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落合モトキら豪華キャストが約1年ぶりの有観客公演!コントと音楽 vol.3『くたばるものかよ』スタート

2021.10.17 Vol.Web Original

 映画監督の飯塚健が脚本・演出・選曲を務めるエンターテインメントショー、コントと音楽 vol.3『くたばるものかよ』が丸の内のコットンクラブでスタートした。vol.2.5「番外配信編」を経て約1年ぶりの有観客公演。キャストは新メンバーに落合モトキ、川久保拓司、傳谷英里香、片岡礼子を迎え、vol.2「他人関係」より足立梨花、関めぐみ、山中聡が続投する。開演前日には関係者向けのゲネプロが行われ、生まれ変わった「コントと音楽」が幕を開けた。

中止になって、もう一度やる公演 劇団献身『スケールⅡ』

2021.10.12 Vol.746

 劇団献身は早稲田大学演劇倶楽部出身の奥村徹也が、卒業後1年間のサラリーマン生活を経て2014年に旗揚げした劇団。

“3秒に1度放たれる”ともいわれるノンストップでギャグを放り込む独特のスタイルでコメディー作品を次々と発表。着実にファンを増やし、昨年には今後の飛躍が期待される若手劇団を集めて行われる三鷹市芸術文化センターの名物企画『MITAKA“NEXT”Selection』にも選ばれた。

 昨年の9月といえば、コロナ禍が一時収束し、エンターテインメントが復活しつつも、いつまた中止になってもおかしくないような微妙な時期。そんなやる側も見る側も気分が停滞しそうな状況でいつも以上にふざけまくって、みんなのストレスを笑いに変えた。

 今回は昨年4月に新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のための緊急事態宣言により全公演が中止となった第13回公演『スケール』を改め『スケールⅡ』としてパワーアップして挑むという。

 劇団としては初めての「恋」や「家族」を真ん中に置いた物語。もっとも「いずれにせよ行き詰まる、男と女の物語」とのことで、いつものテイストはもちろんそのままに新味をプラスアルファ。新たな境地に足を踏み入れる作品となる?

猫のホテル 30周年本公演『ピンク』

2021.10.04 Vol.745

 1990年に森田ガンツ、中村まこと、市川しんぺー、千葉雅子らで旗揚げした猫のホテル(通称:猫ホテ)が昨年11月に30周年を迎えた。この30周年イヤーのギリギリの10月に記念本公演を上演する。

 作・演出を手掛ける千葉による「人間のバカ哀しさ」を描いた作品は多くのファンを生み、90年代中盤から2000年代にはザ・スズナリといった小劇場を中心にコンスタントに公演を重ねた。その後、名優、怪優、奇才揃いのメンバーが外部から引っ張りだことなったこともあり、2010年代は劇団公演はかなりマイペースな感じで続けられた。今回も2018年4月の『秘境温泉名優ストリップ』以来の公演となる。

 今回の『ピンク』という作品は「30周年を迎え、創作姿勢や方法論を変えざるを得ない時代に突入したと実感した」という千葉が稽古や劇場環境、劇団のモラルまで通用するものかを見直すべく企画したもの。これまでは千葉自身、男性の物語を描くことが多かったのだが、今回は家父長制に守られた世界でたくましく生きる女性の物語を描くという。『ピンク』というタイトルには100年前の英国ではピンクは男の子の色、ブルーは女の子の色とされていたのに現在では逆転していることから「変容」の意味を込めつけられた。

 千葉は「劇団の歴史に今作が加わることで総括的に性別格差における価値観の変容を捉えるものと考えている」とも語っており、バカバカしさやユーモラスな表現の陰に現代社会への問題定義も見え隠れする作品となりそうだ。

ミュージカルらしいミュージカルを見たいという人にはおすすめ『オリバー!』

2021.09.30 Vol.745

 英作家チャールズ・ディケンズの小説『オリバー・ツイスト』が原作。物語の舞台はヴィクトリア朝のイングランド。救貧院で暮らしていた孤児のオリバーは葬儀屋に下働きに出され、そこでひどい仕打ちを受けて逃げ出す。ロンドンにたどり着いたオリバーはコソ泥とスリの集団に取り込まれてしまう。捕らえられたオリバーは被害者である親切な紳士に引き取られることになるが、スリの元締めの老人はオリバーを連れ戻そうとたくらんで……。

 スリ集団の元締めのフェイギンを市村正親と武田真治がWキャストで演じることは鑑賞するうえでもっとも楽しみにしたいポイントのひとつ。武田もまた自身にとって俳優人生の分岐点となる作品とコメントを寄せており、どんなフェイギンを魅せてくれるのか期待したい。また、元気に駆け回るオリバーら子どもたちの姿も見どころだ。

 ミュージカルらしいミュージカルを見たいという人にはおすすめの作品。

劇団鹿殺し渾身の王道音楽劇『キルミーアゲイン’21』

2021.09.27 Vol.745

 座長・菜月チョビが関西学院大学在学中にサークルの先輩であった代表・丸尾丸一郎とともに旗揚げした鹿殺しが今年、活動20周年を迎えた。2005年には当時の劇団員全員で上京し、既存の劇団とは一線を画した活動と並外れた行動力で徐々に東京の演劇ファンに知られるところとなり、公演規模も拡大。菜月、丸尾のみならず劇団員の外部での活動も増えていった。

 劇団が成長する過程でよく選択肢として上がる「解散」「活動停止」といったこともなく毎年コンスタントに公演を行えたのは菜月、丸尾の「劇団」というものへのこだわりがあってこそ。

 今回は2016年の15周年記念公演として上演された『キルミーアゲイン』の再演。劇団鹿殺し渾身の王道音楽劇だ。

 ゲストには真田佑馬、梅津瑞稀らフレッシュなメンバーから、小林けんいち(動物電気)、谷山知宏(花組芝居)といった劇団の黎明記を支えたメンバーまで、活動20周年にふさわしいゲストが集結。いつにも増してお祭り感も満載の公演となる。10月15〜17日には大阪IMPホールでも公演。10月9、10日には配信公演も行う。

演劇の可能性を広げる実験的な新プロジェクト ワタナベエンターテインメント Diverse Theater『物理学者たち』

2021.09.15 Vol.745

「Diverse Theater」というのはワタナベエンターテインメントが立ち上げた、さまざまなクリエーター、プロデューサーとのコラボレーションにより、演劇の可能性を広げる実験的な新プロジェクト。その第一弾となる今回はオフィスコットーネの綿貫凜氏とタッグを組む。

 今回はスイスを代表する劇作・小説家・推理作家のフリードリヒ・デュレンマットの代表作の一つである『物理学者たち』をノゾエ征爾の上演台本・演出により上演する。

 物語の舞台は、サナトリウム「桜の園」の精神病棟。そこには「物理学者」の3人の患者が入所していた。そのサナトリウムで、ある日看護婦が絞殺される。犯人は通称“アインシュタイン”を名乗る患者で、院長は放射性物質が彼らの脳を変質させた結果、常軌を逸した行動を起こさせたのではないかと疑う。 しかしさらなる殺人事件が起き、事態は思わぬ方向へ動いていった。

 第二次世界大戦での甚大な原爆被害も記憶に新しく、ベルリンの壁建設や水爆ツァーリ・ボンバの爆発実験など、世界情勢が緊迫した 1961年に執筆された本作では「科学技術」そして「核」をめぐって渦巻く人間の倫理と欲望が描かれる。

キンプリ神宮寺が三島由紀夫の代表作に挑戦「神宮寺勇太を大放出したい」

2021.09.14 Vol.Web Original

 

 キンプリことKing & Princeの神宮寺勇太が11月から上演される舞台『葵上』『弱法師』に主演、ストレートプレイに初挑戦する。また、神宮寺は本作が舞台単独初主演となる。

 三島由紀夫の全八篇の短編戯曲からなる代表作「近代能楽集」の二編を連続して上演する。『葵上』は、「源氏物語」を原典に、嫉妬や欲望、情念など、心の内に秘められた闇を描く。『弱法師』は終末観に腰を据えた青年が主人公で、現実的なもの全てに対する敗北を表す最後の台詞が印象的な作品だ。

「初めて単独での主演舞台をやらせて頂く事を聞いた時、心臓のビクン!とする音が聞こえました」と、神宮寺。「主演として舞台に立たせていただける喜びと、自分にどこまで出来るのかな?という思いが同時に駆け巡りました。ストレートプレイに挑戦させて頂くのも初めてですし、色んなことが初めてづくしな作品になります。」

『葵上』では美貌の青年・若林光役を、『弱法師』では戦火で視力を失った二十歳の青年・俊徳役を演じる。

「2作品の役を演じる事は、決して簡単ではないと思いますが、この2つの作品を演じ切ることができた後に演じる事の楽しさや、表現の幅が広がっているように、全身全霊で稽古に臨みたいと思います! 来ていただけるお客様に今まで見た事のない、神宮寺勇太を大放出したいと思います」

 共演は、中山美穂ら。中山は『葵上』では光のかつての恋人・六条康子を、『弱法師』では俊徳を救おうとする調停委員・桜間級子を演じる。

 中山は「長い芸能生活の中で、お芝居の舞台というのは1度しか経験が無く、正直不安でいっぱいです。古典文学から近代劇にされた三島作品2作ですから、尚更歴史の重みを感じています」としたうえで、「人間の奥深い感情を、ストレートに演じることになると思うのですが、演出の宮田さん、キャストの皆さんと丁寧に思いを込めて演らせて頂きます。何より、足を運んで下さるお客様に満足頂ける『葵上』、『弱法師』をお届け出来るよう、努めて参ります」と、コメントを寄せている。

 演出は宮田慶子。

 11月に東京グローブ座、12月に梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティで上演。

野田の世界観を熟知したメンバーが揃った印象 桃尻犬『ルシオラ、来る塩田』

2021.08.30 Vol.744

 今年で第22回を迎える三鷹市芸術文化センターの名物企画「MITAKA“Next”Selection」の第2弾。

 桃尻犬は2009年に立ち上げた団体で、メンバーは作・演出の野田慈伸のみ。その作品は人間の悪意や杜撰さ、どうしようもなさ。人生のくだらなさ、つらさ、どうしようもなさ。それらがポップに楽しく、HAPPYに描かれる。

 今回の作品は10年前にコンビニに煙草を買いに行ったまま帰ってこない母親に置いていかれた兄妹のお話。2人はいつしか兄が妹を殴り始め、妹もなんとなく「嫌だなぁ」とは思いつつもあまり強く出られない関係に。その一方、隣の家は日曜のお昼に庭で焼き肉を食べるようなハッピーな家だったりするのにだ。この捨てられた兄妹をめぐり、それを助けたり、助けられたり、ただ一緒にいたりする人たちの隣をうらやむ羨望のお話。野田曰く「うるさく、元気がいいお芝居にしたい」とのこと。

 桃尻犬は公演のたびに俳優を集め、作品を作るスタイルなのだが、今回も野田の世界観を熟知したメンバーが揃った印象。

主演舞台『検察側の証人』開幕を前に小瀧望「今はエンタメを届ける必要があると思っています」と決意

2021.08.28 Vol.Web Original

世田谷パブリックシアターで8月28日開幕

 今年2月に行われた「第28回読売演劇大賞」で杉村春子賞と優秀男優賞を受賞した小瀧望(ジャニーズWEST)が主演を務める舞台『検察側の証人』が8月28日、東京・三軒茶屋の世田谷パブリックシアターで初日の幕を開けた。

 同作は「ミステリーの女王」として知られるアガサ・クリスティによって書かれた法廷を舞台としたミステリー劇。独り身の資産家婦人の殺害容疑で起訴された容姿端麗な青年・レナードは無罪を主張するが、状況証拠は不利なものばかり。逮捕され、彼をさばく法廷が開かれるが、唯一のアリバイを証言するはずの妻・ローマインはなぜか検察側の証人として現れ、「彼から『婦人を殺した』と告白された」と証言する。法廷を舞台に緊迫感あふれる応酬が展開され、最後はまさかの急展開を迎える。クリスティ自身も自伝の中で「これは私が描いた戯曲の中でも、お気に入りの一つであった」と語る作品が読売演劇大賞優秀演出家賞など数々の演劇賞を受賞するなど注目を集める演出家、小川絵梨子の新翻訳、新演出で上演される。

 この日はフォトコールが行われた後にレナードを演じる小瀧、妻・ローマインを演じる瀬奈じゅん、そして法廷でレナードを追い詰める敏腕検事マイアーズを演じる成河が取材会を行った。

今度狙うのは『自由』だ。東京芸術劇場『カノン』

2021.08.17 Vol.744

 東京芸術劇場では2009年に野田秀樹が芸術監督に就任以来、さまざまな自主企画による作品を上演している。その中に国内外の演出家が野田の戯曲に挑むというシリーズがあり、昨年3月には劇団・快快の野上絹代が『カノン』を演出する…はずだったのだが、その時期といえば新型コロナウイルス感染症の感染者が徐々に増え始め、イベント等の開催の自粛が求められ始めたころ。この公演もぎりぎりまで開催を模索。劇場入りまでしたものの、無念の公演延期となっていた。

 今回、関係者の尽力もあり約1年5カ月の時を経て、ついに公演が実現する。

 キャストについては一部を除き、昨年3月の公演メンバーらがそのまま出演。沙金役のさとうほなみが2021年4 月に世界190カ国同時配信された NETFLIX 『彼女』に主演し、注目を浴びるなど、俳優たちは昨年3月以降、それぞれの分野で大きく成長した。

 作品では思想や理想、人間の本質、若者たちの焦燥感といったものが描かれており、昨年3月でも十分上演の意義がある作品だったのだが、コロナ禍にある現在、その意義はより一層高まったと言えそうだ。

男たちが役を入れ替えながらモノローグを綴っていく「ティーファクトリー『4』」

2021.08.16 Vol.744

 本公演は昨年5月に世田谷パブリックシアターで上演される予定だったのだが、新型コロナウイルス感染症の拡大防止による緊急事態宣言が発出された影響で延期となっていたもの。

 1年3カ月の時を経て全スタッフ・キャストそのままに上演されることとなった。

 この戯曲は2011年に世田谷パブリックシアター学芸企画〈劇作家の作業場〉「モノローグの可能性を探る」という上演予定のないワークショップからスタートし、改稿とリーディングを重ねるなかで2012年に白井晃氏の演出で舞台化され、鶴屋南北戯曲賞、文化庁芸術選奨文部科学大臣賞を受賞するなど高い評価を得た。その後、ニューヨーク、ソウル、コペンハーゲンといった世界各国でも上演された。今回は川村自らが演出を手掛ける。これまで川村が他のカンパニーと演出家に書き下ろした戯曲をティーファクトリーで上演したことはなく、かなりのレアケース。

 物語は5人の男たちが役を入れ替えながらモノローグを綴っていく独特なスタイルで進む。どうやら被害者の遺族らしい彼らのモノローグから生と死、感情の停止といったものが浮かび上がる。

 コロナ禍で1年延期され、東日本大震災から10年の今年、この作品が上演されるというのも何かの縁と感じざるを得ない。

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