男性不妊とは?不妊の半数は男性にも原因があります
男性不妊とは、不妊の原因が男性側に存在するものを指します。WHO(世界保健機関)の調査によると、不妊症のうち男女ともに原因がある割合は24%、男性のみに原因がある割合が24%とされています。つまり、不妊に悩むカップルの約半数は男性側にも原因があるということになります。
日本でも同様に、約15%のカップルが不妊に悩んでおり、その原因の約半数は男性側にあるとされています。しかし、男性不妊への認識は一般的に低く、精液検査を受ける男性は少ないのが現状です。
男性不妊の3つの主な原因
男性不妊の原因は、大きく3つのカテゴリーに分けられます。それぞれの特徴を理解することで、適切な対策を考えるきっかけになるでしょう。
1. 造精機能障害(男性不妊全体の約8割)
造精機能障害とは、精子をうまく造ることができない状態です。男性不妊のほとんどの原因はこの造精機能障害と言われています。具体的には以下のような状態が含まれます:
- 乏精子症:精子の数が少ない状態
- 精子無力症:数は十分だが精子に活動力がない状態
- 無精子症:精液の中に精子が全くない状態
これらの原因としては、先天性のものや精索静脈瘤(精巣上部に発生した血管のこぶ)などの病気がきっかけになるほか、過度のアルコール摂取、喫煙、肥満などの生活習慣も影響することがあります。
2. 性機能障害
勃起や射精がうまくできない場合も不妊の原因となります。病気やストレス、血流の減少などによって引き起こされることがあります。また、タイミング法などで性行為のタイミングに神経質になりすぎることが原因となる場合もあります。
3. 精路通過障害
精路通過障害は、精子の通り道が狭かったり、詰まっていたりするために、射出された精液中に精子がみられない状態です。先天性のものや炎症、けがなどがきっかけになることもあります。精子が作られていても出ていくことができないため、不妊の原因となります。
年齢と男性不妊の関係
女性の妊娠率が年齢とともに低下することはよく知られていますが、実は男性の年齢も生殖能力に影響します。一般的に、精子の質や運動率は年齢とともに低下する傾向があります。
注目すべきは、20代や30代の若い世代でも、10人中1~2人の男性が「乏精子症」に該当し、自然妊娠が困難な状態にあるという調査結果です。これは男性不妊が若い世代でも起こりうることを示しています。
男性不妊と生活習慣の関係
男性不妊の原因の多くは日常の生活習慣と密接に関係しています。以下のような要因が精子の質や量に影響を与える可能性があります:
- 喫煙:タバコに含まれる有害物質が精子の質を低下させる可能性があります
- 過度のアルコール摂取:日常的な大量飲酒は精巣の機能に影響を与えることがあります
- 肥満:適正体重を大きく超える肥満は、男性ホルモンのバランスを崩す可能性があります
- ストレス:長期的なストレスは生殖機能にも影響を及ぼすことがあります
- 高温環境:精子は熱に弱いため、サウナや長時間の入浴、ひざ上でのパソコン作業などは避けた方が良いでしょう
これらの生活習慣の改善は、男性不妊の対策として非常に重要です。特にパートナーの妊娠を望む場合は、できるだけ早い段階から健康的な生活習慣を心がけることが大切です。
男性不妊の検査方法
男性不妊の検査は、以下のような方法で行われます。パートナーと一緒に検査を受けることで、不妊の原因を早期に特定できる可能性が高まります。
精液検査
精液量、精子濃度、運動率、正常形態率などを測定し、自然妊娠が可能かどうかを検討する基本的な検査です。精液検査の結果は値のばらつきが大きいため、数値に一喜一憂せず、複数回検査を受けることも大切です。
血液・ホルモン検査
精子を作るために必要なホルモン値を測定したり、感染症の有無を調べる検査です。男性ホルモンのバランスが不妊に影響していることもあります。
超音波検査
エコーを使って精巣のサイズを計測したり、精巣内部の異常や精索静脈瘤など血管の異常がないかを確認する検査です。
男性不妊の予防・改善のためのポイント
男性不妊の予防や改善のために、日常生活で取り組めるポイントをご紹介します。パートナーと協力して実践してみてください。
規則正しい生活習慣を心がける
元気な精子を育てるためには、規則正しい生活習慣が重要です。栄養バランスの良い食事を摂り、十分な睡眠をとり、適度な運動を心がけましょう。食事では特に亜鉛やビタミンEなどの栄養素を意識して摂ることも大切です。
精巣の高温環境を避ける
精子は熱に弱いことが知られています。サウナや長時間の入浴、ひざ上でのパソコン作業など、精巣を高温環境に長時間置くことは避けましょう。また、きつい下着よりもゆったりとした下着を選ぶことも一つの対策になります。
夫婦二人三脚で取り組む
不妊治療は夫婦で協力して取り組むことが大切です。パートナーと一緒に検査を受け、生活習慣の改善に取り組みましょう。人工授精や体外受精に治療が移行しても、男性側の精液所見が良い方が治療にはアドバンテージとなるため、男性の治療も並行して進めることが望ましいとされています。
まとめ:男性不妊を理解し、適切な対策を
不妊の原因の約半数は男性側にもあることを理解し、夫婦で協力して検査や生活改善に取り組むことが大切です。特に30代では年齢とともに妊娠率が低下していくため、できるだけ早い段階から対策を始めることをおすすめします。
男性不妊の多くは生活習慣の改善で対策できる可能性があります。規則正しい生活、バランスの良い食事、適度な運動、ストレス管理などを心がけ、必要に応じて専門医による検査を受けることで、妊娠の可能性を高めることができるでしょう。
練馬区周辺には不妊治療に対応している医療機関が複数ありますので、不安や疑問がある場合は、ぜひ専門医に相談してみてください。パートナーと二人三脚で、前向きに不妊治療に取り組んでいきましょう。