デビュー30周年!!を迎えたロックバンド、エレファントカシマシがキャリア史上初となるオールタイムベストアルバムをリリース。代表曲のひとつである『今宵の月のように』を筆頭に、デビューシングル『悲しみの果て』、毎年毎年桜ソングと呼ばれる楽曲が生まれていたタイミングで発表し世の中をピリッとさせた『桜の花、舞い上がる道を』、コンサートの定番『ファイティングマン』も収録。30周年に合わせて収録曲は30曲。そして価格は3000円という、ちょっとオドロキのベスト盤なのだ。
カルチャーカテゴリーの記事一覧
スゴイ“パイセン”たち『半世紀 No.5』ユニコーン
メンバーも年を重ねて続々と50代に突入。ユニコーンは、メンバーの50歳を記念してライブイベント「50祭」を行ってきた。本作は、それぞれのイベントのテーマ曲として書き下ろされたオリジナル曲2曲ずつ5人分全10曲をまとめたもの。ラップから浮遊感漂うスペースオペラ的なタイトル曲、手拍子とセミの鳴き声で歌う「川西五〇数え唄」、「新・甘えん坊将軍?21st Century Schizoid Man?」、「私はオジさんになった」など、それぞれの生きざまや今の姿をイメージしつつも、今の社会を切り取ったものなんじゃないかとも思わせられる。それがユニコーンらしい。
スゴイ“パイセン”たち『MAKE IT BE R. STEVIE MOORE 』JASON FALKNER
米有力紙が「ローファイレジェンド」と称する米シンガーソングライターのR・スティヴィー・ムーアと、ジェリーフィッシュで活躍したジェイソン・フォークナーによるコラボレーションアルバム。70年代から自宅録音で制作して作品を世界に向けて発表し続けてきたムーアに、バンドそしてソロとしてポップ/ロックを鳴らしてきたフォークナーのタッグは、テクノロジーに代表される分かりやすい最先端を蹴散らして、音楽が本来持っている“ステキさ”を味わわせてくれる。温もりの伝わる作品。だけど、アルバムは『I H8 Ppl』のタイトルを連呼する曲から始まる。
スゴイ“パイセン”たち『まばたき』YUKI
ソロデビューから15周年のアニバーサリーイヤーを迎えているYUKIが放つ最新作。YUKIと豪華な作家陣たちが手を取って作り上げた楽曲が描き出す世界はキラキラとまぶしい。とはいえ“まばたき”さえ許されないような大切な瞬間や感情が切り取られていて、作品を聞くほど胸がきゅっと締め付けられる。全速力で駆け抜けていくようなアップテンポな『さよならバイスタンダー』、月まで届きそうな伸びやかな歌声が印象的な『tonight』など全13曲を収録した本作は“私たちが好きなYUKI”のすべてが余すところなく反映されたアルバムになっているといっても過言ではなさそう。歌声、メロディーラインに加えて、ギターやホーンセクションなど楽曲のアレンジ面にも心奪われるポイントが多数あって聞きいってしまう。キュートさ、セクシーさ、そしてちょっとしたダークさ。そういった要素がぎゅっとまとめられてさく裂しているアルバムの到着で、またしばらくYUKIに夢中になりそう。
巧みな脚本と物語の裏に隠されたテーマが実は結構ヘビー? ONEOR8『世界は嘘で出来ている』
本作は2014年に初演され、岸田戯曲賞、鶴屋南北戯曲賞にノミネートされた、田村孝裕にとっても代表作ともいえる作品。現代の日本でも大きな社会問題となっている「孤独死」を扱ったこともあり、観劇後に深く考えさせられる作品だった。
日常にある「嘘」をテーマに、バカ正直に生きてきた兄と嘘ばかりついてきた弟の40年に渡る人生を描く。
舞台は、とある1DKのアパート。ある男が孤独死をした。警察の現場検証、遺体の引き取りも終わり、2人の清掃人がやってきた。これから特殊清掃が行われるのだ。実は死んだのは清掃人のうちの一人、滝口の弟だった。遺品を整理しながら、滝口は弟の人生を思い返すのだった。
初演時のキャストがほぼ勢ぞろい。甲本雅裕が演じる兄の実直さと恩田隆一の演じる弟のどうしようもなさのコントラストが鮮やか。現代と過去を行ったり来たりする形で物語を進ませることで、2人の人生がなぜこんなにも違ったものになってしまったのかが丁寧に描かれる。そして「嘘」というフィルターを通して見ると、兄弟どちらに肩入れするかは人によって分かれそう。
巧みな脚本と物語の裏に隠されたテーマが実は結構ヘビー? MONO『ハテノウタ』
MONOの作品を一言で言うと、現実にはあり得ない非日常の設定の中で繰り広げられる、軽妙かつ絶妙な会話劇といったところか。
作・演出の土田英生の描く台詞とそのやり取りは、どのような設定においてもニヤリとさせられ、クセになる。そしてその作品を熟知したメンバーたちが具現化した舞台はMONO“ならでは”としか言いようのない、とても中毒性の高いものになっている。
今回はボーカリストの浦嶋りんこをゲストに呼ぶなど、これまでの会話劇に音楽劇の要素をプラスした新境地ともいえる作品。
ある薬の普及で100歳間近になっても若いままの人々がいた。服用の度合いによって老け方が違うため見た目はバラバラなのだが、みな同じ年というなんとも不可思議な風景。みんなは集まって歌い、そして懐かしい思い出話で盛り上がる。しかし未来のことを語る奴はいない。それはみな今年中に死ななければいけない運命にあるからだった…。
「死を前にした元気な人間」「元気なのに未来を考えられない」??この大いなる矛盾が生み出すシチュエーションはおかしいことはおかしいのだが、むしろほろっとさせられる。
作品中にちょっとした社会問題を潜ませるのが土田のやり方だけに、今回もいろいろ考えさせられそうな予感。
プロジェクションマッピングで忍者がバトル! 浅草で新エンタメショー
最新テクノロジーと日本の文化、さらにダンスやアクロバットなどを総動員したショーが12日まで浅草六区ゆめまち劇場で行われている。米人気オーディション番組『アメリカズ・ゴッド・タレント』で審査員たちを唸らせ、世界で活躍するエンターテインメント集団「SIRO-A」プロデュースの「That’s ZENtertainment!」で、言葉を使わない30分間のエンターテイメントショーだ。
言葉を使わないことで、訪日観光客をはじめに、あらゆる観客層にアピールする。仏具を使った音楽パフォーマンスやプロジェクションマッピングと殺陣が融合したバトル、漢字を使った影絵のショー、エンターテインメントの国境をパロディーで行き来してニヤリとさせる演目もある。またテクノロジーを利用して、オーディエンスがショーに参加するユニークな仕組みもあって、関心したり、笑ったり、30分はあっという間。ショーは、すべて写真撮影が可能で感動や驚きのシェアもしやすいのもポイントだ。
1回のショーは約30分間。1日6回公演で、11時~/13時/~15時/17時~/19時~/21時~(12日の21時の回はなし)。料金は1200円で、1ドリンク代が別途必要。詳細は公式サイト(http://www.siro-a.com/zentertainment/)で。
ノゾエ征爾作・演出『しなやか見渡す穴は森は雨』3月10日から上演開始
2008年から地域色豊かな作品を北九州から全国へ発信している北九州芸術劇場。
演劇界の第一線で活躍する劇作家・演出家が約1カ月間北九州に滞在し、オーディションで選出された北九州・福岡を中心に活躍する役者やスタッフと“北九州”をモチーフに作品を創作するというスタイルで多くの話題作を生み出してきた。
今回で9作目とすっかり演劇ファンはもとより、役者の間でも定着。はえぎわのノゾエ征爾が作・演出を担当することもあって、過去最多の113人がオーディションに応募した。
その北九州芸術劇場プロデュース『しなやか見渡す穴は森は雨』の東京公演が3月10日(金)から池袋のあうるすぽっとで始まる。
東京公演に先駆け、北九州芸術劇場で2月26日に幕を開けたのだが、ノゾエの「この出演者ならではの作品にしたい」という思いの通り、役者ひとりひとりが際立った作品に仕上がった。
なおノゾエは東京公演に向け「その町にまつわる物語や、滞在創作などは、ともすると、外国人が見たニッポンのようなものになりかねません。当初は、東京を舞台に、そこで暮らす人々、結果的にみんな北九州という同郷だったという設定で構想を進めていましたが、滞在しているうちに、どうも何かが心地悪くなってきました。もう北九州の町での話でいいではないか。と決断するも、部屋で書いては、稽古場に向かう道すがら、この町に跳ね返される。この町の生活者たちに響くようなものになっていない。ごちゃごちゃ感がたまらないこのエネルギッシュな町に拮抗する力。を見出したい。北九州が好きになればなるほど、その想いは強まります。好きな人には、誠実でいたい。それと似た感覚でしょうか。観劇して泣き笑いするこの町の人々を観て、どこかで少しは行き着けたのかなと感じております。これがまた東京ではどう響くのか。楽しみにしております」とコメントしている。
公演は池袋あうるすぽっとで12日まで。公演の詳細は北九州芸術劇場( http://www.kitakyushu-performingartscenter.or.jp/ )で。
ココロ揺らせ、カラダ揺らせ。『W FACE〜inside〜』 倖田來未
倖田來未の最新作は彼女の魅力を堪能できる作品群だ。歌謡曲のいいところを踏襲し彼女の歌声を堪能できるエモーショナルな作品『W FACE?inside?』と、アグレッシブなサウンドを詰め込んだ『W FACE?outside?』を同時にリリースすることで、両作品を聞くことで1人のアーティストの二面性を体感できるのだ。また、倖田はこれまでに数多くの作品を世に送り出している。それだけに、エモーショナルな面、ダンサブルな楽曲が好きなどファンのなかでも好みが明確に分かれている人も少なくない。好きそうなほうだけ聞いてからもう片方は考えるといった選択もできそう。
[J-POP ALBUM]rythm zone 3月8日(水)発売 それぞれ AL+DVD3500円、AL+BD4200円、AL2600円(すべて税別)
ココロ揺らせ、カラダ揺らせ。『Dirty Projectors』 Dirty Projectors
米ニューヨークはブルックリン出身の人気グループが待望の最新作をリリース。これまでにアルバム7作をリリースしながらも今作がセルフタイトル作というのは渾身の作品ということだろう。前作ツアーを経て、フロントマンのデイヴは失恋し心身ともに疲弊、変化せずにはいられなかった。ポール・マッカートニーや、カニエ・ウェスト、ソランジュら他アーティストとの協業もあって、グループに新しい風を吹き込んでいる。すでに高い評価を集めている先行シングル『Keep Your Name』を始め、全9曲を収録。既存の枠を超えたアルバムになっている。必聴の一枚。
[ROCK ALBUM]Domino / Hostess 3月3日(水)発売 2400円(税込)
少女たちの心に咲いた永遠のばら『デビュー50周年記念展池田理代子ー「ベルばら」とともにー』
不朽の名作「ベルサイユのばら」の魅力と半世紀にわたる華麗なる創作の軌跡をたどる展覧会『デビュー50周年記念展池田理代子ー「ベルばら」とともにー』が開催される。同展では、初期の社会派作品から「女帝エカテリーナ」などの歴史ロマン、音楽への思いあふれる「オルフェウスの窓」、そして40年ぶりの復活が話題を呼んだ「ベルばら」の新作「エピソード編」まで、初公開を含む貴重な原画や資料200点以上を展示。さらに展覧会限定のオフィシャルブックや紅茶専門店TEAPONDとのコラボ商品などオリジナルグッズも取りそろえる。