ニュースの焦点
台風15号が21日夕から翌未明にかけて日本列島を北上した。都内では企業や学校などでは終業時間を早めるなどしたが、電車など帰宅の足が運休に。都心のターミナル駅では一時、東日本大震災時の帰宅難民を思わせる光景が見られた。乗降者が1日300万人を超える東京・新宿駅では乗り入れ線が軒並み運休となった。東京駅では「本日中のご旅行はお取りやめください」とのアナウンスが繰り返し流れた。
輸送網の混乱は、鉄道各社が被害を避けるため、早い時間から運休を決断したために生じた。JR東日本によると、21日昼の段階では、風速計や雨量計が規制値を超えていなかった東北新幹線や秋田新幹線でも、一部列車・区間の運休を決めた。JR東は「台風が直撃する進路をとっており、駅間停車などの輸送障害を事前に避けるため」と説明。このような「計画運休」は、平成21年10月の台風18号以来という。
地下鉄を運行する東京メトロによると、JRや私鉄の運休で行き場をなくした帰宅客が地下鉄駅に滞留。東西線や千代田線などで安全のため一時全線で運転を見合わせる事態も発生した。
学校の休校や授業の打ち切りも相次いだ。東京都では区市町村立の幼、小、中学校など計2120校中、121校が臨時の休み。神奈川県は小中の208校、埼玉県で38校、千葉県でも164校が臨時休校。それぞれの都県では、公立学校の大半が終業時間を繰り上げて授業を打ち切った。
プロ野球も21日に予定されていた5試合中、4試合が中止になった。ドーム球場でも、東京ドームで予定されていた巨人−横浜戦、西武ドームの西武−日本ハム戦が、交通機関に乱れが生じるなどしたとして試合を取りやめた。