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『10年かかって地味ごはん。』10万部突破記念!和田明日香が感謝を込めて読者30名とオンライン飲み会開催

2021.06.21 Vol.742

 料理家で食育インストラクターの和田明日香が今年4月に出版した書籍『10年かかって地味ごはん。』(主婦の友社)が、発売から1カ月で累計発行部数10万部を突破するベストセラーとなったことが分かった。

 料理愛好家の平野レミの次男と結婚するまでは料理歴ゼロで、「キャベツとレタスは同じ葉っぱだと思っていたほど料理音痴だった」という和田。結婚後に毎日の食事を作り始め、現在では家族5人分の夕飯4品を、早炊きモードでお米が炊けるまでの36分間で作ることが可能なのだとか。そんな和田が迷わずおいしい料理を作れるようになるまでの長い道のりを思い出し、家族のために作り続けたレシピを「遊びに来た友達に話す感覚で書いた」のが本書。

「10年料理をし続けて、辿り着いたのは、名もなき地味なごはんばかり」という、茶色っぽい色合いの一見地味な料理たち。家族の歴史が詰まった懐かしくもしみじみおいしそうなレシピは、発売前に2度の重版が決定するなど料理好きから初心者までハートをわしづかみし、その後も順調に売れ続けた。

「明日香風の定番料理」「毎日開店! 居酒屋 和田屋」「家族が大好きな野菜料理」「和田家のキッチンへようこそ」の4章立てで、家庭料理からおつまみ、よく使う調味料やストック食材まで網羅。レシピ名も「たどり着いた肉じゃが」「わたしの都合の油淋鶏」「デジコギ?って言うの?」「今ちょうどいいおひたし」と親しみやすく、玉ねぎを炒める工程は「お肉やじゃがいもにとろとろ玉ねぎが絡む姿を想像しながら根気よく。」など、語りかけるようなやさしい文章もポイント。

 同書の10万部突破を記念し、30日まで「#地味なのは和田さんのせい」SNS投稿キャンペーンを開催。応募者の中から抽選で30名を著者の和田と過ごす〈一夜限りでオープン! オンライン居酒屋「和田家」で暑さを取っ払おう!〉へ招待、さらに応募者全員に書籍に未掲載の“地味ごはんレシピ”1品分のPDFがプレゼントされる。イベントの様子は後日YouTube「主婦の友チャンネル」にて公開予定。

“海の宝石”タカラガイの魅力に迫る決定版!『日本と世界のタカラガイ』

2021.06.17 Vol.742

 丸みのある形と光沢が特長で、その美しさや多彩さから「海の宝石」とも呼ばれるタカラガイ。海水浴場のお土産屋さんで、貝殻や笛、アクセサリーに加工されたタカラガイを見たことがある人も多いだろう。

 本書は亜種を含め日本近海で見られる91種と、世界の海で見られる165種の合計256種のタカラガイを収録した専門図鑑。さらにコレクション魂をくすぐるニューカレドニア黒化型・嘴型7種、近縁の7種の標本写真と解説も掲載した。識別ポイントや生息域、和名の由来、収蔵の経緯を記した解説も読み応えたっぷり。最新のデジタル技術を駆使してタカラガイの光沢、紋様、造形を表現した写真で、初心者からコレクターまでタカラガイの世界を堪能できる。

懐かしくて新しい!原田治さん「オサムグッズ」200点を収録した作品集『オサムグッズスタイル』復刊

2021.06.04 Vol.Web Original

 2005年に発行された伝説のイラストレーター原田治さんの作品集が、『オサムグッズスタイル(増補改訂版)』(パイ インターナショナル)として14日に復刊することが分かった。

チェッカーズに狂気し、『マイバ』に一喜一憂…70年生まれ女性限定カルチャー誌『昭和45年女・1970年女』創刊

2021.05.29 Vol.Web Original

 クレタパブリッシングより年齢限定マガジン『昭和45年女・1970年女』vol.1が31日に発売される。

萩尾望都の痛みと失われた大泉時代『一度きりの大泉の話』【TOKYO HEADLINEの本棚】

2021.05.14 Vol.741

『ポーの一族』『トーマの心臓』『11人いる!』などの作品で知られる漫画家の萩尾望都。本書はこれまで封印してきた“大泉時代”と呼ばれるデビュー当時の話を、約12万字にわたって書き下ろした最初で最後のエッセイである。

 当時、萩尾らが暮らした練馬区南大泉の半長屋には、数々の女性漫画家や周辺人物が集い、親交を深めていたという。時系列で真摯に語られる家族関係、漫画への情熱、名だたる漫画家や編集者たち……そしてある“事件”が起きたことで萩尾は大泉をあとにし、二度と過去には触れなくなる。同時代に活躍した漫画家たちとの交流、文通したりアシスタントしたりしながら売れっ子になっていくエピソードは、少女漫画好きならば誰もが興奮することだろう。

 それだけに「『小鳥』の巣を描く」以降の話には胸が痛む。前書きに「私の出会った方との交友が失われた、人間関係失敗談」とあるが、誰しも経験のある青春時代の傷が瞬間冷却されているようで辛いのだ。収録の未発表スケッチや『ハワードさんの新聞広告』も必見。

世に出るかもしれなかった“幻の”ファミコンゲームに思いを馳せる『ファミコン発売中止ゲーム図鑑』

2021.04.20 Vol.740

 昭和レトロブームが叫ばれて久しい昨今、新たな懐かし本が誕生した。本書はゲーム雑誌の新作情報や発売予定リスト、広告などで発表され、その後さまざまな事情から発売されなかった“幻の”ファミコンゲームを紹介するガイドブックだ。

 第1章では雑誌や広告でタイトルやビジュアルが発表されたにもかかわらず、いわゆるお蔵入りとなってしまった発売中止ゲーム151タイトルを特集。第2章では無事に発売されたものの、事前情報と製品版で内容が異なるゲーム167タイトルが網羅されている。「図鑑」の名の通り過去の雑誌や広告を交え、イメージビジュアルやサンプル画面などの資料とともに、世に出なかったタイトルへの考察をまとめている。

 1985〜1994年当時の膨大な資料から発掘された“あるようでなかった”ソフトたちは、よくこんな資料を見つけたものだという驚きと、こんなソフトもあった(かもしれない)というノスタルジーに満ちている。章の後半はファミコンの趨勢にも言及され、コンピュータゲームの歴史書としても興味深い。

映画『すばらしき世界』のベースとなった実録小説『身分帳』

2021.03.19 Vol.739

 これまでオリジナル脚本にこだわって作品を発表してきた西川美和監督が、初めて原作ものに挑戦したことで話題の映画『すばらしき世界』。その原案となった本書は、直木賞作家の佐木隆三が実在の人物をモデルにしたノンフィクション小説である。

「身分帳」とは正式には「被収容者身分帳簿」といい、刑務所に収容された受刑者の入所態度や経歴、行動、家族関係などを詳細に記載した書類のことだ。主人公である山川一のような十犯六入、つまり前科10犯、入所回数6回のベテラン受刑者となると厚さは1mにも及ぶのだという。本書は人生の大半を刑務所で過ごし、13年ぶりに塀の外の世界に出た男の再出発を描いた物語だ。

 作品に惚れ込んだ西川は山川のモデルとなった人物に迫るべく、3年にわたるリサーチの末に舞台を現代に置き換えて脚本を執筆。長らく絶版だった本書も映画化に合わせて復刊した。後日譚の「行路病死人」や復刊にあたって西川が寄せた文章も収録され、映画と共に人生を考えさせられる一冊だ。

漫☆画太郎が絵本作家デビュー!笑本『ももたろう』制作秘話

2021.02.22 Vol.738

 ギャグマンガ界の鬼才が「ガタロー☆マン」として描いた『笑本(えほん)おかしばなし1 ももたろう』(誠文堂新光社)がヒットしている。同社で背景を聞いた。

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写真家「岩根愛」写真誌『Decades』創刊 10人の写真家が「時間」テーマに競作

2021.02.20 Vol.738

 第44回木村伊兵衛写真賞受賞の写真家・岩根愛が、新たな写真雑誌『Decades』(赤々舎)を創刊。コロナ禍で“時間に対する感覚の変容”を感じた岩根が石内都、アントワーヌ・ダガタ、駱丹、ERIC、キム・ジンヒ、沈昭良、石川竜一、ベク・スンウ、マンデラ・ハドソンら10人の写真家に呼びかけ。2020年と2000年、それぞれの時間を凝縮した写真とエッセイを収めた。表紙は全10種(内容は同一)、日英バイリンガル。

海外での生活ぶりから見える人間「中谷美紀」 文庫『オーストリア滞在記』

2021.02.18 Vol.738

 俳優・中谷美紀といえば、多少芸能界に疎い人間でも何らかの作品には触れているような存在だが、その私生活は謎に包まれている(ような気がする)。本書は2018年にヴィオラ奏者のティロ・フェヒナーとの結婚を発表し、生活拠点をオーストリアに移すことを発表した中谷が、オーストリアでの私生活をありのままに綴った一冊だ。

 昨年の5月1日から始まり7月24日に帰国するまでを書き下ろした滞在日記には、映画祭や記者会見などで流暢な英語やフランス語を披露する中谷がドイツ語と格闘し、コロナ禍でできた時間に庭仕事に励み、夫と元パートナーの間にもうけた娘との交流まで率直に明かしている。料理や買い物、掃除などといった日々の雑事を当たり前にこなす姿など、意外なほど地に足の着いた生活ぶりを見せる。

『インド旅行記』シリーズなど、文筆家としても活動する中谷の久々の新刊。華やかな容姿や変幻自在な演技の裏に潜む人間「中谷美紀」が面白い。

今すぐ読みたい話題の本 文学界のニューウェーブ「推し」VS「マッチングアプリ」

2021.02.14 Vol.738

 第164回芥川龍之介賞(2020年下半期)が発表された。ロックバンド「クリープハイブ」のボーカル・尾崎世界観のノミネートでも注目を集めたが、受賞作は宇佐美りんの『推し、燃ゆ』(河出書房新社)に決定した。

 99年生まれの現役大学生の宇佐美。第33回三島由紀夫賞を受賞したデビュー作『かか』に続く2作目で初ノミネート、さらに綿谷りさ、金原ひとみに次ぐ史上3番目の若さでの受賞として話題となった。受賞会見では若さについても質問が上がり、「自分としてもまさか21でというか、自分の予定よりも早かった」と素直な感想を述べている。

『推し、燃ゆ』は、学校生活も家族関係もままならない高校生のあかりが主人公。唯一の生きがい(=「推し」)は、アイドルグループ「まざま座」のメンバー・上野真幸だったが、ある日「推し」がファンを殴って炎上したというニュースが飛び込んできて……というもの。受賞後9日間で単行本の累計発行部数は20万部を突破。コロナ禍以前から厳しいといわれる出版業界、特に文学界にとっては久しぶりの明るいトピックといえるだろう。

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