©片岡陽太
9月16日に飴屋法水とロメオ・カステルッチによる野外劇の2本立てで開幕した「フェスティバル/トーキョー 11」(F/T 11)。23日〜25日にはドイツのルネ・ポレシュによる野外劇『無防備映画都市−ルール地方三部作・第二部』が上演された。当初は21日からの上演だったのだが、折からの台風で2日間を中止。23、24日に通常の公演のあとに追加公演をするという過酷な日程となったが、多くの観客が駆けつけた。
作品はドイツのルール地方を舞台とし、産業構造の変化と共に衰退を余儀なくされたこの工業都市の現在と、ロッセリーニの映画「戦争三部作」に映し出された戦後の荒廃を重ねている。
豊洲公園の西側にある広大な空き地に突如現れた「映画撮影所」にはトレーラー、パトカー、乗用車、ステージ、やぐら、スクリーンなどさまざまなセットが配置され、俳優たちは所狭しと走り回り、叫び、演じ、そして時に議論する。観客席の死角でなされる演技はカメラでフォローし、スクリーンに映し出される。自動車は観客席に突っ込むのではないかとハラハラさせられるくらいの迫力で会場を走り回る。その一つひとつの台詞は、過去の映画の台詞や設定を引用したモノローグ、言葉遊びに哲学的な言い回しも含めた批判的、刹那的な言説など多種多様。そしてそのなかに数々のメッセージが散りばめられた。
多分、日本人の発想では、劇場という概念では生み出せないであろう作品が展開された。
7日からは維新派による『風景画−東京・池袋』が西武池袋本店 4階まつりの広場を舞台に上演され、週が明けて14日からの遊園地再生事業団による『トータル リビング1986−2011』から劇場公演が始まる。以降は11月13日まで、フェスティバルでなければ日本では見ることのできないであろう作品、シンポジウムなど多彩なプログラムがめじろ押し。
詳しい上演情報はhttp://festival-tokyo.jp/まで。