2013年、ヴェネチア国際映画祭審査員大賞を受賞しながらも映画祭で突然の引退を発表した、台湾映画界の巨匠、ツァイ・ミンリャン監督最新作にして引退作。現代の台北を舞台に、郊遊〈ピクニック〉のように漂流する父と子の姿を圧巻の映像力で紡ぐ、珠玉のヒューマンストーリー。『河』『愛情萬歳』に続く、ツァイ監督の最後の傑作が誕生した。
父と、まだ幼い息子と娘。3人は水道も電気も無い空き家で眠る。父は“人間看板”の仕事でわずかな金を稼ぎ、子供たちは試食を目当てにスーパーマーケットの食品売り場をうろつく。そんな貧しい暮らしでも、子供たちにとっては、まるで郊外に遊ぶピクニックのよう。しかし、どしゃ降りの雨の夜、父はある決意をする…。
金馬奨の最優秀主演男優賞を受賞した父役リー・カンションの寡黙にして饒舌な演技に、大きく心を揺さぶられる。映画史に残る驚異的な長回しのラストシーンにいたるまで、すべてのカットが放つ表現力に圧倒される。8月下旬、シアター・イメージフォーラム他全国順次公開。