復興の源は野外フェスにあった!
東日本大震災とそれに起因する福島第一原発の事故の影響がまだ続いている。さまざまな産業が影響を受けているなかで、エンターテインメント業界もまた大きな影響を受けている。興行主、アーティスト、そしてファンも、「自粛」と「自粛を自粛」の間で戸惑っている。しかし、TOKYO HEADLINEは迷うなら行ってみることをおすすめする。なぜなら、野外フェスティバルには復興のヒントが転がっているからだ。
人気夏フェスはフジロックとサマソニ
夏フェスについての意識調査を6月6〜24日までインターネットで行った。設問は「どの夏フェスが好きですか」。複数回答もカウントした。また集まった回答で「夏フェスへの興味はない」とした人たちは全体の20%だった。「フジロックフェスティバル」と「サマーソニック」が25%で同率。少数だったが、山中湖畔で行われる、スペースシャワーTV主催の「Sweet Love Shower」と東京スカパラダイスオーケストラ主催のスカフェス「トーキョースカジャンボリー」の名も挙がった。
「開催することがメッセージ」
震災から約4カ月が経ち、エンターテインメントを取り巻く状況は、ポジティブな方向に向かってきた。各アーティストは再びツアーをスタートさせ、新たにチャリティーライブ企画を立ち上げた人もいる。そして、いまや日本の夏の風物詩となった野外ミュージックフェスティバルも、続々予定通りに開催すると発表した。「フェスティバルを開催することがメッセージ」と「フジロックフェスティバル」と「ロックインジャパンフェスティバル」は、弊紙が送付したアンケートで偶然にも同じ答えを寄せた。
震災以前からエネルギー問題に関心
電力の問題で、夏フェスの開催について心配する噂も飛び交ったものの、予定通りの開催。節電が叫ばれるなかでいかがなものかと首を傾げる人もいる。だがしかし、フェスに参加したことがある人なら知っていることだが、ほとんどの夏フェスでは「環境への配慮」の下、エネルギー問題に取り組み続けている。それゆえに、フェスにとっては、例年通りに取り組むだけのことなのだ。
今年で15年目を迎えるフジロックは、基本は他フェスと同様、電源車を入れての自家発電スタイルだが、スタート当初から、いくつもあるステージの3つを自然エネルギーで動かすなど、積極的に問題に取り組んでいる。
「ap bank fes」もまた、自然エネルギーや代替燃料を部分的に取り入れたり、さまざまな取り組みを行う。新興フェス「WORLD HAPPINESS」では、2008年の第1回からバイオ燃料を利用した自家発電のグリーン電力を使用。さらに今年は、開場、開演、終演の予定時刻を30分早めるという。ロハスをテーマに掲げる「Slow Music Slow Live’11 in 池上本門寺」もまたグリーン電力の使用を推し進める。フジロックや「ap bank fes」では、そうした問題についての情報提供の場も設けられている。
フェスも追求する「今できること」
もちろんそれぞれのフェスでも、今自分たちにできることを追求する。
「ap bank fes」は、今夏は「ap bank fes Fund for Japan」として、イベント収益金をすべて被災地の復興支援に使用するという。フジロックでは、義援金を募り送るほか、被災地でのボランティアネットワークなどの情報も提供する。1980年代にミュージシャンらが参加した、反核・脱原発イベント「アトミックカフェ」が参加する。
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快適な自宅を離れ、野外で過ごす夏フェス。国内外のトップクラスのアーティストの演奏から元気をもらえることが醍醐味ではある。そこに、いつもとは違う空間で、ライブを思いきり楽しめるように備えようといろいろ考えを巡らしたり、仕組みについて考えたりすると、さらに何か大切なものをもらえそう。だからこそ、薦めたい。迷うなら行ってしまえ!