2月1日から下北沢で「第27回下北沢演劇祭’17」と春風亭昇太プロデュースによる「下北沢演芸祭2017」が開催される。さまざまな作品、演目が並ぶなか、本紙がイチオシするのが演芸祭の「爆笑!スタンダップコメディ寄席!」に出演する清水宏だ。
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子供鉅人「下北沢演劇祭」ならではの暴挙!? 本多劇場に115人の出演者を上げる
「下北沢演劇祭」に参加する子供鉅人は今回『マクベス』で本多劇場に初進出するのだが、「“本多劇場初”なことをやってみようということで、本多劇場の舞台に100人の出演者を上げることにしました」と言うのは主宰の益山貴司。
これまでの最多が2003年の流山児★事務所『書を捨てよ、街へ出よう』の54人とのことなので軽くオーバー。
「HPなどでは114人になっていますが、最近、高知からどうしても出たいという人が来まして、115人になりました。そのうち劇団員は10人。年齢は18~69歳。60代以上が4人いて、さいたまゴールドシアターに出ていた方もいらっしゃいます。お金がある商業演劇とか、公共ホールが税金を使って市民劇に100人出演させるというのは、まああるじゃないですか。そうじゃない全く金がない小劇場のチームがそれをするということにちょっと誇りを感じています」
100人をどう使う?
「メインの役は劇団員なんですが、台詞を割って、できるだけアンサンブルの方にも台詞を言ってもらうようにはしています。群集劇ですから、ガヤとメインというよりも、その100人もちゃんと意識を持った存在として舞台に上がるようにしようと思っています」
とはいえ、そんな話題性ばかりに走った作品というわけでもない。『マクベス』は劇中では何度も「男らしさ」や「女らしさ」といったことが言及されるのだが、今回はマクベスを女優の億なつき、マクベス夫人を男優の益山寛司と男女を入れ替え配役。それによって「らしさ」というものの本質に迫っていく。
「弟の益山寛司はずっと女形をやっているんですが、彼にマクベス夫人をやらせたいという思いがずっとありました」
益山寛司という女形がいてこその、まさに子供鉅人“らしい”作品。
「100人を舞台に上げるというのは最初はけれんだけだったんですが、とはいえあれだけの作品ですし、やる以上は上演する意味なんかも問われてくる。楽しいだけのわちゃわちゃしたエンターテインメントだけにはしたくない。そうじゃない子供鉅人の側面を見せたいと思っていて、現代社会の世相といったものをうまく取り込むことができないかとずっと考えていたんですが、ある時、新宿の街である風景に出くわした時に僕のそういう思い、マクベス、そして100人の出演者といったいろいろなピースがひとつになった。今は必然性のある100人の出演者だと思っています」
すでに土曜のマチネに追加公演も決定。作品の面白さはもちろんなのだが、とにかく115人をどう切り回すのかといった別の楽しみもある。必見の作品。
劇団子供鉅人『マクベス』
【日時】2月10日(金)~12日(日)(開演は金19時、土14時/19時、日14時。開場は開演30分前。受付開始は開演1時間前)
【会場】本多劇場(下北沢)
【料金】全席指定 前売4000円、当日4500円/学生2500円/高校生以下1000円
【問い合わせ】劇団子供鉅人( contact@kodomokyojin.com 〔HP〕 http://www.kodomokyojin.com/ )
【作】ウイリアム・シェイクスピア
【演出】益山貴司
【出演】益山寛司、キキ花香、影山徹、億なつき、ミネユキ、山西竜矢、益山U☆G、古野陽大、うらじぬの、益山貴司 他100名
初の新作で今年も開催「赤坂大歌舞伎」
2008年9月、十八代目中村勘三郎の“芸能の街・赤坂で歌舞伎を!”という一言から始まった「赤坂大歌舞伎」。世話物の傑作『狐狸狐狸ばなし』/松羽目物『棒しばり』が大成功を収め、2010年には山田洋次監督補綴の『文七元結』/舞踊『鷺娘』で観客を魅了した。
2013年、亡き勘三郎の遺志を継ぎ、中村勘九郎、中村七之助兄弟を中心に、勘三郎の当り狂言であった『怪談乳房榎』を上演。「赤坂大歌舞伎」の新たな歴史の1ページが幕を開けた。2015年には、糸操りの人形が三番叟を踊る、ユーモア溢れる舞踊『操り三番叟』と、七役の早替りが見所の『於染久松色読販 お染の七役』を上演。『操り三番叟』では、勘九郎が軽やかさと力強さを備えた舞いを繰り広げ、『お染の七役』では、七之助が2012年の平成中村座公演での初挑戦以来、2度目の七役に挑んだ。
そして、5回目となる2017年4月は、「赤坂大歌舞伎」初となる新作歌舞伎『夢幻恋双紙 赤目の転生』を上演。新作の作・演出は、勘九郎・七之助と同世代で、演劇界で注目を集め続ける新進気鋭の劇作家・蓬莱竜太。勘九郎は「(作・演出の)蓬莱さんは自分と同世代の若い劇作家さんですが、本当に面白い作品が多く、一度歌舞伎を書いてほしいと思っていたので、夢が叶ってうれしいです。この新作は、どんでん返しに次ぐ、どんでん返しのすごい話です(笑)。歌舞伎ならではのファンタジーさを組み込んで書いて下さると思うので、お客様にはそこを期待して見に来ていただきたいですね」と新作に期待を寄せたコメントを発表。今年も歌舞伎が赤坂の街を盛り上げる。
もやもや女子におすすめの一本【腕利き宣伝マンが猛プッシュ コレよ、コレ!】
「mizhen」と書いて「ミズヘン」と読む。脚本家で演出家の藤原佳奈が主宰する演劇創作ユニットだ。10月5日から約1年半ぶりの公演となる『夜明けに、月の手触りを?2016?』を新宿のSPACE梟門で上演する。同作は昨年の劇作家協会新人戯曲賞最終候補作品だ。
「26歳の時に書いた旗揚げ作。この作品で、佐藤幸子、佐藤蕗子とともにmizhenを本格的に始動しました。20代後半の女性たちの話なので、30歳までに再演したいという思いはもともとありました。劇作家協会の戯曲賞に応募して、審査員の方からいろいろ言葉をいただくなかで、作品を振り返る機会があり、今がちょうどいいタイミングなんじゃないかと思って、今回再演することにしました」
20代後半の女性が見ると…。
「ずしずし来るみたいです。20代後半に差し掛かると、30歳を見据えて、なんだかもやもやした不安だったり焦りだったりが湧き上がってきて、この手触りを残しておきたい、と思ったのがこの作品を書くきっかけでした。29歳になった今、多少諦めが出てきて、また少し違った角度からその感触を捉えています。わたしは日本で女性が生きるなかで感じることにとても興味があるのですが、劇中のもやもや女子たちを見ることは、同世代だけでなく、面白いんじゃないかなと思います」
とりあえず「もやもや女子」本人と、そういう女子の面白さに興味のある方はぜひ!
新たな傑作がここに誕生!『ナイスガイ in ニューヨーク』
プレイボーイの兄とマジメな弟が巻き起こす大騒動を描く、ニール・サイモン原作の『ナイスガイ in ニューヨーク』が上演される。洗練された軽妙なユーモアと、次々に繰り広げられる想定外の展開、そしてクライマックスには感動の名場面も!ブロードウェイが誇るコメディー王と日本コメディー界の鬼才による、新たな傑作がここに誕生。舞台はニューヨーク。ハンサムでプレイボーイ、女性の訪問が絶えない兄の部屋にある日やってきたのは、生真面目な弟。父親の支配から逃げて家出をしてきたのだ。内気な弟に女性と付き合う楽しさを教えようと一大計画を立てた兄は、彼を立派な紳士に仕立て上げる。自分の部屋に弟を住まわせ、女性たちを次々と送り込むが、ある日、1本の電話の手違いにより2人の母親がやってきてしまう!
突然の来訪、しかも泣きじゃくる母をようやく家に帰したところで、今度は頑固一徹の父親まで登場。混乱した状況に慌てふためく兄弟をよそに、事態は予想もつかない方向に転がっていき…。20世紀を代表する偉大なシンガー、フランク・シナトラ主演の映画版の名曲を井上芳雄が歌い上げる。チケットはローソンチケットで! プレイガイド最速抽選先行は、9月14日(水)12時〜19日(月・祝)23時59分まで。先着先行は22日(木・祝)12時〜開始。一般発売は10月1日(土)10時から。
コメディーなんだけど家族についてちょっと考えさせられる 舞台『家族の基礎〜大道寺家の人々〜』上演中
松重豊と鈴木京香が夫婦役で舞台初共演を果たした舞台『家族の基礎〜大道寺家の人々〜』が現在、渋谷のBunkamura シアターコクーンで上演中。
本作はNHKのコント番組「LIFE!」の脚本、人気シリーズの舞台「鎌塚氏シリーズ」などを手掛ける脚本家で演出家の倉持裕が初のコクーン公演にあたり書き下ろしたもの。波乱万丈な運命をたどる風変わりな一家・大道寺家の人々の挫折と再生を軽妙なタッチで描く。
夫婦の長女に夏帆、長男に舞台初出演となる林遣都、一家に長くかかわっていく大衆劇団の座長に六角精児と、豪華で芸達者なメンバーが揃った。
劇中の回想シーンでの松重の半ズボン姿が話題を集めるなど、コメディー要素は多いのだが、物語が進むにつれ家族のあり方や家族の絆といったシリアスなことにもついつい考えを巡らすことになる。
松重が初日前の会見で「この稽古の間に、鈴木京香さんと“疑似家族”を作りあげられた過程が幸せでたまらなかった。鈴木京香さんという女優さんというよりも、人間を、僕は本当に好きになりました」と語れば、鈴木は「松重さんは優しくて、穏やかで、とにかく全員に目を配ってくださっていた。おんぶに抱っこされたい、みたいな。頼り切ってしまいたい思いだった。頼もしく思っています」と返す。このやり取りが後から思い返されるような作品となっている。
渋谷のBunkamura シアターコクーンで28日まで上演。その後、愛知、大阪、静岡でも上演される。
演出に千葉哲也氏を迎え問題作を上演【腕利き宣伝マンが猛プッシュ コレよ、コレ!】
企画ごとに公演を立ち上げるプロデューススタイルの演劇集団ツチプロが、2年ぶりに本公演を開催。演出は、役者としてだけではなく、演出家としても評価の高い千葉哲也氏。多忙を極める千葉氏へは、3度目のオファーで承諾してもらった。
「今回は、もともと演出家ありきの企画です。千葉さんが持っている圧倒的な芝居力に期待してお願いしました」とプロデューサーの土屋さん。
「千葉さんの芝居はもちろん、演出作品も見てきましたが、観劇中はいつも動悸が激しくなり、観客の息遣いも聞こえてくる。ただ面白いというだけでなく、すごい芝居が見たい。それだけです」
作品タイトルは「青」、ストーリーは、2人の若者から始まった、外国人を排除するレイシズム騒動が盛んになった現代の東京。
「本来の意図とは別に、騒動が独り歩きして暴走するさまは、今でいうネットの炎上に近いかもしれません。一見難しそうですが、先入観なしに見ていただければ、話自体はすごくシンプルで分かりやすいと思います」とプロデューサー補佐の樋口さん。
「オレが嫌いなら断って下さい。ただ時間が無いだけなら最大限こちらが準備します、と押し切らせて頂きました(笑)」という暑苦しい…いや、熱意あふれる土屋さんが断言。
「9月〜10月にかけて、東京の200以上ある劇場でたくさんの芝居が上演されます。やるからにはその中で一番の芝居を目指したい。千葉さんの求心力とそれに引っ張られ集まった役者とスタッフによって起こる奇跡も目の当たりにしてみたいです」
『トーテム』の演出家ロベール・ルパージュによる自叙伝的一人芝居『887』
現在、絶賛上演中のシルク・ド・ソレイユの『トーテム』の演出家であるロベール・ルパージュの新作舞台『887』が6月23日から東京・池袋の東京芸術劇場で上演される。
本作はエジンバラ演劇祭をはじめ世界中で喝采を浴びた作品で、日本初演。
ルパージュは演出はもちろん、脚本、美術デザインも手掛ける。そしてなにより注目なのがルパージュ自身が出演し、なおかつ一人芝居であるということ。
作品のテーマは「記憶」。タイトルの「887」は、彼が子供の時に家族と住んでいたケベック・シティーの番地、887 Murray Avenueのことで、「887」というアパートの番地から記憶をめぐらせて幼少期を振り返り、ルパージュ自身のプライベートな部分と、彼が過ごした1960年代のケベックを覆う複雑な社会問題を描き出すという。
“映像の魔術師”と呼ばれるルパージュは視覚的な仕掛けや最先端のテクノロジーによる美しい映像を駆使して、観客を魔法にかけるように魅了する。
今回も舞台上では、ルパージュが精巧に作りこまれたアパートの模型をのぞき込むと最新のプロジェクションマッピングによって、その中に住む人々が映し出されるといった「ルパージュ・マジック」がふんだんに盛り込まれている。
『トーテム』のようなダイナミックな世界観とは一転した自叙伝的一人芝居。先にトーテムを見てからこちらを見るのも面白いかも!?
ロベール・ルパージュ『887』
【日時】6月23日(木)〜26日(日)(開演は23・24日19時、25・26日14時。※英語上演・日本語字幕付。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前)
【会場】東京芸術劇場 プレイハウス(池袋)
【料金】全席指定 S席:前売6000 円、当日6500 円/A席:前売4000円、当日4500 円/高校生割引:1000円、25歳以下(A席):3000 円、65 歳以上(S席):5000 円
【問い合わせ】東京芸術劇場ボックスオフィス(TEL:0570-010-296 [HP] http://www.geigeki.jp/ )
【作・演出・美術・出演】ロベール・ルパージュ
[STAGE]よみがえる名作を2選
日本の30代『ジャガーの眼2008』
2012年に上演された松尾スズキ作・演出の『ふくすけ』に出演した役者たちが集まって、昨年、この「日本の30代」を結成した。
10年を超えるキャリアを重ねるなか、所属劇団でも重要なポジションを占めるようになり、それに伴い外部への客演も増えてきた。しゃにむに突っ走ってきた20代を過ぎ、役者としていろいろなことを考える余裕が出てきた。そして「これまでの作品からはみんなが想像できないような、もっと違った芝居がしたい」と思った者たちが自然に集まり、できたユニットだ。
もともと松尾スズキのテイストに近い彼らではあったが、そんな思いもあったため、旗揚げ公演では文学座の鵜山仁に演出を依頼し、シェイクスピアの『十二夜』を上演。普段は見せない顔で、よそではあまり見ない十二夜を作り上げた。
今回は木野花を演出に迎え、唐十郎の『ジャガーの眼2008』を上演する。“唐十郎”という絶対的な個性と“テント芝居”という幻想的なキーワードがついて回るこの作品は古くからのファンも多い。唐以外が上演するときも、割と近い関係の人やテイストを持つ人が手がけてきた。世代もテイストも違う彼らは果たしてどんな形のものを提示してくれるのだろうか…。
【日時】8月28日(金)〜9月7日(月)(開演は28・3日19時、29・7日17時、30・1・4・6日14時、2・5日14時/19時。31日休演。開場は開演30分前。当日券は開演45分前)【会場】駅前劇場(下北沢)【料金】自由席 前売3300円、当日3500円/指定席 前売3800円、当日4000円/高校生 前売1800円、当日2000円(日本の30代webのみ取扱い・当日身分証確認)【問い合わせ】リトル・ジャイアンツ(TEL:090-8045-2079=平日12〜19時[HP]http://www.nihonno30.com/)【作】唐十郎【演出】木野 花【出演】井内ミワク、井本洋平、延増静美、少路勇介、鈴真紀史、竹口龍茶、羽鳥名美子、平岩紙、町田水城、富川一人
ライジングスターをいち早くチェック!
VOCAL BATTLE AUDITION Presents”VOCAL BATTLE STAGE 2014″
ボーカルとダンスの融合で唯一無二のエンターテインメントを送り出す、EXILE。彼らを作り上げる上で重要なのがオーディションだ。なかでもボーカリストを発掘するVOCAL BATTLE AUDITION(VBA)からは、多くの才能が生まれている。本公演はオーディション出身のボーカリストが集結するもの。EXILEのNESMITHとSHOKICHI、三代目 J Soul Brothersの今市隆二&登坂広臣らが美声を響かせる。
少人数で濃密なお芝居が2本
π*π『マーブル』
最近ではコメンテーターとしても活躍している、タレント・俳優の松尾貴史とナイロン100℃の看板女優である松永玲子が新たに演劇ユニットを立ち上げた。毎回さまざまな作家、演出家とタッグを組み、2人を好きなように料理してもらおうという。
もともとこの2人は1998年に立ちあがった松尾と演出家のG2によるユニット「AGAPE store」で多く共演。絶妙なコンビネーションを発揮していた。
記念すべき第1回はさまざまな社会派テーマをアートな視点から舞台上演を続けている「劇団東京フェスティバル」の公演を見た松尾と松永からの熱烈なラブコールによりきたむらけんじが担当。
舞台は新宿ゴールデン街にある一軒のバー。2人が演じるのは写真家を夢見る男とバーのママ。
実在した「流しの写真家」故・渡辺克巳と渡辺が足繁く通ったゴールデン街でのエピソードをモチーフに描く大人の物語。
【日時】1月23日(木)〜27日(月)(開演は木19時、金土14時/19時、日13時/18時、月14時。開場は開演30分前。当日券は開演の45分前)【会場】小劇場 楽園(下北沢)【料金】全席指定4800円(前売・当日共)【問い合わせ】ネルケプランニング(TEL:03-3715-5624=平日11〜18時 [HP]http://www.nelke.co.jp/)【作・演出】きたむらけんじ(劇団東京フェスティバル主宰)【出演】松尾貴史、松永玲子(ナイロン100℃)