性も?)隣人のセックスが気になるものなのでは。ほかの人は、どんなセックスをしているのか、そんなリアルを読者は知りたいのではないでしょうか。

 アンケートでも「ハウツーは飽和状態で真新しいことがなかった」とか「実体験ページがいまいち」という意見がありました。そのことからも、ユーザーはリアルな話を求めていることが伺えます。

 セックス特集の当初は、建前やファンタジーが必要だったんですが、10年経つうちにセックスに対する意識が全然変わってきて、リアルなものが望まれるようになっている。
 これはananだけじゃなくて、他の媒体にもいえることかもしれません。

 ちょっと矛盾するんですが、反対に、専門家による「Q&A」。“こんなときどうする?”的なお悩み相談室は絶対必要!だと思います。
 それもセックスそれ自体ではなく周辺のこと。避妊や性感染症に関する記事はいまでもありますが、「妊娠」「出産」そして「中絶」といったことまで、是非書いてほしい。
AVのようなファンタジーと対極にあると思われがちですが、でも本当はすべて地続きなんです。GIRL’S CHのようなAVサイトより、もっと説得力をもって伝えることができると思うので…。

 そういう話題を扱ってくれると中高生にも読ませたい雑誌になりますよね。
 GIRL’S CHのようなメディアでは残念ながら18歳未満の人に働きかけることはできません。

 だから、誰でも買えるananで、潜在的な、将来の私たちの視聴者が育つと、お互いにより発展していけるのではないかと。

 手前味噌ですが、おかずとしては動画のほうが情報量が多くて強いと思うのですが、ananさんの強みは読み物でいろいろな知識を得られるというところ。

 実は私もモノクロページの読み物が好きで、昨年の「都道府県別の男の子のセックス傾向」は楽しく読ませていただきました。今年のみうらじゅんさん、しみけんさん、松居大悟さんのページも面白かったです。

小池百合子のMOTTAINAI
壁、壁、壁…。世界は壁建設ラッシュが続いている。

2015.08.24 Vol.649

 来年11月のアメリカ大統領選を前に、共和党大統領候補の一人、大富豪のドナルド・トランプ氏の怪気炎が燃え上がるばかりです。本命と見られているブッシュ前大統領の弟でフロリダ州知事のジェブ・ブッシュ氏の姿がかすむほどの存在感を示しています。

 曰く。「メキシコ人は強姦犯だ」「メキシコ国境に壁を建設する。負担はメキシコ側さ」と言いたい放題。不法移民に対して抱く複雑な思いをあっけらかんと言い放つトランプ氏を「痛快」と受け止める庶民から絶大な支持を受けているようです。

 かたやブッシュ知事の妻はメキシコ人。全米の総人口の約17%を占めるヒスパニック系の大票田確保には有利とされますが、トランプ氏の参入でそれ以上のアンチ・ヒスパニック票をかっさらわれる状況というわけです。

 アメリカ大統領選はこれからますますヒートアップするでしょうが、どこまで放言トランプ氏が「おもしろい」候補として生き残れるかは不明です。

 さて、トランプ氏の「壁建設」発言ですが、現実に世界の各地で壁建設の動きがあります。

 内戦状態が続くシリアから隣国トルコへ流れる難民はすでに250万人に達したと言われ、加えてIS(イスラム国)の往来もあります。シリア難民がトルコ国民の商売や職を奪ったり、シリア難民のこどもがイスタンブールなどで物乞いにうろつく状況が続くことから、トルコ政府はシリアとの国境に現代版万里の長城ともいえるコンクリート製の壁の建設に踏み切りました。

 同じく、サウジアラビアもイラクからのISの流入防止に約900㎞ものフェンスを建設。監視カメラなどハイテクを駆使した壁の一種です。エジプトはシナイ半島を拠点とし、テロ活動を行う危険性があるとされるムスリム同胞団系人物の移動を塞ぐためのフェンス、壁建設を検討していますし、日本人観光客も巻き込まれたようなテロ事件が頻発するチュニジアでもリビアとの国境に壁を建設する計画です。高さ2mの壁を170㎞に渡って建設するとのこと。

 中東で壁建設をいち早く行ったのはイスラエルです。2007年頃からパレスチナとの境に分離壁を築き、ガザでは人も物資の移動を遮断され、食糧確保にも困窮する状況です。

 2014年以来、東部地域を親ロシア系に武力で奪われたウクライナは、これ以上の侵攻を防ぐためのフェンスを築きました。

 ベルリンの壁が崩壊して26年。今日、SNSの発達で情報が国境を越えているのにもかかわらず、物理的な壁が建設ラッシュとなっているのは、皮肉です。

 これまでの体制の行き詰まりとともに新たな時代の到来を告げているようにも思えます。
(自民党衆議院議員)

大谷ノブ彦 カタリマス! 第16回 スペシャルウィークは「しくじらない」。

2015.08.24 Vol.649

 8月も残すところあとわずかになりました。『キキマス!』のスタッフは夏休みを楽しんでいたみたいなんですけど、僕は番組があるし、夏フェスがあったし、舞台もあったしね…。充実した夏を過ごさせていただいてますよ。

 さて、8月の最後の週はスペシャルウィーク。24日から27日まで毎日、『さらば!しくじり中高年 絶対に失敗しない〇〇』と題して、さまざまなジャンルの大人の達人をお招きしてお話を聞いていきます。なんか、聞いたことがある? テレビの影響もあるんでしょう、ポップですし。

 このスペシャルウィークを控えて、『キキマス!』ではここ2週間ぐらい、リスナーからいろんな“しくじり”エピソードを聞かせてもらってきました。青春のしくじり、恋愛でのしくじり、旅でのしくじりと、テーマを決めて、本当にいろいろね。そのなかでも、メールが止まらなかったのが、電車がらみの失敗。飛び乗った最終電車で眠り込んでしまって気づいたときには自分が降りる駅はとうに過ぎた福島。さらにその電車は青森まで降りられない、っていう。新幹線通勤の方で、朝起きたらお城の下で寝ていて、なぜ小田原城の下で寝たのかなあと思ったら名古屋城だった…なんていうのもありました。僕も夜勤のバイトしてたころ電車に乗って寝て起きたら乗った駅。そのたびに、俺、この街が好きなんだなあって思いました。

 エピソードを聞いてくなかで思ったんだけど、聞くたびにほっこりした気持ちになるんですよね。失敗して笑える!っていうのではなくてさ、面白いのは面白いんだけど、なんだか、いい気分。失敗、いいじゃない、と。「しくじらない! 絶対に失敗しない!」っていう企画をやっていくんだけど、最終的には、「ちょっと失敗してもいいかも…」なんて、思ってくれたらいいかもしれないなんて思っています。さすがに40代になってのしくじりは本当に怖いし、しくじった自分を責めることになるんでちょっと嫌だなあとも思いますが、20代とかだったら絶対しくじったほうがいい。そのほうが人にも話せるしね!

 そういう意味での『絶対に失敗しない』企画。初日の24日は「絶対に失敗しない居酒屋呑み」。25日は温泉・SPAめぐり、26日は京都・鎌倉遊び、最終日の27日は『絶対に失敗しない1人でも楽しい休日』。究極のお1人様特集です。達人たちの話、僕も楽しみです。

EXILE TETSUYA DANCEの道
第37回 ツアーのリハーサル合宿、気合みなぎってます!

2015.08.24 Vol.649

 僕はEXILEのツアーのリハーサル合宿のために、とある場所まできています。ここでは広い会場で本物のセットを組立てて一曲ずつていねいにリハーサルしています。僕たちメンバーのリハーサルももちろんですが、セットを組み立てる皆さんのリハーサルでもありますし、照明さん音響さん映像さん舞台周りの皆さん、バンドメンバーやサポートの皆さんなど、ツアーに関わってくれているすべての皆さんのリハーサルでもあるのです。改めてそのスタッフさんたちの人数の多さにビックリするのですが、毎年お世話になっている方たちばかりなので顔を見ると安心感がありますし、また今年も始まるんだなぁと、かなり気合がみなぎってきます!

 今年のツアーはEXILE単体ということで、これだけは言えます。めっちゃくちゃ踊ります(笑)。かなり体力が必要になるくらい、ハードなライブになりそうです。なのでその分トレーニングしないといけないのですが、最近僕は気づいたことがあります。今まで「EXILEパフォーマンス研究所」の所長と名乗りながら、いろいろな取り組みやトレーニングをしてきましたが、実は僕、すごくトレーニングが嫌いなんだ、と…(笑)。嫌いと言ってもやりたくないわけではないのですが、だからこそいろいろなトレーニングを試して、知識を蓄え、たくさんの経験をして一番短い時間で、一番楽しく、一番効率のいい自分に合ったトレーニングを探しているのだと思います。だってトレーニングって辛いじゃないですか(笑)。特に一人でやっていると…。

 なので最近はメンバーみんなでスピナーバイクを並べて全力漕ぎしています。みんなで並んで音楽をガンガンかけて叫びながらやるのが一番いいです!! そして最近導入された新しいシステムのおかげで全員の心拍数を一つの画面に出し、誰が今、どのくらい心拍数が上がっているかが一目で分かります。これに自分の最大心拍数を入れておけば、自分が最大の力を100パーセントとした時に現在何パーセントくらいまで追い込めているのかも分かってしまうという、何ともありがた迷惑な機械なのです(笑)。まさにサボれません!!

 今いる合宿所にもスピナーバイクがあって、今日もリハーサルを終えて疲れた身体にみんなで並んで更にムチを入れてきましたが、最近は新しく、長くて重たいロープを持って思いっきり振るという悪魔みたいなトレーニングも追加されました(笑)。

 同じ釜の飯を食べて同じトレーニングをして同じものを作り上げようと毎日みんなでいる時間がたまらなく好きです。初日まで1カ月を切り、最近は夢にもライブ会場の光景が出てきたり自分の心も身体もツアーモード全開になっていますので、9月11日に大阪から始まるAMAZING WORLDに足を運んでくれたらうれしいです。

 今年はMATSUさん、ÜSAさん、MAKIDAIさんとEXILEのパフォーマーとして踊れる最後のステージになります。今あるEXILEのDANCEスタイルはこのお三方がいたからですし、メンバー間の雰囲気だったり、なかなか言葉では伝えきれないEXILEらしさを作ってきてくださった先輩3人に対しての感謝の気持ちと共に、これから先もずっとリスペクトを込めて全力で踊らせていただきたいと思っていますのでぜひお楽しみに!!

江戸瓦版的落語案内 Rakugo guidance of TOKYOHEADLINE 片棒(かたぼう)

2015.08.23 Vol.649

落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。

ノッポン弟のオススメ!from TOKYO TOWER
夏休み展望教室&高さ150mでラジオ体操

2015.08.22 Vol.649

 みんな、元気? 毎日暑いけど夏バテなんかしていないよね。夏休みもあとわずか、宿題は終わってるかな? 東京タワーは昨年も大好評だった「夏休み展望教室&高さ150mでラジオ体操」を今年も開催するよ。内容は、当日1階のチケット売り場に集合して、親子で東京タワー名物の600段の外階段を昇り大展望台へ。そしてそこでラジオ体操と僕たちノッポンが教える「ノッポン体操」をやるよ。体操で体と頭がスッキリしたら、“バッ地理(バッチリ)先生”こと澤内隆先生による「東京の中心で、もっともっと東京を知ろう!」をテーマにした特別講座「展望教室」を開催。

 この「展望教室」では、大展望台1階フロアを360度ぐるっと周りながら、東京の真ん中に位置する東京タワーから見える建物や風景に過去の地図を照らし合わせて、東京の地形や街の様子の移り変わりなどを、クイズを交えて楽しく学ぶことができるんだ。当日配布する資料は持ち帰ることができるから、夏休みの自由研究にも利用できるよ。宿題がまだ終わっていない子は、お父さんやお母さんと一緒に参加して! さらに、参加特典として子どもたちみんなには東京タワーグッズもプレゼントするよ。残りわずかな夏休みをこの楽しい体験型学習イベントで締めくくろう!

大谷ノブ彦 カタリマス!(裏) 第49回 『テイラー・バートン〜奪われた秘宝〜』、ついに本番。

2015.08.20 Vol.648

 声がガサガサです。いつものことだろうって思われていることだとは分かってるんですが、いつも以上にガサガサなんですよ。なぜかっていえば、舞台の稽古ですよ。

 18日からスタートしたダイノジ活動20周年記念公演『テイラー・バートン〜奪われた秘宝〜』。キングコングの西野くんが書いてくれた作品を、6日間にわたって、いろんなメンバーで上演します。ダイノジは、20日、21日、それと22日の昼と3公演に出演します。

『キキマス!』でも、このコラムでも何度となく話題にしてきたこの舞台。ある宝石があって、それを盗む側がいて、守る側がいる。そのなかで誰が一番ずるいのか……。そんなお話です。台本を読んだときには震えましたね。

喜劇、軽演劇は、活動するなかでいつかやってみたいと思っていたこと。セリフがある、役が決まっている、そういう制限のあるなかでやるってことに挑戦してみたかったんです。その役だったら絶対言わないことだけど、ウケればオッケー!っていうのではないところで。

稽古はいつも深夜で、頭がコックリコックリしながらですが、楽しいし発見もいっぱいあります。例えば、大地さんはやっぱりおもしろいってこと。もともと大地さんは一定の制限があるなかでやるとすごく面白い人。セリフが決まっている、演じている役に準じてその人としてボケるっていうのは、すごく大地さんに合っているんですよ。だから、水を得た魚って感じです。

 で、自分はっていうと、全然ヘタレ。稽古しながら、ああ限定されているなあって思ってるし、話の本筋を進めるということに苦戦しちゃってる。もっと解き放たれないといけないなって思います。なんて、何よりもセリフが全然覚えられないのが困ってるんですけどね。

 本番はもうすぐです。はあ、こんなに余裕がなくなるとは思わなかったなあ。本当なら、他のグループが稽古しているときに、「はい、差し入れ〜!」なんていって見に行ったりさ、そういうのやりたかったのに。自分たちのことで精いっぱいだよ。
 

 とはいってもね、手応えはあるの。ワクワクしているし、どういう反応が返ってくるのかすごい楽しみなんです。

脱こじらせへの道第4回 美しいエピソードで飾り立てた不倫……あなたは大丈夫?

2015.08.14 Vol.648

 こんにちは、田口です。このコラム、第2、第4金曜日更新ということで、今回は中2週空いてしまいました。
 みなさん、相変わらずこじれてますか?

さて、今回は『75%が「昼顔」的な経験あり!?「不倫、したことある?」』というアンケートをもとに「こじらせ」からの脱却の道を探ってみたいと思います。

 まずは不倫の定義づけから参りましょう。
 不倫というと「=セックス」と思いがちですが、決してそんなことはありません。
セックスしていなくても本人が不倫だと思っていれば不倫。今回のテーマではこのスタイルでいきます。

男と女がいればセックスしちゃうときもあります。
今回問題にしたいのは、そこにことさらに「不倫」という言葉を乗っけちゃうという状態について。

「旦那とはセックスレスだから外で満たしている」とか、「妻とのセックスは義務感があるから外で新しい女の子とヤッてるほうが楽しい」といった話をよく聞きます。男女を問わず、既婚者なのに外でめちゃくちゃヤリまくっている人がいますよね。

この人たちは「単にセックスが好き」な人たちだと思うんですね。

こういうふうに、単にセックスが好きというのはこじれてないし、清々しさすら感じます。
一応ジャンル的には不倫ですし、世間的には後ろめたい関係ではありますが、本人にとってはただ「セックスが好きだからしたい」という至ってシンプルなこと。セックスが好きなゆえの不倫。

 それとは真逆の、私の知人の話です。
 まだ結婚していないので不倫にはあたらないんですが、結婚を前提に付き合っている恋人がいるのに、いろんな異性とヤリまくっちゃってる人がいます。そして、ヤるたびに浮気相手に感情移入してしまう。「今日だけは本気」を通り越して、その浮気相手とも付き合ってる感覚でいるというか。セックスするだけじゃなくて、それぞれの相手に物語を持っちゃってる。これは不倫予備軍だなって思います。

相手に妻や夫がいれば不倫で、そうでないときは浮気、二股。
前述の知人は結婚はしていませんが、カテゴリー的にはすごく不倫に近い。結婚さえしちゃえば、不倫ですね。

 このパターンで厄介なのが、セックスしなくても不倫が成立する場合があるんです。
 セックスしなくても、「彼氏(または彼女)がいるのに、あなたのことを愛してしまっているの……」と悲劇のヒロイン(あるいはヒーロー)を演じる場合がそれです。
 セックスしなければ、何を考えても自由ではありますが、精神的にはかなりこじらせた「不倫中毒者」と言えるでしょう。

浮気される側からするとたまらないかもしれませんが、単にセックスが好きな人は、端から見てると仕方がないというか、罪がないというか…。

それより、物語を作ってしまう不倫、しかもセックスしない不倫のほうがタチが悪い。ちょっと危ない。それこそ、相手との間に描いた物語をそのまま小説にでもしたほうがいいです。

また、不倫に陥るパターンとしては、
「相手が既婚者とは分からなかった」「出会った時には既婚者だった」というものがあります。でもこれはもう仕方がない。同級生とかだったら、そこまでにチャンスもあったでしょうが、そうじゃない場合は出会えてなかったんだから仕方がない。

女性の場合は若いころって同年代の彼氏と付き合っていても、5〜10歳くらい上の人についつい心を奪われる時があります。それは変な意味ではなく、お金があって同年代の彼にはできないことをしてくれるから。そうなると女の子って簡単に落ちますよね。

でも、人にもよりますが、年とともに自分がお金を払う側になると、お金を払ってくれる男の人についていくことがバカバカしいなって思えるようになってくる。「自分でお金を払えるのに、そんな危険な橋を渡らなくても」ってことですね。

定義づけのつもりがついつい不倫について語ってしまいました…。

アンケートに戻りますが、このアンケートは盛り上がりました。返答数も多かったし、自由記入の欄も豊富。エピソードの分量が半端なかったです。みんないっぱい書いてきてくれました。

それは、まず人には言えないということが前提としてあるので、ここで発散しているということもあるのでしょう。言えない分、言いたい。
恋バナでしたら友達とも普通にできますし、情報交換もできますが、不倫話はどんなに仲のいい友達でも話題にするにはちょっとハードルが高いです。

そして不倫にはまっている人ほど自分に酔っちゃう傾向がある。だから書く事はいっぱいある。
物語を自分で作っちゃっている。だからみんな長い。
そしてみんな小説のような書き出しになっているんです。
自分主役の物語です。人に言えない分、よけいに自分の中でストーリーが膨れ上がっちゃって、長文になっちゃう。それも美しいエピソードばかり。
そう、さっき定義付けのときにあった「物語をつくってしまう不倫」ですね。

仲のいい友達には言っちゃえばいいと思うんですよ。犯罪というわけではないんですから。
それで友達に意見されて考え直すというのもありですし、応援してくれるのなら続けてもいいし。

男性の場合、友達に相談しちゃったり、ぽろっと言っちゃう人は多いかもしれません。

でも女性の場合は若い世代はともかく、30歳を過ぎたあたりだと周りに結婚している人が増えて、そういう話題はしづらくなります。自分の旦那と不倫してたら…って、自分に置き換えて考えてしまい、絶対否定されるじゃないですか。

でも、この不倫のこじらせから抜け出すには、それしかないと思います。
人に話して、冷静な意見を聞いてみること。

大谷ノブ彦 カタリマス!(裏) 第48回 佐野元春さんに夢見心地。

2015.08.12 Vol.648

 はあ、今も、夢見心地です。8月10日、『キキマス!』に佐野元春さんが来てくれました。佐野さんは中学生の頃からあこがれていた人。ゲストで来てくれることが決まってから、緊張で睡眠時間がずいぶん減りました。

 佐野さんとは本当の初対面でしたが、笑いもこぼれながら、いろんなお話を伺うことができました。たくさんのアーティストに影響を与えた『アンジェリーナ』、ひとつの音符で「シャンデリア」って歌ってしまう当時は珍しかったあの手法に至った背景であるとか、ずっと聞きたかったことをぶつけられたし、うれしかったなあ。

なかでも面白かったのは、最新アルバム『BLOOD MOON(ブラッド・ムーン)』のアートワークに関わる話。佐野さんは、最近話題のハイレゾであるとか、iTunesに代表される配信やダウンロードで音楽を届けるスタイルも、いち早くやってきた方。そういう佐野さんが、見せたいって最新アルバムのアナログ盤を抱えてやってきました。最新作ではアートワークにもすごく力を入れていて、70年代から活躍しているヒプノシスというアーティスト集団がいてその流れを組むアーティストとコラボレーションしたそうです。景色で音楽が変わるじゃないけど、ジャケットがこういうアートワークだから、アルバムがこう聞こえる。そのためのアートワークなんだっておっしゃっていました。

 音楽業界の元気がない、CDが売れないっていう話が言われ続けているなかで、佐野さんは全包囲網でできることをやっている方だなあって改めて思いました。佐野さんは、「音楽ファンに楽しんでもらいたい」。CDで聞きたい、レコードで聞きたい、ダウンロードで聞きたいと聞き方が多様化してきているのだから、「自由に選んでもらいたい」と話していました。きっとこれって、音楽だけじゃなく、漫才でも同じですよ。たけしさんが、いい芸人だったら相手のチューニングに合わせなきゃっていうようなことを言ってましたけど、どうやって、どういう環境で、漫才を届けるかってことまで、考えるってことだと思いました。

 佐野さんは現在、最新作を携えて全国のライブハウスを巡るツアーを展開中です。夏フェスへの出演もあるようなので、アルバムもいいですけど、ぜひライブで聞いてほしい。佐野さんとのお話はポッドキャストでも聞けます。佐野さんならではのフレーズがあちらこちらに飛び交っていますので、ぜひ聞いていただけたらうれしいです。

 夏フェスといえば、今週末はサマーソニック。DJダイノジも出演しますのでいらっしゃる方はぜひ見に来て下さい! 10月のマグロック、フジソニッックの準備も進んでいますし、夏フェスに出演するなかでポジティブなイメージができてきました。こちらは、これから追い込みをかけます!

鈴木寛の「2020年への篤行録」 第23回 戦後70年。歴史を学び直すには

2015.08.10 Vol.648

 まもなく終戦の日である8月15日を迎えます。

 今年は戦後70年。テレビや映画でも節目の年を意識した作品が続々と作られています。1945年8月14日、日本政府が降伏を決めてから、昭和天皇が終戦をお告げになる玉音放送が流れるまでの24時間を描いた「日本のいちばん長い日」が今夏は約半世紀ぶりにリメイクされるということで、改めて8月15日の歴史的意義に注目が集まりそうです。

 折しも学生たちは夏休みシーズン。高校3年生の皆さんは受験勉強で手一杯のことでしょうが、比較的時間のある1、2年生、あるいは大学生は本を読む時間があると思います。太平洋戦争を始めとする現代史に関する書籍を読んでいただき、学校の授業や受験勉強の枠にとらわれずに自分の頭で歴史を学び、その意義を問い直す時間を作ってはどうでしょうか。

 なぜ、そんなことを申し上げるかといえば、学生の時はどうしても「歴史」というものに一面的な向き合い方しか出来ていないことが多く、もったいないと思うからです。学生の皆さんは、「歴史」と聞くと、「イコール丸暗記」という認識をしてしまいがちです。いわずもがな、学校のテストや大学入試に備えた勉強のために、年号や人物名、事件名を一字一句覚えなければならない、という状況に駆り立てられているからです。

 一方、いわゆる「歴史好き」を自認する学生さんの場合は、教科書で興味を持ったというよりも、NHKの大河ドラマや司馬遼太郎さんの小説、あるいは「三国志」の漫画等をきっかけになったという人が多いのではないでしょうか。

 結局、人が知識を習得するのは、受験勉強等で強制的に義務付けられるか、趣味のように楽しんで好奇心を強めるかのどちらかなのです。そもそも「ヒストリー」(history)は「hi」と「story」、つまり「人間の物語」が掛け合わせての語源という点からみても、ストーリーで歴史を学ぶことは実に有効です。ただ、そこで大事なのは、映画を見終った後に「ああ面白かったね」と済ませてしまうのではなく、作品に触れたのをきっかけにして、「この人物のことをもっと知ってみよう」と探求していくことです。その点、今の学生さんはインターネットで情報を集められますので、「こんな人が実は活躍していたのか」と、自分から知りたい人には格好の環境が整っています。

 しかし、情報を知るだけでは歴史の学びとして実にもったいありません。古代ギリシアの歴史学者、ヘロドトスは著書『歴史』を書いた理由について、ギリシア人と異民族がなぜ争ったか後世に忘れられないためだった、と記しています。つまり、先人たちの生き様から、自分たちの未来を構築していく上での「教訓」とせねばなりません。そして、そのことは解釈なり、評価なりは十人十色でなければ、自分の頭で考えたとは言えません。

 だからこそ、多読をして多面的なものの見方が必要です。

 たとえば尖閣や竹島といった領土の問題について、教科書による基本的な史実、日本政府の立場や歴史的経緯を抑えた上で、「なぜ中国や韓国が自国の領土だと主張しているのか」相手の出方を探ります。外務省のホームページを検索すれば、日本政府の公式見解が見られます。

 そして、それに対して中国、あるいは米国がどのような考えを示してきたのか、あるいは有識者が何を話しているのを整理し、どこに差異があるのかを検討してみます。そうすることで立体的な学びとなり、洞察が深まります。尖閣を巡る一連の経緯は、ある意味、日米関係、日中関係の戦後のエッセンスを凝縮しています。今日に至る問題も手に取るように分かるでしょう。まさに、単に歴史的事実や年号を暗記するだけではない、社会科、つまり「社会を科学する」意義があるのです。

 歴史を学ぶことで得た教養は、たとえば社会に出て海外で働く時に相手国の国民性等を踏まえる際に大変役立ちます。中国市場に展開している商社やメーカー等の企業に就職したら、自分たちがどのような戦略を取るべきか、あるいは中国リスクが発生した際にどういうしわ寄せがきて、それを回避できるか、対策を練る際の“指針”となるはずです。

 そして、もし機会があれば、書を読むだけでなく、戦争を体験した当事者のお年寄りと直接お話してみてください。同じ戦争体験者でも大人として最前線にいた人、子供のときに空襲や被爆に遭った人とでは、目線も違うのでそれぞれ発見があるものです。特に終戦当時、二十歳前後で最前線に行った方々の肉声を直接自分でお聞きできるのは、この「戦後70年」が極めて貴重な機会です。
(東大・慶応大教授、文部科学大臣補佐官)

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