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大沢たかお、カンヌ映画祭の「評価楽しみ」

2013.04.23 Vol.590

20130423a.jpg 映画『藁の楯 わらのたて』のレッドカーペットイベントと舞台挨拶が22日、都内にて行われ、俳優の大沢たかお、松嶋菜々子、藤原竜也、岸谷五朗、伊武雅刀、永山絢斗と、三池崇史監督が登壇した。


 同作は、10億円の懸賞金がかけられた凶悪な容疑者を、命がけで移送する任務を与えられたSPたちの葛藤を描くサスペンス。警護チームを大沢、松嶋、藤原、岸谷、伊武、永山が演じ、凶悪犯を藤原が演じる。


 主演の大沢は「経験したこともないようなスケール感の撮影だった」と撮影を振り返り、男性顔負けの能力を持つ女性SPを演じた松嶋について「もう男性にしか見えなかった。女性だから気を使わないとと思わせるものを一切見せず、みなさんと堂々と渡り合っていて素晴らしかった」と絶賛。松嶋は「男性に見えるように歩き方などを努力していたので(笑)」と照れ笑い。


 また、同作が5月15日から開幕となるカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出されたことも発表され、三池監督は「最もカンヌに遠いジャンルの作品だと思うので、選んだ方々は勇気があるというか、感謝しています」と驚きと喜びを語り、大沢も「世界の人に見てもらって、どう評価されるのか見届けたい」と意気込みを見せた。監督と大沢は同映画祭に参加する予定。


 映画は4月26日より新宿ピカデリーほかで全国公開。
 

電車の待ち時間に5分の”傑作映画”と出会う!WEBで広がるショートフィルム

2013.04.22 Vol.590

 PCやスマホ、タブレットで映像作品を楽しむスタイルが定着しつつあるいま、短時間で楽しめるショートフィルムに熱い注目が注がれている。なかでも、世界中のハイレベルなショートフィルムが無料で見ることができると、好評を博しているのが、web上の無料映画館『ネスレアミューズ オウチ映画館』だ。これは、毎年東京・原宿を中心に開催される、米国アカデミー賞公認、アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA)」を手がけるショートフィルムの総合ブランド「ShortShorts」と、エンターテインメントサイト・ネスレアミューズのコラボにより、今年4月からスタートした期間限定企画。“映画で旅する世界旅行”をテーマに世界12カ国のショートフィルム計48作品を順次公開中で、年内100本を無料上映する予定。すでに日本、ドイツ、カナダの作品が公開中で、22日からはスウェーデン、30日からは韓国と続く。作品時間は1分以上25分と、ちょっとした“スキマ時間”に楽しめる手ごろさながら、完成度の高さは世界レベルの作品ばかりだ。

 ショートフィルムは“見る”“見せる”だけでなく“つながる”メディアとしても可能性にあふれている。SSFF & ASIAで昨年から創設された「観光映像大賞」は、地域の魅力を伝える観光映像を募集するというユニークなコンペティションだ。全国各地に存在する観光映像(観光ビデオ、プロモーション映像など)を広く一般公募し(本年度は受付終了)、2013年5月末に行われるSSFF&ASIAにて、大賞受賞作品が発表される。サイトでは、エントリーや作品鑑賞のほか、SNSでの交流もできる。地元の“観光宣伝マン”になるもよし、映像で旅心を刺激するもよし。

 WEBで楽しさの幅が膨らむショートフィルムの魅力を再発見してみては。

MOVIE アイアンマン最後の戦い!? 前2作をしのぐ大バトル勃発!

2013.04.22 Vol.590

 名優ロバート・ダウニー・Jr.がアメコミヒーローに扮するという異色の組み合わせが話題を呼び、1作目・2作目ともに大ヒットを記録した人気シリーズの最新作が日本先行公開! 本作では『アベンジャーズ』の戦いの後、環境の変化により心身ともに追い詰められたアイアンマン=トニー・スタークが、シリーズ最大の危機に立ち向かうドラマが描かれる。

 最新作の見どころは、原作でも“アイアンマン最強の敵”と呼ばれるテロリスト・マンダリンとアイアンマンとの死闘。ヒーロー不要論が広まり自分の居場所を失いかけ、さらにマンダリンの襲撃ですべてを失ったアイアンマンが、絶体絶命の危機にどう立ち向かうのか。ドラマ性、スケールともに前2作をはるかにしのぐ作品に仕上がっている。また、新型スーツ〈マーク42〉や、数十体ものアイアンマン・スーツによる戦闘シーン、正体不明の軍人兵器アイアン・パトリオットなど、ガジェットにも注目を。

今週のオススメMOVIE

2013.04.22 Vol.590

『ジャッキー・コーガン』59024.jpg
殺し屋・ジャッキーのもとに賭博場強盗の黒幕を捕らえて自供させろという依頼が入る。ところが事件の真相は入り乱れ次々と容疑者が浮上し…。

監督:アンドリュー・ドミニク 出演:ブラッド・ピット他/1時間37分/プレシディオ配給/4月26日(金)よりTOHOシネマズみゆき座他にて公開 http://www.jackie-cogan.jp R15+
©2012 Cogans Film Holdings, LLC. All Rights Reserved.

『めめめのくらげ』59025.jpg
父を亡くし母と郊外の町へやってきた少年・正志。ある日くらげのような不思議な生き物と遭遇し仲良くなるが、他の子供たちもみな奇妙な生き物を連れていた。

監督:村上隆 出演:末岡拓人他/1時間40分/ギャガ配給/4月26日(金)よりTOHOシネマズ 六本木ヒルズ他にて公開 http://mememe.gaga.ne.jp/
©Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.

『藁の楯 わらのたて』59026.jpg
孫娘を惨殺された財界の大物・蜷川が容疑者・清丸国秀の殺害懸賞広告を出す。警視庁の敏腕SP・銘苅らが清丸護送の任務を受けるが…。

監督:三池崇史 出演:大沢たかお、松嶋菜々子他/2時間4分/ワーナー・ブラザース映画配給/4月26日(金)より新宿ピカデリー他にて公開 http://wwws.warnerbros.co.jp/waranotate/
©木内一裕/講談社 ©2013映画「藁の楯」製作委員会

『図書館戦争』59027.jpg
正化(せいか)31年。あらゆるメディアを取り締まる法律が施行された日本で読書の自由を守るため検閲に対抗すべく生まれた“図書隊”の戦いを描く。

監督:佐藤信介 出演:岡田准一、榮倉奈々他/2時間8分/東宝配給/4月27日より全国東宝系にて公開 http://www.toshokan-sensou-movie.com/
©Library Wars Movie Project

『ラストスタンド』59028.jpg
ロス市警を辞め、小さな街の保安官として暮らすオーウェンのもとに「逃走した凶悪犯の一味が街を通過するが手を出すな」という知らせが入る。オーウェンはわずかな仲間たちと立ち上がるが…。

監督:キム・ジウン 出演:アーノルド・シュワルツェネッガー他/1時間47分/松竹配給/4月27日より丸の内ピカデリー他にて公開 http://laststand.jp/ R15+
©2012 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

『死霊のはらわた』59029.jpg
山奥の小屋を訪れたミアたち5人の男女は禁断の「死者の書」を発見し、死霊を甦らせてしまう。死霊に憑依されたミアは仲間たちに襲い掛かかり、他の者たちも次々と異変に見舞われていく。

監督:フェデ・アルバレス 出演:ジェーン・レヴィ他/1時間31分/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント配給/5月3日(金)より新宿ピカデリー他にて公開 http://www.harawata.jp/ R18+

『インポッシブル』試写会に20組40名 

2013.04.22 Vol.590

 2004年、スマトラ島沖地震に遭遇し離れ離れになりながらも奇跡の再会を信じて生き抜いた人々の実話を、ナオミ・ワッツ、ユアン・マクレガーら豪華キャストを迎えて描いた話題作。

 2004年末。マリアとヘンリーの夫婦は3人の息子を連れ、タイのリゾート地へバカンスにやってきた。ところがクリスマスの翌日、未曾有の大災害が起き、巻き込まれたマリアたち一家は離れ離れになってしまう。想像もしなかった悲惨な状況の中、彼らは必ず再会できると信じ、それぞれの一歩を踏み出し始める…。

 困難な状況下でも助け合う心を忘れず、大けがを負いながら生き抜く母・マリアを演じた主演のナオミ・ワッツは、その演技が高く評価され、本年度アカデミー賞とゴールデン・グローブ賞主演女優賞にWノミネート。各方面から絶賛の声が飛んでいる注目作だ。

 6月14日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ他にて全国公開。※本作には津波の再現シーンがあります。


『インポッシブル』試写会に20組40名    

森山未來×星野源『聖☆おにいさん』声優として降臨!

2013.04.19 Vol.589

20130419b.jpg アニメーション映画『聖☆おにいさん』の完成披露舞台挨拶が18日、都内にて行われ、声優を務めた森山未來と星野源が登壇した。


 本作は、講談社発行コミック誌『モーニング・ツー』で連載中の大人気コミックのアニメ映画化。ダジャレやお笑いをこよなく愛し、新しいモノ好きな浪費家・イエスと、自分とお金に厳しく、シルクスクリーンでTシャツを作るのが大好きなブッダが、東京・立川のアパートをシェアし、下界の生活を楽しむというストーリー。アニメではイエスの声を森山未來、ブッダを星野源が演じる。


 実は、ともに本作が声優初挑戦だという2人。森山は「なぜ声優さんでなく役者である僕らなのか、ということを監督ともよくお話して、結果、声優でない僕らにできることをやろうという気持ちで挑みました」と語り、星野は「普段は役者としてお芝居をやっている者がアニメーションに声をあてるハードルの高さも感じていたけど、本当にずっとあこがれていた世界だったので、お引き受けしました」と、声優に挑戦できた喜びを語った。


 イベントでは、ブッダの趣味にちなみ、互いに相手をイメージして制作したシルクスクリーンTシャツをプレゼント。森山が星野に送ったTシャツには"腹痛"の文字。理由は「源ちゃんはおなかが弱いというのを聞いたことがあったのと、ブッダももともと胃腸が弱かったという説もあることから、愛を込めて」。星野が森山に送ったTシャツには"野宿"。その理由を「先日、一緒の取材の時に唐突に(森山が)"俺しばらく野宿してたんだ"って言い出して、なんで?と聞いても"なんとなく"とか言うから、すげーなって(笑)」と明かし、会場の笑いを誘った。


 アニメ映画『聖☆おにいさん』は5月10日より全国公開(東宝映像事業部配給)。
(c)中村 光・講談社/SYM製作委員会

福山雅治、最新主演作『そして父になる』カンヌ出品決定!

2013.04.19 Vol.589

20130419a.jpg 是枝裕和監督の最新作で、福山雅治が主演する映画『そして父になる』が、第66回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品されることが18日、発表された。


 同作は、6年間育てた息子が実は病院で取り違えられた他人の子だと分かった、ある2組の家族の物語。福山は本作で初の父親役に挑む。


 2004年の『誰も知らない』以来、9年ぶり3回目のコンペティション部門出品となる是枝監督は「生まれたばかりのこの映画がどんなふうにあの場所で受け止められるのか? カンヌを出発点にどこまで遠く世界を旅できるのか? 今は期待と不安と半々ですが、福山さんはじめ、スタッフキャストと一緒にその一歩目をきちんと見届けたい」とコメント。


 主演の福山は「情けないことに、自分という人間はキャパシティーを超えたことが起こると逆にピンとこないものなんだな、と妙な実感をしております(笑)」と、驚きと喜びの気持ちをユーモアたっぷりにコメント。また、映画祭のタイミングは連続ドラマの撮影中とのことだが「俳優人生においてこんな大舞台に行ける機会は二度とないかもしれない、という思いで何とか調整して晴れの舞台に立ってみたいです」と、カンヌ参加に意欲を見せている。


 第66回カンヌ国際映画祭は5月15日から26日まで開催。本年度の審査委員長にスティーヴン・スピルバーグが決定したことも注目を集めている。


『そして父になる』 
10月5日(土)新宿ピカデリー他全国ロードショー(ギャガ配給)
(C)2013『そして父になる』製作委員会  

ホンジャマカ・石塚&爆笑問題・田中がコンビ再結成

2013.04.18 Vol.589

20130418d.jpg この夏公開の映画『モンスターズ・ユニバーシティ』の声優発表イベントが17日、都内にて行われ、日本語吹替を務める石塚英彦(ホンジャマカ)と田中裕二(爆笑問題)が登場した。


 本作は、ディズニー/ピクサーの大ヒット映画『モンスターズ・インク』の人気キャラクター、マイクとサリーが初めて出会った、大学時代を描くファンタジーアドベンチャー。


『モンスターズ・インク』以来、実に11年ぶりとなる"コンビ復活"だが、田中は"続編"の公開を知ったものの事務所にオファーが来ていなかったために「不安になっていた...」と言い、一方の石塚も続編の存在を田中から知らされたといい、別の人が吹替えている予告編を見た田中から"もう僕たちはできないのかな?"と相談されたことを明かした。それだけに2人とも今回の声優決定に大喜びの様子だ。


 物語にちなんで大学時代の思い出を尋ねられると、田中は「大学は、相方(太田)に出会った場所。また、周りにおかしなヤツらがたくさんいる学校だったので、まさに『モンスターズ・ユニバーシティ』だった(笑)」。石塚は「教授の名前は忘れてちゃったけど、カレーとナポリタンが200円だったのは覚えている」と、石塚らしいエピソードで笑いを誘った。


 またこの日は、東京六大学応援団による"『モンスターズ・ユニバーシティ』スペシャルバージョン大ヒット祈願エール"が披露され、本格的な学生応援団の迫力満点のエールに「すごいテンションがあがった!」(田中)、「すごいね。応援に応えているだけで汗かいちゃった(笑)」(石塚)と2人とも大感激していた。


『モンスターズ・ユニバーシティ』は7月6日より全国公開。

“シュワルツェねッガー”が”安倍シンゾウ”にリーダーシップを伝授!

2013.04.17 Vol.589

20130417b.jpg 映画『ラストスタンド』の公開記念イベントが16日、都内にて行われ、人気の社会風刺コント集団ザ・ニュースペーパーが、アーノルド・シュワルツェネッガーと安倍内閣総理大臣に扮した"緊急超豪華会談"が行われた。


 本作は、アーノルド・シュワルツェネッガーの10年ぶりの主演復帰作で、シュワルツェネッガー扮する主人公の保安官・オーウェンズが仲間を率いて凶悪な犯罪グループから街を守るために立ち上がるという物語。


 福本ヒデ扮する安倍シンゾウ総理大臣が、支持率70%越えという現状について「実力以上の人気になってしまっているのが悩み」と打ち明けると、松下アキラ扮するアーノルド・シュワルツェねッガーが、真のリーダーシップに必要な3箇条"シュワノミクス"をレクチャーすることに。まず必要なのはヒーローの存在だ、というシュワルツェねッガーに、安倍シンゾウは「映画のキャッチコピーである"武器ナシ、応援ナシ"ってこれ、選挙だったら絶対に勝ち目ないですからね。参院選前に民主党の人たちもこの映画を見るべきですね!」とライバル政党に余裕のアドバイス。また「なんでも1人でやるんじゃなく、頼りない仲間たちにも思い切って頼ることも大事」というシュワルツェねッガーの指摘に「確かに、これまでのシュワ作品では全部自分で解決してそうでしたよね」と本作でのチームワークぶりに注目しつつ「石原伸晃さんにも役割はあるはずですよね!」と付け加え、記者たちも大笑い。


 最後に、シュワルツェネッガーにあこがれて体を鍛えているという松下アキラが上半身裸になり「日本を元気にするアーノル体操」なるボディービルディングを披露。本家に負けない筋肉で、報道陣をどよめかせていた。
『ラストスタンド』は4月27日より全国公開。

 

キャイ~ン・天野が女子サッカー・川澄に公開告白!?

2013.04.17 Vol.589

20130417a.jpg 昨年公開された映画『ホビット 思いがけない冒険』のブルーレイ&DVDリリース記念イベントが15日、都内にて行われ、キャイ~ンの天野ひろゆきと、女子サッカーの川澄奈穂美がペアルックを思わせるホビット風の衣装で登場した。


 本作はトールキンによる名作『ホビットの冒険』を原作とした3部作の第1作目で、大ヒットシリーズ『ロード・オブ・ザ・リング』の前日譚が描かれる冒険物語。


 身長が低く、平和と食べることが好きで、たいてい太っているという"ホビット"について天野は「俺のことだな(笑)」と苦笑し「事務所の発表では165センチとなっていますが、実際には162センチです」と身長を3センチほどさばを読んでいたことをカミングアウト。一方、太った男性について質問された川澄は「ガリガリよりポッチャリされている方が好きです」とまさかの好感触。すかさず天野が「続編は2 人で宣伝もかねて見に行ったら最高の展開なのでは」と言うと、川澄も「手をつないで行ったらすごい宣伝効果になりますよね!」とまんざらでもない様子。すっかりその気になった天野は「マンションも2つありますし、完済もしています!いつでもオレの胸に飛び込んでこい!」と公開告白。川澄は「マンション2つは魅力的ですね」と返事をかわしつつ「でも飛び込んで行ったら、それこそ私の"思いがけない"大冒険が始まるかも」と、本作の副題にかけたコメントを返していた。


『ホビット 思いがけない冒険』は4月17日にブルーレイ&DVDリリース。

「これからが勝負」役所広司が明かす被災地支援への思い

2013.04.15 Vol.589

20130415c.jpg 東日本大震災から2カ月後、宮城県南三陸町に"全員、素人"のラジオ局が誕生した。防災無線を失った地域の人々に向け、さまざまな情報を発信するべく期間限定で開局した災害ラジオ局・FMみなさんだ。そのスタッフ9人の奮闘と、彼らのラジオを通してつながる町の人々を追ったドキュメンタリー映画『ガレキとラジオ』が13日から公開される。俳優・役所広司が、ボランティアでナレーションに参加したことでも注目を集めた作品だ。


 完成した作品について役所は「自分たちも被災者でありながら町の人々のために、しかも笑顔で、情報を発信しようとするFMみなさんのスタッフたちの姿に、本当に胸を打たれました」と、語る。「自分のためではなく、人のために何かできることをしようと働く人の笑顔とは、こんなにも美しいものなんだな、と」。


 本作の監督は、CMのクリエイティブディレクターとして活躍する梅村太郎と、TV番組の構成作家である塚原一成。学生時代からの友人である2人が、震災後に現地に向かい、ラジオ局のスタッフたちと出会ったことから本作の企画がスタート。役所の参加について、梅村は「僕らは、本作のナレーションには役所さんしかいないと思いオファーしたんですが、役所さんは作品ができるかどうかまだ分からない段階から参加を表明してくださった。しかもボランティアでやっていただいたんです」と明かしている。


 ナレーションとして役所が紡ぐのは"街の人々を見守る者"の言葉。
「映像がとにかく良いので、ナレーションは潜ることもなく突出することもなく、うまく映像に溶け込むことができればいい、と思っていました。自分の大切な人がきっと見守っていてくれるという思いは、生きている人間にとって心強いものだと思うんです。役どころとしては難しかったのですが、知らずしらずのうちに街の人たちに力を与える存在として、演じることができれば、と思いました」


 その声は、優しいけれどしっかりと、登場する人々と鑑賞する人々をともに包み込む。見守る者として、そう語りかけることを意識したのだろうか?
「そういったことは特に意識しませんでしたね。普段、映画などで俳優としてアフレコをするときは完全に静かなところで録音するんですが、今回は、現地の音を聞きながらナレーションを録音しているんです。ヘッドフォンから聞こえてくる南三陸のいろいろな音が、すぐ近くにいるような気持ちにさせてくれるんです。街の人々に語りかけたり、気持ちを語ったりする感じで、その音の中に溶け込むことができればいいんだな、と思ったんです。それで、自然とああいった感じになりましたね」


 この作品に参加できて本当にうれしい、と役所は語る。
「少しでも役に立つことができればいいと思うんです。こういう企画に呼んで頂いたのは、俳優にとって本当にうれしいことで、俳優をやってて良かったなと思いました。下手なりにナレーションができてよかったな、と(笑)。本作はこれから公開になります。この映画を見て元気をもらうと同時に支援につながっていく、そうなれば参加した人間にとってこんなにうれしいことはないですね」


 これからが勝負。そう言う役所の顔に浮かぶのは、今回代弁した"見守る者"の声と同じ、前へ進もうとする人を力づけるような、温かく力強い笑みだった。
(本紙・秋吉布由子 撮影・野口卓也)

『ガレキとラジオ』はヒューマントラストシネマ渋谷他にて全国順次公開中。


 

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