TOKYO HEADLINEの読者の皆様、ご無沙汰しております。前回は6月下旬の掲載でしたから4カ月が経ちました。参院選では残念ながら3選を果たせませんでしたが、55万2714人の方々にご支援いただき、教え子、仲間、応援団にも恵まれた選挙となりました。これからは在野の立場から、ライフワークである「人づくり」、そして積み残した「国づくり」の課題に取り組みます。
近況報告も兼ねると、選挙後は2020年オリンピック・パラリンピック招致委員会のメンバーとして活動しておりました。ブエノスアイレスのIOC総会に際しては、IOC委員の方々へのロビイング活動の追い込みに力を尽くしました。終わってみれば東京は一次通過を果たし、イスタンブールとの決選投票も圧勝でした。オリンピック招致を仲間たちと呼びかけ始めてから7年。2016年大会招致はコペンハーゲンのIOC総会会場で涙をのみ、昨夏は文科副大臣としてロンドン大会のメダリストパレードを銀座で敢行。都民の皆様の思いを結集し直し、もう一度、勝負に出てやっとつかみ取った歓喜でした。ブエノスアイレスに弾丸ツアーで駆け付けてくださった方、都内のパブリックビューイング会場で見守って下さった方……これも熱烈な応援のたまものです。
さて招致実現した今後が本番です。2020年大会は、東京のインフラを再開発する契機ですが、どんなに立派なハードが整っても、それを動かすソフトパワーが必要なのです。ソフトとは、「人とコミュニティ」に他なりません。
ブエノスアイレスの招致プレゼンを思い出してください。佐藤真海選手のスピーチに感動された方は多いと思います。走り幅跳びで3度パラリンピック出場の彼女は病気で片足を失い、東日本大震災では故郷の宮城・気仙沼が被災しました。しかし二度の災禍をスポーツで乗り越えられたという彼女の言葉は、IOC委員の心を鷲づかみにしました。私も委員の反応を見て東京の勝利を確信したほどの感動がありました。2020年の本番は、佐藤選手の思いを体現するよう、老若男女、障害の有無、国籍を問わず、皆でスポーツを楽しみ、互いの友情を深める機会にしなければなりません。
IOCに提出した大会計画はまだまだ修正可能です。オリンピックとパラリンピックを全て同時開催するのは難しいかもしれませんが、一部の競技だけでも実現できないでしょうか。2020年東京大会が、人と人との融和を象徴する大会の画期的な事例だったと後世に刻まれるように、様々な関係者に働きかけてみたいと思います。
(元文部科学副大臣・前参議院議員)