本作は俳優の佐藤二朗がミュージシャンの中村佳穂の楽曲「そのいのち」(2018)にインスパイアされて12年ぶりに脚本を手掛けたもの。物語は介護ヘルパーとして働く山田里見と里見の雇い主である障がいを持った相馬花とその夫の和清の穏やかな日々と、あることをきっかけにその穏やかな関係が徐々に狂い始めていくさまを通じて「持つ者」と「持たざる者」の間にある埋めようのない「溝」を描くという。
相馬花役は佳山明と上甲にか。佳山は脳性まひの後遺症がありながら、上甲は筋ジストロフィーという難病と闘いながら女優として活躍。ともに車いすのハンディキャッパーなのだが、8月29日に行われた制作発表会見で宮沢は「自由に体が動いている人の心が不自由かもしれないし、体が不自由でも心はとても自由で、健やかに生きようとする人がいたり。健常者と障がい者を区別することって何なのかなという疑問がさっきわいてきた。そういう意味でもお二人と作品を作るということは私にとって大きな経験になると思う」などと語った。
東京公演後は11月22〜24日に兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール、11月28日には宮城県の東京エレクトロンホール宮城でも上演される。