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世界を震撼させた名作バレエ、マシュー・ボーンの『白鳥の湖~スワン・レイク~』

2019.07.11 Vol.720

 白鳥を男性がダイナミックに踊って世界を震撼させた名作バレエ、マシュー・ボーンの『白鳥の湖~スワン・レイク~』が再来日、11日から開幕する。

『白鳥の湖』といえば、クラシックの中のクラシック。バレエはほとんど知らない人てもバレエをイメージして浮かんでくるのは、この作品の一部であることが多いはずだ。マシュー・ボーンの『白鳥の湖~スワン・レイク~』は、その作品を、マシュー・ボーンが新たな解釈で表現したもの。オリジナルの優雅や繊細なイメージもありながら、それ以上にパワフル、エナジー、迫力、そして衝撃といった印象で迫ってくる。なかでも、スワンを演じる男性ダンサーたちの群舞にはあまりの迫力に身を引いてしまうほど。かつて本紙とのインタビューで、演出のマシュー・ボーンは「本物の白鳥を見ていると分かるよ、彼らは意外と獰猛なんだ」と話していたが、舞台上のスワンたちは彼が形容したまま。威嚇されると、本当に怖い。

 今回の来日公演は新演出版。本作は1995年の初演以来、手が加えられることがなかったが、約20年の時を経て、マシュー・ボーン自身が手を入れて、“アップデート”したのだという。新たな技術を取り入れて、ドラマが際立ち、スワンたちのどう猛さも増しているのだとか……。

 何度も来日公演が行われ、毎回足を運ぶリピーターも多い。この夏、最も見ておきたい作品のひとつ。

佐奈宏紀主演の舞台『銀牙 -流れ星 銀-』が開幕! 戦う犬たちの物語は「超絶熱い」

2019.07.07 Vol.Web Original

 舞台『銀牙 -流れ星 銀-』~絆編~が天王洲銀河劇場で上演中だ。

 原作は、高橋よしひろによる同名の人気漫画。宿敵である殺人熊に立ち向かうため、主人公の秋田犬の銀を筆頭に、勇敢な犬たちはより強い犬たちを求めて、ステージ上を駆け、戦い、友情や信頼を深める。そこには父と息子、犬同士の信頼と絆、犬と人との関係などが描かれ、胸を熱くする。
 
 6日、初日公演前に、通し舞台稽古が公開され、主要キャストが取材に対応。銀を演じる佐奈宏紀は、「入念な、ち密な、濃密な稽古をしてきました」としたうえで、「稽古でこんなに疲労したのは初めてってぐらい疲労しきっているのですが、ようやくお客さんに見せられることがすごくうれしい」と、コメントした。

満島ひかり、坂口健太郎らの舞台『お気に召すまま』東京での追加公演が決定

2019.07.05 Vol.Web Original

 満島ひかり、坂口健太郎、満島真之介らが出演する舞台『お気に召すまま』の東京での追加公演が決定した。追加されるのは、8月14日13時の公演。

『お気に召すまま』は、シェイクスピアによる恋愛喜劇。性差を越えて燃え上がる、さまざまな恋模様を名セリフで紡ぐ。

 演出は、『おそるべき親たち』(2010)、『狂人なおもて往生をとぐ』(2015)、『かもめ』(2016)などの熊林弘高。本作は、熊林にとって初のシェイクスピア作品になる。他出演に、中嶋朋子、山路和弘、小林勝也、中村蒼、温水洋一、広岡由里子、萩原利久、碓井将大ら。

 7月30~8月18日まで、東京芸術劇場プレイハウスにて上演。その後、豊橋、新潟、兵庫、熊本、北九州で公演がある。

 追加公演のチケットは、7月20日発売。

人生について考えてみる 演劇団体「桃尻犬」『山兄妹の夢』

2019.06.21 Vol.719

 桃尻犬の主宰で作・演出を務める野田慈伸は俳優としても多くの舞台に客演。その独特の風貌と癖のある役を演じることが多いことから顔を見れば「ああ、この人」と思う人も多いかもしれない。

 その一方でNHKちょいドラ2019「尽くす女」の脚本、人気劇団「玉田企画」最新作「かえるバード」への脚本協力など、脚本家としても活躍中だ。

 そんな野田による桃尻犬の作品では人間の悪意や杜撰さ、どうしようもなさ。そして人生のくだらなさ、つらさ、どうしようもなさといったものがポップに楽しく、HAPPYに描かれる。

 今作は熊本の山小屋にこもり実の兄妹でわいせつDVDを違法に販売し、家族ぐるみでおよそ4億円を荒稼ぎした実際の事件をモチーフとしたもの。

 主人公の兄妹は将来小さな喫茶店を作ることを夢見、その資金を作るために今はせっせと山小屋でわいせつDVDを作っている。その山にはさまざまな人々が迷い込んでくる。遭難者はもとより、プロポーズをしてフラれた男、姥捨てられた老婆…。そんな「これだ!」と思った瞬間に失敗してきた人々によるどうしようもない物語が展開される。

 前回公演『俺ずっと光ってるボーイ、健之助』では連日満席で千秋楽には立ち見も出た。今回も早々にチケットの売り切れが予想されるが当日券ももちろん出るので、あきらめずにトライしたい作品。

人生について考えてみる『チェンジオブワールド』

2019.06.18 Vol.719

 本作の脚本・演出を務める鄭光誠は舞台『地獄少女』、『神々の悪戯』といった2.5次元作品やラブメンを中心とした劇団Rexyの公演といったエンターテインメント性の強い作品から引っ張りだこの人気演出家。

 しかし元をたどれば在日問題、阪神大震災や自殺問題など史実をもとにした社会派の作品を手掛ける硬派な面も持ち合わせている。

 そんな鄭が今回手掛ける『チェンジオブワールド』は鄭の硬派な部分が強く出た会話劇を中心としたストレートな作品。好評につき5回目の再演となる。

 物語は2人の少年を軸に描かれる。片方は人をいじめる事で自分の存在を主張していた少年で、もう片方はそのいじめの的にされていた少年。

 付き合う人、置かれている状況、全てにおいて違う世界を見ていた2人が、ある日を境に入れ替わってしまう。見える世界が変わった2人はそれぞれの世界で生活をする中、元に戻る方法を模索する。その過程で2人が見たものは今まで自分が知ろうとしない世界だった。誰にも優しく接してもらうことのなかったいじめっ子と、 力で人をねじ伏せ嘘や裏切ることのなかったいじめられっ子。

 ひょんなことで入れ替わり、違う世界を見ることで迎合し、新たな人生の一歩を踏み出す物語。

 主人公の2人を演じるのは2.5次元系の舞台を中心に活躍中の渡部大稀と、4月まで東京ワンピースタワーでロロノア・ゾロ役を演じていた中島礼貴。

人生について考えてみる もたい村「タイトルロール・ワズ」

2019.06.17 Vol.719

 舞台、映画、ドラマにCM、ナレーションと幅広く活躍中の女優・もたい陽子。最近では貴重なバイプレーヤとしてその存在感を高めている。

 そんなもたいが40歳を前に「自分で芝居を企画してみよう」と思い立ち、女優の菊池美里の協力を得て立ち上げたのがこの「もたい村」。

 旗揚げ公演にはくによし組の國吉咲貴を作・演出に迎え、もたいが信頼する俳優たちを集めた。

 物語の舞台はおとぎ話に出演する俳優たちが所属する、おとぎ話プロダクション。そこにいる元主役は、継母役も通行人役も嫌がり、女優人生の崖っぷちに立っていた。そんな彼女の目標はただ一つ「主役がやりたい」ということ。「誰もが人生の主役!」なんて綺麗ごとが通じない大人たちのほろ苦おとぎ話。

 おとぎ話とは言いつつも、「これってもたい自身のこと?」と思わせられるような内容にドキッとしたり、40歳を迎えるもたいの覚悟がちらちらと見えたり?

 芸達者の共演者はもとより、日替わりゲストも多種多彩。どうやら通常よくある日替わりゲストの枠を越えた台詞量も要求されているようで、ゲストのファンにも見ごたえ十分の作品に仕上がっているよう。

 また21日の15時からは菊池美里による一人芝居『ベットタイム・ライフ』(作・演出 國吉咲貴)が上演される。

人生について考えてみる「錆色のアーマ」―繋ぐ―

2019.06.07 Vol.719

 2017年に上演され人気を博した舞台『錆色のアーマ』の新作公演がついに開幕した。初演に続き、佐藤大樹(EXILE / FANTASTICS from EXILE TRIBE)と声優の増田俊樹のW主演で、佐藤は鉄砲ひとつで名乗りを上げた孫一(まごいち)、増田は織田信長を演じている。

 戦国時代に天下統一を目指す男たちの姿を描く。本能寺で、雑賀衆たちと信長は炎によって分断されてしまった。炎の中ひとり佇む信長のもとに、人ならざる影が現れる。すべてを奪われてしまった信長は、薄れゆく意識の中で、孫市の青い瞳の記憶をたどっていき……。

 舞台の主題歌は、FANTASTICS from EXILE TRIBEの新曲「Tie and Tie」。本作のために書き下ろされた楽曲で、“繋ぐ”という言葉をテーマに、希望と絶望が隣り合わせのなかで真実の歴史がつながり始める「錆色のアーマ」の世界に寄りそった楽曲になっている。

 また、本公演に合わせて、舞台からのコミカライズも実現した。前代未聞の逆2.5次元作品としても話題を集めている。
 東京公演に続き、愛知公演(岡崎市民会館あおいホール、22・23日)、大阪公演(梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、27〜30日)もある。

城田優が主演するブロードウェイミュージカル『ピピン』

2019.06.04 Vol.718

 城田優が主演するブロードウェイミュージカル『ピピン』日本語版が、いよいよ開幕する。

 悩める若き王子ピピンが、美しくカリスマ的な“リーディングプレーヤー”率いるアクロバットサーカス一座に誘い込まれ、「特別な何か」を探し求める旅に出る。そのなかでさまざまな人たちに出会い、物語が展開する。

 ブロードウェイ屈指の名作ミュージカル。1972年にボブ・フォッシーによる演出と振付で初演され、1977年までロングラン上演したミュージカル。2013年にはダイアン・パウルスによって新演出版が発表され、トニー賞を4部門で受賞している。

 日本語版の演出は、そのダイアン・パウルスを筆頭とした『ピピン』のクリエイティヴ・チームが担当。新演出版は、ボブ・フォッシーのスタイルを踏襲した刺激的なダンスと、シルク・ドゥ・ソレイユ出身のアーティストが手掛けたサーカスアクロバットを大胆に取り入れ、これまでにない新しいミュージカルエンターテインメントになっていたが、日本版はブロードウェイの演出を基盤として、日本人向けながらブロードウェイのテイストを残したものになるという。

ゲキ×シネ『髑髏城の七人』の夏の陣! 6月から新旧6作を上映

2019.05.24 Vol.Web Original

 劇団☆新感線の『髑髏城の七人』シリーズが映画館に登場する。6月からシリーズ新作と旧作の全6作品を新宿バルト9ほか全国12の映画館で上映する。

 ゲキ×シネ『髑髏城の七人』2019年夏の陣と題して展開される企画。360°回転シアター、IHIステージアラウンド東京のこけら落とし公演として上演された『髑髏城の七人』の最新作 Season 花・鳥・風に、『髑髏城の七人~アカドクロ』、『髑髏城の七人~アオドクロ』、『髑髏城の七人 2011』を加えた6作品。

《ゲキ×シネ》は、劇団☆新感線の話題作を映画館で上映するもの。作品ごとに映像版の監督を擁立し、映像はスクリーン向けに新たに編集。音声も劇場向けにリミックスされて、映画館の大スクリーンと高音質で最大限に舞台の魅力を味わえるのが特徴。
 
 現在、シリーズ新作の、花・鳥・風・月(上弦の月/下弦の月)、極(『修羅天魔』)は、ゲキ×シネにて上演中。

太宰治作品をモチーフにした演劇公演第15回 日本のラジオ『カケコミウッタエ』

2019.05.24 Vol.718

 三鷹市芸術文化センターの「MITAKA “Next” Selection」に並ぶ名物企画である「太宰治作品をモチーフにした演劇公演」。今回は「日本のラジオ」が太宰の『駈込み訴え』をモチーフとした作品を上演する。

「日本のラジオ」は作・演出の屋代秀樹の描く猟奇事件やオカルトをモチーフとした会話劇に定評があり、その鋭いセリフとオリジナリティー、そして緊張感のある演出で今、注目を集める劇団だ。

 原作は昭和15年に発表された、全編にわたり一人称独白体で書かれた短編小説。ユダを主人公とした視点となっており、イエス・キリストへの愛憎が渦巻き、激しく揺れるユダの心情をよどみない筆致で描いた傑作。

 今回は舞台を現代に置き換え、群像劇に仕立て上げる。物語では代表の死をきっかけに結束を深めるある団体の中で、その状況に納得のいかない主人公の鬱々とした心情や周囲の人々との人間模様が描かれる。物語を通して「宗教」や「組織」にまつわる問題も浮かび上がってくるという。

もがいた男の生きざまを描く LiveUpCapsules『軽佻浮薄な謀反を起こせ』

2019.05.20 Vol.718

 LiveUpCapsules は2002年の旗揚げ以来、全公演で多面舞台(多面客席)の舞台作りを継続して行っている。これは舞台と客席との垣根を取り払い、同じ空間にいる意識を共有することで観客の心を動かし、物語をうねらせ、劇場全体を巻き込んだ異空間を作り出すことを目的としたもの。

 確かに通常の劇場の作り、いわゆる舞台がありその正面に客席があるといった環境での観劇に慣れている者にとっては多面舞台の公演は劇場に入った段階から緊張感とワクワク感が増幅。そこからすでに作品に取り込まれてしまっている人も多いのでは。

 作・演出を務める村田裕子は2010年からは日本の歴史を題材にし、今の日本に通じる問題を抉り出すような作品を作り続けている。彼女が今回選んだのは「映画」。

 敗戦の傷跡が癒えぬ日本で小津安二郎、溝口健二、黒澤明、木下恵介といった巨匠たちが腕を競う中で、自らを「日本軽佻派」と称し不治の病を抱えながら映画を撮っていた男がいた。戦後の日本の映画界に実在した映画監督とその代表作の撮影時の実話をもとに、生きることにも、その表現にももがいた男の生きざまを描く。

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