「六本木アートナイト2019」メインプログラムのプレスプレビューが23日、六本木ヒルズ アリーナにて行われ、今年のメインプログラム・アーティストを務める韓国の代表的アーティスト、チェ・ジョンファ氏と六本木アートナイト実行委員長の南條史生氏が、今年の開催に向け意気込みを語った。六本木アートナイトのメインプログラム・アーティストを海外作家が担当するのはこれが初となる。
アートカテゴリーの記事一覧
写真が伝える“見えざる”ものを見る。写大ギャラリー・コレクション展 「うつくしきゼラチン・シルバー・プリントの世界」
発明以来、美術と複雑に絡み合い、科学技術とも深く関係しながら発展してきた「写真」。現在では、身近なコミュニケーションのツールであることはもちろん、アートの重要な表現手段の一つとなり、その表現の場や方法はさらに多様化。技術面から見ても、かつては銀塩だけでなく、プラチナ、鉄塩、顔料、染料など、さまざまな材料を用いて制作されてきたものが、デジタル技術が発達した今日では、インクジェット・プリントが主流になっている。技術の進歩によりさまざまな人が気軽に写真を楽しむことができるようになった反面、フィルムや印画紙といった材料の供給が狭まりつつあることも確か。
本展では、写大ギャラリー・コレクションの中から、銀塩フィルムで撮影され写真用の印画紙に焼き付けられた写真=ゼラチン・シルバー・プリントの魅力を最大限に感じられる作品の数々を展示。他の技法では味わうことができない表面の質感やグラデーションの深みといったゼラチン・シルバー・プリントならではの魅力を、国内外の有名写真家の優れた作品を通して感じてみては。
松たか子「怪しいものや信用ならないものを面白がる人がいて伝統になった」
東京2020オリンピック・パラリンピックの公認文化オリンピアード「東京キャラバン」の記者懇親会が10日、都内にて行われ、総監修を務める演出家の野田秀樹と、過去開催に参加した女優の松たか子が登壇。過去開催の映像を交えて見どころや意義を語り、今後の展望について語った。
「東京キャラバン」は東京都および公益財団法人東京都歴史文化財団が2020年に向けて、芸術文化都市東京の魅力を伝える取り組み「Tokyo Tokyo FESTIVAL」の主要プログラムとして行われている文化プロジェクト。各地をめぐり、多種多様なアーティストが違いを超えて文化“混流”を繰り広げる。女優の黒木華やタップダンサーの熊谷和徳、チャラン・ポ・ランタンら著名なアーティストや文化人も数多く参加している。2015年にスタートし2017年度から東京2020オリンピック・パラリンピックの公認文化オリンピアードのひとつとなっている。
春のお出かけにおすすめ! 人気エリアのアート展『ジョン・ルーリー展 Walk this way』
ジム・ジャームッシュ監督作『ストレンジャー・ザン・パラダイス』(1984年)の主演俳優としても知られるアーティスト、ジョン・ルーリーによる、ワタリウム美術館では2010年以来、2度目の個展。
俳優として、またジャズバンド「ラウンジ・リザーズ」でサックス奏者を務めるミュージシャンとしても活躍したルーリーだったが、1990年代後半にライム病という難病を患う。映画界からも音楽界からも姿を消した彼は、自由な時間に創作できる絵画制作に活動の場を移し、2004年からニューヨークなどで1980年代から描いていたドローイングを展示し、しだいに画家として知られていく。
かつて、ジャン=ミシェル・バスキアなどと一緒に描いていたというだけあって、その構図と技法は卓越。ルーリーの描く世界は、一見美しい夢の中のように見えるが、一方で痛烈な皮肉も見て取れる。そして、生活の大半をカリブ海で自然や動物に囲まれながら暮らすリードはしばしば、小さく弱々しい動物たちに彼らのための世界を与えている。
詩的でエッジの効いたタイトル、そして自由でアナーキーな表現を楽しんで。
【期間】開催中〜7月7日(日)
【時間】11〜19時(水曜は21時まで)
【休】月曜(4/29、5/6は開館)
【料金】大人1000円、学生(25歳以下)800円、小中学生500円 70歳以上700円
【問い合わせ】03-3402-3001
【交通】地下鉄 外苑前駅より徒歩8分
【URL】 http://www.watarium.co.jp/about.html
声優・朴璐美が語る『シド・ミード展』
“ビジュアル・フューチャリスト”として数多くのクリエイターや作品に影響を与えて来た世界的インダストリアルデザイナーであるシド・ミードの活動歴のなかから150点を展示する原画展『シド・ミード展 PROGRESSIONS TYO 2019』が4月27日から東京・秋葉原の「アーツ千代田3331」で開催される。同展の音声ガイドを『∀ガンダム』で主人公ロラン・セアックの声を担当した声優の朴璐美が担当する。
香取慎吾、初個展来場者10万人突破に「信じられない」
香取慎吾のアート作品展「サントリー オールフリー presents BOUM!BOUM!BOUM!(ブン!ブン!ブン!)香取慎吾NIPPON初個展」の来場者が25日に10万人を突破した。同日、作品展が開催されている江東区のIHI ステージアラウンド東京で記念セレモニーが行われ、香取がサプライズで登場し、来場者と一緒に祝った。
ショーのようなスタイルで鑑賞する作品展で、1日9回各回120分の入れ替え制で展開。25日は2回目となる11時15分スタートの回の来場者で10万人を突破した。
春のお出かけにおすすめ! 人気エリアのアート展『百年の編み手たち −流動する日本の近現代美術−』
約3年にわたる休館を経てリニューアル・オープンを迎えた東京都現代美術館。リニューアル記念の展覧会では、日本の近現代美術を代表する作家たちが集結する(同時開催「MOT コレクション ただいま / はじめまして」)。
『百年の編み手たち』展では、1910年代から現在までの100年にわたる日本の美術について、編集的な視点で新旧の表現を捉えて独自の創作を展開した作家たちの作品を、同館のコレクションを中心に紹介。過去100年の表現を見つめ、新たな表現を生み出した“編み手”たちの視点から、日本の近現代美術を再考する。今回は、企画展示室3フロアすべてを使い、作品約600点を展示(美術図書資料、創作版画誌を含む)。
近代化する日本で多用されたレトロなモチーフを取り入れ、斬新なグラフィックデザインを生み出した横尾忠則や、名画の世界を自身でなぞらえ再構築する森村泰昌など、同館のコレクションから、まさに近現代を代表する作家の作品が勢ぞろいする。彼らの編集する視点と、そこから新たに生み出した独自の表現を通して、現在そして未来の創造につながるインスピレーションを得られるかもしれない。
【期間】開催中〜6月16日(日)
【時間】10〜18時(展示室入場は閉館の30分前まで)
【休】月曜、5月7日(火)※4/29、5/6は開館
【料金】一般1300円、大学生900円、中高生600円
【問い合わせ】03-5777-8600(ハローダイヤル)
【交通】地下鉄 半蔵門線「清澄白河駅」B2出口より徒歩9分
【URL】https://www.mot-art-museum.jp
境界がゆらぐとき。境界を越えるとき。天明屋尚展「国津神」
日本伝統絵画を現代に転生させる“ネオ日本画”を手掛ける現代美術家・天明屋尚の2年ぶりとなる新作個展。
これまで戦国時代のバサラ大名や江戸時代の傾奇者、現代のストリート文化といった日本の祝祭的な美の系譜を取り上げてきた天明屋尚が、今回、モチーフとしたのは「国津神」。国津神とは、高天原から天降った神々である天津神とは対置され、豊葦原中国(とよあしはらのなかつくに)に生まれた、古来から日本の地に土着する荒ぶる神々のこと。
本展では、天明屋が創造した風神、雷神、雪神、雨神、虹神、海神、山神、火神の8つの神々を描いた作品が展示される。各神はそれぞれ神獣や雲に乗り来訪する神であり、此岸と彼岸の理を超越した目に見えない霊的存在、即ち鬼として描かれる。
会場中央の奥には神社の御神体に着想を得た立体作品も設置。古代の神々をモチーフとした作品8点と御神体を配置することで、会場はさながら神社仏閣のような、神聖な空気に包まれた空間となっている。芸術を鑑賞しているのか、神仏を祀っているのか。境界が重なり合い1つになっていく感覚を感じつつ、天明屋らしいポップで躍動的、スケールの大きさを感じさせる作品を堪能しよう。
【会場・会期】ミヅマアートギャラリー 開催中〜3月30日(土)
【時間】11〜19時
【休】日月祝
【料金】入場無料
【問い合わせ】03-3268-2500
【交通】地下鉄市ヶ谷駅より徒歩5分
【URL】http://mizuma-art.co.jp/
境界がゆらぐとき。境界を越えるとき。塚原琢哉写真展「国境 ポーランド国境を越えた国の日常」
人々をとりまく歴史や文化、自然などをテーマに、現代人に問いかける鋭い視点を持って国内外で取材・撮影を行う写真家・塚原琢哉の写真展。
1972年に初めてポーランドを訪れて以来、度々同地で撮影や展覧会を行い、ポーランドを中心に数々のマリアイコンを調査し、撮影した『マリア幻想』シリーズを手掛けるなど、ポーランドとの深い絆を持つ塚原。冷戦後、政治情勢が大きく変化した東欧に足を運び、ときに行き来が困難な国境の旅を続け、22年間で撮り溜めた作品約160点を展示する。
1989年、ポーランドでカトリックと連帯が1つになって黒いマドンナのミサに巡礼し民主化を求める姿、共産主義体制を維持するベラルーシの街に立つレーニン像、カリニングラード港に第二次世界大戦の戦勝記念碑として係留されている潜水艦、世界中から訪れるカトリックの巡礼者たちが積み上げた十字架が凍り付く極寒のリトアニア、カウナス。冷戦終結後に廃墟となった、オストラバの重工業地帯にたたずむ、冷戦中ソビエトの管理下に置かれていた化学工場跡…。
ポーランドを取り巻く冷戦後の国境を越え、7カ国を取材してとらえた東欧の歴史の記憶と人々の姿とは。
江戸と東京。それぞれを見つめた表現者たち「田沼武能写真展 東京わが残像 1948ー1964」
終戦直後から活躍し、90歳を迎えようとする今も第一線で活動し続ける写真家・田沼武能(1929〜)。生誕90年、写真家生活70年の節目に合わせ「戦後東京」をテーマにした初の大規模個展が開催される。
田沼は1949年に東京写真工業専門学校(現・東京工芸大学)を卒業した後、サン・ニュース・フォトス社に入り、木村伊兵衛の助手として写真家人生をスタート。『藝術新潮』の嘱託写真家として文化人の肖像写真による連載で注目を集めたのち、アメリカのタイム・ライフ社と契約しフォト・ジャーナリズムの分野でも活躍。また、黒柳徹子ユニセフ親善大使の援助国訪問には1984年の初回からすべてに同行するほか、これまで120カ国を超える世界中の子どもたちを撮影してきた。
卒寿を迎える今も写真家として第一線で活躍している田沼だが、子どもや文化人の写真と並びライフワークとしてきたのが、自身の生まれ育った下町を中心とした東京の写真。戦後の焼け野原から出発し、さまざまな矛盾を内包しながらも再生を目指し激しく変貌した都市・東京。本展では、田沼が見つめてきた東京の写真作品180点を「子ども」「下町」「街の変貌」の3つの視点から紹介。さらに世田谷美術館での個展開催にちなみ、特別企画として、世田谷区ゆかりの文化人の肖像写真24点も展示する。
会期中は田沼本人が登壇する講演会も実施される(3月16日14時〜、13時よりエントランスホールにて整理券を配付。当日先着140名。参加費無料)。
【会場・会期】世田谷美術館 開催中〜4月14日(日)
【時間】10〜18時(入場は17時30分まで)
【休】月曜(2/11は開館、翌12日休館)
【料金】一般1000円、65歳以上800円、大高生800円、中小生500円
【問い合わせ】03-5777-8600(ハローダイヤル)
【交通】東急田園都市線「用賀」駅より徒歩17分
【URL】https://www.setagayaartmuseum.or.jp
江戸と東京。それぞれを見つめた表現者たち「新・北斎展 HOKUSAI UPDATED」
“Great Wave”と称されて世界的に名高い「神奈川沖浪裏」を含む「冨嶽三十六景」シリーズや、19世紀のヨーロッパにおけるジャポニスムの流行の契機となった『北斎漫画』といった、幅広く知られている代表的作品にとどまらず、国内外の名品や近年発見された作品、初公開作品も併せて紹介。約70年に及ぶ北斎の画業をたどる北斎展。
本展では、その絵師人生を作風の変遷と主に用いた画号によって6期に分けて紹介。勝川派の絵師として活動した「春朗」期(20〜35歳ごろ)、勝川派を離れて肉筆画や狂歌絵本の挿絵といった新たな分野に意欲的に取り組んだ「宗理」期(36〜46歳ごろ)、読本の挿絵に傾注した「葛飾北斎」期(46〜50歳ごろ)、多彩な絵手本を手掛けた「戴斗」期(51〜60歳ごろ)、錦絵の揃物を多く制作した「為一」期(61〜75歳ごろ)、自由な発想と表現による肉筆画に専念した「画狂老人卍」期(75〜90歳ごろ)と、その壮大な画業を通覧していく。
20歳のデビュー作から90歳の絶筆まで、本展に出品される作品数は約480件(会期中展示替えあり)。初公開作品も多数出品されている。アメリカ・シンシナティ美術館が所蔵する、北斎が88歳の時に描いた《向日葵図》(肉筆画)や、近年発見された「かな手本忠臣蔵」(小判、10枚)など、長らく秘蔵されていたため、衝撃的なほどに美しい色彩をとどめている《津和野藩伝来摺物》というレアな作品も必見。