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太宰治作品をモチーフにした演劇公演第15回 日本のラジオ『カケコミウッタエ』

2019.05.24 Vol.718

 三鷹市芸術文化センターの「MITAKA “Next” Selection」に並ぶ名物企画である「太宰治作品をモチーフにした演劇公演」。今回は「日本のラジオ」が太宰の『駈込み訴え』をモチーフとした作品を上演する。

「日本のラジオ」は作・演出の屋代秀樹の描く猟奇事件やオカルトをモチーフとした会話劇に定評があり、その鋭いセリフとオリジナリティー、そして緊張感のある演出で今、注目を集める劇団だ。

 原作は昭和15年に発表された、全編にわたり一人称独白体で書かれた短編小説。ユダを主人公とした視点となっており、イエス・キリストへの愛憎が渦巻き、激しく揺れるユダの心情をよどみない筆致で描いた傑作。

 今回は舞台を現代に置き換え、群像劇に仕立て上げる。物語では代表の死をきっかけに結束を深めるある団体の中で、その状況に納得のいかない主人公の鬱々とした心情や周囲の人々との人間模様が描かれる。物語を通して「宗教」や「組織」にまつわる問題も浮かび上がってくるという。

もがいた男の生きざまを描く LiveUpCapsules『軽佻浮薄な謀反を起こせ』

2019.05.20 Vol.718

 LiveUpCapsules は2002年の旗揚げ以来、全公演で多面舞台(多面客席)の舞台作りを継続して行っている。これは舞台と客席との垣根を取り払い、同じ空間にいる意識を共有することで観客の心を動かし、物語をうねらせ、劇場全体を巻き込んだ異空間を作り出すことを目的としたもの。

 確かに通常の劇場の作り、いわゆる舞台がありその正面に客席があるといった環境での観劇に慣れている者にとっては多面舞台の公演は劇場に入った段階から緊張感とワクワク感が増幅。そこからすでに作品に取り込まれてしまっている人も多いのでは。

 作・演出を務める村田裕子は2010年からは日本の歴史を題材にし、今の日本に通じる問題を抉り出すような作品を作り続けている。彼女が今回選んだのは「映画」。

 敗戦の傷跡が癒えぬ日本で小津安二郎、溝口健二、黒澤明、木下恵介といった巨匠たちが腕を競う中で、自らを「日本軽佻派」と称し不治の病を抱えながら映画を撮っていた男がいた。戦後の日本の映画界に実在した映画監督とその代表作の撮影時の実話をもとに、生きることにも、その表現にももがいた男の生きざまを描く。

風煉ダンスが新作音楽野外劇。今度は福井県の棚田に舞台を設置

2019.05.17 Vol.718

 演劇集団「風煉ダンス」が福井県小名浜市で開催される「内外海田烏 海のステージ2019」で新作野外音楽劇を上演する。

 同イベントは若狭湾沿岸で暮らしてきた人々の「歴史」と「今」を引き受け「未来」を描こうという趣旨のもと、「ここが舞台だ。」をキャッチフレーズに田烏(たがらす)集落の棚田、路地、漁港、蔵、神社、旧小学校などをパフォーマンスの場として5月24日〜6月2日まで開催される。

 風煉ダンスは今回、若狭湾に面した小浜市田烏の絶景の棚田に舞台を設置。現地の人と高校生合わせて数十人も参加して野外音楽劇『魚人喜譚−さかなびときたん−』を上演する。

 物語の舞台は田烏の浜。そこにたどりついた旅役者の一座と土地の者とのさまざまな出来事を通じてこの世の「奇妙」と「人情」が織りなす不思議な物語が描かれるのだが、旅の一座の姿はまさに今回の彼らの姿?

 風煉ダンスの作品は叙情性とバカバカしさに満ちた荒唐無稽なストーリーを展開しながらも、現代社会に生きる者たちへの社会的な問いかけを内包する。

 見る者は笑いのそばにある苦しみや悲しみ、そして怒りに気づいたときに自分が現実と虚構の塀の上に立っていることに気づかされる。今喋っているのは劇中の出来事なのか、それともリアルな世界での出来事なのかと…。

 また彼らの作品は、野外劇では特に大掛かりなセットや巨大な人形といった壮大なスケールの美術も特徴。それゆえに制作費も多額になる。
 本作も当初は東京公演も予定したもののそういった資金的な問題から小浜公演のみになった。しかし小浜まで来られない人のためのDVD製作や、そもそもの舞台製作費、現地までの交通費や滞在費といった諸経費を賄うためにクラウドファンディングを立ち上げている( https://motion-gallery.net/projects/furendance-obama )。こちらも彼ららしいさまざまなリターンが用意されている。

喜安が今作で選んだテーマは「芸術家になること」ブルドッキングヘッドロック『芸術家入門の件』

2019.05.16 Vol.718

 ナイロン100℃の劇団員であり、脚本家としては映画『桐島、部活やめるってよ』で日本アカデミー賞の優秀脚本賞を受賞するなど多方面で活躍する喜安浩平。その喜安が主宰するブルドッキングヘッドロックが2000年の旗揚げから今回で30回目の本公演を迎える。昨今、ユニットという形の劇団運営が多い中、劇団員が21名という大所帯で、喜安を含め劇団員が外部での活動などで徐々に時間が取れなくなるなか旗揚げ以来ほぼ毎年、作品を発表し続けるのは並大抵の努力ではできない。

 喜安が今作で選んだテーマは「芸術家になること」。

 主人公は創作に迷う鳴かず飛ばずの60代の芸術家。大金とわずかな名声に飛びつきうっかり新しい依頼を受けてしまうのだが製作は一向に進まない。そんな時、街で「芸術家入門」の看板を発見し、ここでもうっかり足を踏み入れてしまうのだが…。

 資格でも称号でもない「芸術家」という肩書の意味を、自ら「芸術家志望」という喜安がブルドッキングヘッドロック流のおかしみをもって問い直す。

3年前から毎月開催。完売必至の名物イベント「根本宗子の面談室 VOL.37」

2019.05.15 Vol.718

 月刊「根本宗子」の主宰を務める根本宗子は劇作家で演出家、そして女優であり、ちょっと前まではラジオパーソナリティーを務めるなどさまざまな顔を持つ。

 そんな根本が2016年5月から毎月欠かさず新宿・歌舞伎町のロフトプラスワンで開催しているのがトークライブ「根本宗子の面談室」。5月31日の開催で丸3年、回数も37回を数えることになった。

 この「根本宗子の面談室」は根本宗子が「今、一番話したい人」をゲストに迎えてトークを繰り広げるイベント。

 第1回の生ハムと焼うどんに始まり、これまでメジャーだろうがインディーズだろうが、男だろうが女だろうが、人数も1人だろうが大人数だろうが、細かいことは一切考えずに、根本はひたすら話したい人と思う存分話してきた。

 面談するつもりが、されてしまったこともしばしば…。公の場ではなかなか見せない顔が見られることもちょいちょいあって、根本ファンにはたまらないイベントになっている。

 根本は普段は主に「インタビューされる側」の存在なのだが、数少ない「話を聞く側」に回ることのできる時間とあって、ここぞとばかりに繰り出す鋭いツッコミに言ってはいけないことを思わずポロリしてしまうゲストも多いことから基本的には「ノーツイート、ノーSNSのココダケノハナシ」というルールで開催されている。

 もっとも本人のポロリが一番ヤバいという説もあるのだが…。

 今回のゲストは放送作家の寺坂直毅氏。人気ラジオ番組の構成作家で、紅白歌合戦や徹子の部屋の知識も豊富で、とさまざまな引き出しを持つ寺坂氏とはどんなトークが繰り広げられるのか…。

 チケットは残りわずか。当日券も出る予定とのこと。

松たか子「怪しいものや信用ならないものを面白がる人がいて伝統になった」

2019.05.10 Vol.Web Original



 東京2020オリンピック・パラリンピックの公認文化オリンピアード「東京キャラバン」の記者懇親会が10日、都内にて行われ、総監修を務める演出家の野田秀樹と、過去開催に参加した女優の松たか子が登壇。過去開催の映像を交えて見どころや意義を語り、今後の展望について語った。

「東京キャラバン」は東京都および公益財団法人東京都歴史文化財団が2020年に向けて、芸術文化都市東京の魅力を伝える取り組み「Tokyo Tokyo FESTIVAL」の主要プログラムとして行われている文化プロジェクト。各地をめぐり、多種多様なアーティストが違いを超えて文化“混流”を繰り広げる。女優の黒木華やタップダンサーの熊谷和徳、チャラン・ポ・ランタンら著名なアーティストや文化人も数多く参加している。2015年にスタートし2017年度から東京2020オリンピック・パラリンピックの公認文化オリンピアードのひとつとなっている。

関連作品も上演 第3弾改訂版『埒もなく汚れなく』

2019.05.01 Vol.717

 オフィスコットーネでは2009年に不慮の事故により48歳の若さで亡くなった劇作家・大竹野正典さんの作品を多く上演してきた。

 この『埒もなく汚れなく』は劇作家で演出家の瀬戸山美咲が大竹野さんの人生を描いた作品で2016年の読売演劇大賞上半期の作品賞、演出家賞、男優賞にノミネートされた。今回はその作品を大幅に改訂して上演する。

 物語の中では大竹野さんの作品の中でも最高傑作とされる最後の作品『山の声』に至るまでの大竹野さんの軌跡を追いながら演劇に憑かれた劇作家・大竹野正典と山に憑かれた登山家・加藤文太郎の重なる生きざまを描くのだが、今回はその『山の声』も5月17〜19日に下北沢のGEKI地下リバティで上演する。こちらは2009年の初演時の大竹野さんの演出で戎屋海老と村尾オサムというオリジナルキャストでの上演となる。

 2作品合わせて見ると大竹野さんの世界により深く没頭できそう。また『埒もなく−』では11、13、14、17日19時の回に、『山の声』では18日18時の回にアフタートークが用意されている。

【日時】5月9日(木)〜19日(日)(開演は平日19時、土14時/18時、日14時。※14日(火)は14時の回あり。開場は開演30分前。当日券は開演45分前)
【会場】シアター711(下北沢)
【料金】全席指定 お得チケット 前売・当日4000円(10日夜と14日昼のみ)、一般 前売・当日4500円/「山の声」との2作品通し券 前売のみ7300円(コットーネのみ取り扱い。5月7日までの予約に限る)、シードチケット(25歳以下)前売・当日とも3000円(枚数限定あり。コットーネのみ取り扱い。受付にて年齢確認あり)
【問い合わせ】オフィス コットーネ
(TEL:070-6663-1030[HP] http://www5d.biglobe.ne.jp/~cottone/ )
【作・演出】瀬戸山美咲【プロデューサー】綿貫 凜
【出演】西尾友樹(劇団チョコレートケーキ)、占部房子、柿丸美智恵、緒方晋(The Stone Age)、福本伸一(ラッパ屋)、橋爪未萠里(劇団赤鬼)、照井健仁

菅田将暉「絶対的なカリギュラを作り上げたい」!『カリギュラ』に挑戦

2019.04.14 Vol.Web Original



 菅田将暉が舞台『カリギュラ』に挑戦する。13日、ホリプロが発表したもので、演出は栗山民也。菅田は「絶対的なカリギュラを作り上げたい」と意気込んでいる。

 アルベール・カミュ自身が“不条理三部作”と位置づける傑作戯曲のひとつで、暴君として知られるローマ帝国第3代皇帝カリギュラを題材にした作品。非の打ちどころがなかった皇帝カリギュラは、愛し合った妹が急死した日に姿を消すが、宮殿に戻ってくると、何らかの財産を持つものを区別なく殺し、その財産を没収するという宣言を出し、残虐非道な行為を繰り返すようになって……。

 菅田は上演決定に際して以下のようにコメントを寄せている。

「あの『カリギュラ』に手を出すということで震えています。もちろん良い意味で。どこまで何が出来るかはわかりませんが、身も心もさらけ出し、少しコントロールして、絶対的なカリギュラを作り上げたいなと思います。自分なりの、一つ生き様を。宜しくお願いします」

 11月から新国立劇場ほかで上演。

フルキャストオーディション第1弾 新国立劇場演劇『かもめ』

2019.04.08 Vol.717

 昨年9月から新国立劇場の芸術監督を務める小川絵梨子は就任にあたり「幅広い観客層に演劇をお届けすること」「演劇システムの実験と開拓」「横の繋がり」という3つの柱を打ち出した。

 その2つ目の「演劇システムの実験と開拓」の目玉として行われるのが、毎シーズンに1本、フルキャストオーディションによる演目を上演するというもの。今回の『かもめ』はその第1弾となる。

 オーディションにはのべ3396人の応募が寄せられ、内訳は年齢は18歳から70歳超、戸籍上の性別も不問ということでトランスジェンダーの人も参加と多様性あふれるものとなった。

 演出を務める鈴木裕美らによるオーディションは6週間にも及び、13人の俳優が選ばれた。オーディションにあたっては、その俳優が出演することによって得られる経済的効果といったものは考慮しなくても良かったことから、純粋にこの作品を作るうえで必要で適任とされた俳優たちが残る形となった。

 小川の新翻訳での上演ということもあり、過去にない『かもめ』が見られそうな予感。

 18日13時の回の終演後には鈴木裕美、朝海ひかる、岡本あずさ、須賀貴匡、渡邊りょうによるシアタートークが開催される。

【日時】4月11日(木)〜29日(月・祝)(開演は日〜木13時、金18時30分、土13時/18時。※11日(木)は18時30分開演。27日(土)は18時30分の回のみ。火曜休演。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前)
【会場】新国立劇場 小劇場(初台)
【料金】A席6480円、B席3240円、Z席(当日)1620円
【問い合わせ】新国立劇場ボックスオフィス
(TEL:03-5352-9999[HP] https://www.nntt.jac.go.jp/ )
【作】アントン・チェーホフ
【英語台本】トム・ストッパード
【翻訳】小川絵梨子
【演出】鈴木裕美
【出演】朝海ひかる、天宮 良、伊勢佳世、伊東沙保、岡本あずさ、佐藤正宏、須賀貴匡、高田賢一、俵木藤汰、中島愛子、松井ショウキ、山﨑秀樹、渡邊りょう

薮宏太、ミュージカル『ハル』で平成の大きな1ページ飾る!

2019.04.01 Vol.Web Original



 薮宏太(Hey! Say! JUMP)が主演する、ミュージカル『ハル』が1日、TBS 赤坂 ACTシアターで開幕した。

 同日、初日公演前にプレスコールが行われ、藪、北乃きい、七五三掛龍也(Travis Japan/ジャニーズ Jr.)、安蘭けいが取材に対応。

 薮は「(平成は)残り1カ月。すべり込みじゃないですけど、平成ってこういうことがあったなっていう、みなさんの大きい1ページのひとつとして、この『ハル』を届けたい」と、意気込みを語った。

 七五三掛は「薮君と一緒にやることに感動しています」とコメント。また稽古をする中で、藪に新しい発見はなかったかと聞かれると「おしりを触られる」とびっくり発言。薮が大慌てで「言い方を考えようね。挨拶程度でしょ、ぽよっと! スキンシップ! 親しみを込めて」と畳みかけると、七五三掛は「僕はそれを受けて、すごいうれしいなと思いました。先輩から愛をもらってるなって」。

成河、最新舞台は「目には見えないけれど、三つ巴の合戦」

2019.03.31 Vol.Web Original



 成河らによる舞台『BLUE/ORANGE』が、青山DDDシアターで上演中だ。

 ロンドンの精神病院での24時間を描く舞台。1人の患者と、研修医とその上司である医師の3人の会話劇で、退院させるのは危険だとする研修医と、それに阪大する上司。納得のいかない研修医は患者への査定を続け、器に盛られたオレンジの色を問うと、 彼は「ブルー」と答え……。

 同作は2019年に初演され成河が第18回読売演劇大賞優秀男優賞を受賞した作品。今回は配役を変えての再演だ。

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