小松台東の作品は、作・演出を務める松本哲也が自身の出身地である宮崎県を舞台に、日常の何気ない出来事を何気なくそのままに、派手さも奇抜さも特になくあくまでシンプルに宮崎弁で送る。
本作は女手一つで兄妹を育てあげた母親の通夜の夜を舞台としたもの。母に反抗し続けていた妹が東京から帰ってくるのだが、この妹は母の闘病中に一度も見舞いに来なかった。怒りを抑えきれない兄。それを見越してか、妹は東京から恋人を同伴させる。歓迎する者、あきれる者とさまざまな反応が入り交じる中、斎場の片隅にある親族控室で、母への想いを巡り家族が激しく、そして醜くぶつかり合うのだった。
本作は2014年に「僕たちが好きだった川村紗也」というユニットに書き下ろした作品。再演を希望する声が多く寄せられたことから今回、劇団公演として再演することとなった。
外部への書き下ろしということで、やや“行儀の良い”作品になっていたものに荒々しさとか生々しい部分もプラス。見終わった後に懐かしく、優しい気持ちになりながらも“座りの悪さ”のようなものを感じる作品になるという。