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川島永嗣『準備する力』

2011.10.31 Vol.529
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 著者は現在、ベルギーのチームで活躍し、日本代表のゴールキーパーである川島永嗣。サッカーをあまり見ない人でも、鬼の形相の日本代表の守護神と言えば分かるだろう。この本は副題に「夢を実現する逆算のマネジメント」とあるように、サッカー選手である彼のこれまでの人生を振り返り、どう考えて目の前の道を選択してきたか、またこれからの人生をどうマネジメントしていくかが書かれている。

 ゴールキーパーはサッカーの中でも唯一手を使っていい特殊なポジションだ。プロローグの中で著者は言う。「フィールドの後ろからチーム、そして試合全体を見るように、自分自身のこともそうやって客観的に、時に主観的に見つめてきた」と。そこには、アスリートとして、勝ち負けにこだわり、闘志をむき出しに戦う姿とは正反対の緻密な自己マネジメント力があった。40歳まで現役を続けるための、肉体や精神の鍛え方、さらにその先の人生のビジョンから逆算して、今何をしなければならないのか。常に具体的な目標を描き、それに向かってひたすらに努力する。著者の人生哲学は、アスリートだけではなく、すべての職業の人のヒントになる言葉が詰まっている。

川島永嗣『準備する力』 【発行】角川書店 【本体】1300円(税別)


メインから穴場までリトル韓国のすべてがここに!

2011.05.30 Vol.511

 日本のリトル韓国、新大久保を網羅したガイドブックが発売された。「プチ韓国 新大久保完全ブック」は、メジャーから”通”しか知らない穴場スポットまで、新大久保の最新情報が満載。韓流スター御用達の店、本格グルメ、韓流美容が体験できるエステ、イケメン店員のいる店など定番情報からディープな裏情報まで盛りだくさん。『美男(イケメン)ですね』のチャン・グンソク、超新星など日本でも大人気の韓流スターたちの作品カタログも付いている。これ一冊で新大久保がもっと楽しめる「新大久保完全ガイド」の決定版!

 

石井光太『飢餓浄土』

2011.03.28 Vol.503
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 2005年に大宅壮一ノンフィクション賞候補作となった『物乞う仏陀』を発表した石井光太は、現在もっとも注目を集めるノンフィクション作家といってもさしつかえないだろう。

 著者は世界中を旅し、現場に足を踏み入れ、そこに溶け込み、現代日本のぬるま湯に浸かりきった我々には想像もつかない世界を突きつける。

 今回彼が描くのは戦地や密林で生きる人々と幻のかかわりについて。フィリピンの密林に現れる人食い日本兵の亡霊、ある日突然、「私が産んだ」と言って乳飲み子を抱き始めたオカマの話など、現実と幻を行ったり来たりするうちに自らの足元がグラグラと揺らぎ始めていることに気がつく。

 感心することもあれば、不快に感じる出来事もある。すべてをひっくるめて、読まずにはいられない。中毒になる一冊。

著者:石井光太 出版:河出書房新社 定価:1680円


川口葉子『東京の喫茶店 琥珀色のしずく77滴』

2011.03.28 Vol.503
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「喫茶店とカフェの違いは何ですか?−そんな疑問を持つすべての人へ−」と帯にあるように、同書は東京の喫茶店案内だ。カフェともチェーン店のコーヒーショップとも違う喫茶店。オーナーではなく、マスターがいれる一杯のコーヒーに、お店のすべてが詰まっているような、そんな心安らぐ空間だ。ぬくもりのある写真からは、そんな喫茶店の空気感が伝わってくる。

 第5章の「神田神保町 古本街の喫茶店」では、神保町界隈で14軒の店を紹介。ぶらぶらと古本屋をのぞきながら見つけたお気に入りの一冊を持って入りたくなる店ばかり。同書の中で著者は言う。「喫茶店なんてただ愛すればいいんです」。喫茶店に行って、一杯のコーヒーとお気に入りの本で、心落ち着く時間を過ごしたくなる。

著者:川口葉子 出版:実業之日本社 定価:1680円


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