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リオ五輪男子サッカー代表18人発表 手倉森監督「金を目指さなければ、どう(銅)にもこうにもならない」

2016.07.01 Vol.669

 

 日本サッカー協会は7月1日、都内で会見を開き、リオデジャネイロオリンピックに出場する男子サッカー代表18人を発表した。

 予選を戦い抜いてきた選手たちをベースにオーバーエイジ(OA)の3人を加えた布陣。6月29日に行われた南アフリカ戦で得点を挙げた矢島、中島、浅野が揃って選出された。また5月のトゥーロン国際で左膝靱帯を損傷し欠場中の岩波も選出された。
 会見には田嶋幸三会長と手倉森誠監督が出席。

 手倉森監督は冒頭の挨拶で「U-23日本代表は今日からサッカー日本オリンピックチームに代わります。これまで僕とともに戦ってきてくれたU-23世代の選手たち、その役割もここで分かれます。託す側と託される側。託す側に回った選手たちには常々メッセージとして言っている“日本の将来、日本サッカーの発展、それに関わり続ける選手になれ”と。今日の発表をもって役割は託す側になったとしても、その気を切らさずにやってほしい。もちろん外れた時には悔しさはあります。その悔しさを糧に日本サッカーの発展のために努力をし続けろということをメッセージとして伝えたい。託される側は喜んでいる場合じゃない。本当にそういった仲間の思いを、そして国民の思いを、日本サッカーの将来の可能性を伸ばすための責任と覚悟を持ってオリンピックに臨んでほしいと思っています」とこれまで戦ってきた選手たちへのねぎらいの言葉と、これからともに戦っていく選手たちへ檄を飛ばした。

 発表したメンバーについては「U-23世代の強みである“まとまり”をうまく発揮できるだろうなという調和の取れたメンバーになったのかなと思う。オーバーエージ3人を加えたが、このチャンスをロシアにつなげられるメンバーということで期待しているし、戦術に関しても柔軟性、割り切りとなった時の柔軟性で十二分に発揮できるメンバー構成。プラス、世界の舞台で示さないといけないメリハリもうまくコントロールできるようなメンバー構成にしたつもり」と話した。

サッカー日本代表「キリンカップサッカー2016」で1勝1敗 W杯最終予選に向け守備にやや不安!?

2016.06.12 Vol.668

 サッカーの「キリンカップサッカー2016」が6月3日と7日に行われた。今大会はトーナメント方式で行われ、日本は3日に愛知・豊田スタジアムでブルガリアと対戦。前半4分に岡崎のゴールで先制すると前半だけで立て続けに4ゴールを決め7−2で大勝した。

 本田が欠場したことで、トップ下を争う香川と清武が約2年半ぶりに同時に先発出場。香川の2点目のゴールの場面など随所に好連携を見せ、新たなオプションとしてめどを立てた。途中出場の浅野はPKを得るとハリルホジッチ監督が「宇佐美」と指名するも譲らず、自ら蹴り代表初ゴールを決めた。

 またGKの川島が2015年6月に行われたW杯アジア二次予選シンガポール戦以来およそ1年ぶりに出場。6点を取った後にDF陣の集中が切れた場面もあり2失点したものの、89分にはPKをセーブするなど、復調をうかがわせた。

 7日には大阪・市立吹田スタジアムでボスニア・ヘルツェゴビナと決勝で対戦。1−2で敗れて優勝を逃した。
 ブルガリア戦で負傷し途中退場した香川が欠場。本田も引き続き出場せず、エース2人を欠くこととなった日本。

 前半28分に宇佐美のクロスを清武が体勢を崩しながらも左足で先制ゴールを決めるが、直後にジュリッチに決められ追いつかれてしまう。後半21分には相手選手の交代後に集中力を切らせてしまい、再びジュリッチに決められ逆転されてしまった。その後も、攻守にわたり相手の“高さ”とフィジカルの差を最後まで克服できず1−2で敗れた。

 攻撃面では多くの得点機を作り、新たなオプションの可能性も感じさせたが、2試合で4失点と守備に課題を残した。
 日本はワールドカップ(W杯)最終予選で9月1日にホームでUAEと対戦する。

「キリンカップサッカー」メンバーを発表 浅野に大きな期待

2016.05.26 Vol.667

 

 日本サッカー協会は26日、会見を開き「キリンカップサッカー 2016」のメンバーを発表した。
 初選出はMFの小林祐希(ジュビロ磐田)と大島僚太(川崎フロンターレ)の2人。U-23世代からは大島とMFの遠藤航(浦和レッズ)、FWの浅野拓磨(サンフレッチェ広島)の3人が選ばれた。

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は小林、大島の選出については「長い時間をかけて追跡した」と話した。浅野については「日本で一人だけDFの背後に抜け出せる選手。ゴールゲッターになるすべての道具を持っている。まだ伸びしろもある」と点取り屋として高い期待を見せた。

 また代表選出で常に話題にのぼる川崎フロンターレの大久保嘉人については「何度も試合を見ている。一番いいゴールゲッター」としながらも「A代表では多くの結果を残していないのかも考えないといけない。A代表でクラブでのようなプレーができるイメージがわかなかった」と話した。しかし「最終的には分からない。必要なら呼ぶ」という。今回選考に漏れた選手たちについても国内・海外、クラブの大小に問わず門戸は開いていると話した。

 キリンカップサッカー 2016はノックアウト方式で開催され、日本は6月3日の愛知・豊田スタジアムでブルガリア代表と対戦。7日の大阪・市立吹田サッカースタジアムでは、デンマーク代表かボスニア・ヘルツェゴビナ代表と対戦する。

岡崎所属のレスターが初優勝

2016.05.08 Vol.666

 サッカー日本代表の岡崎慎司が所属する英プレミアリーグのレスターが2日(日本時間3日)にクラブ創立132年にして、初優勝を果たした。

 レスターは勝てば地力優勝が決まる1日のマンチェスター・ユナイテッド戦で1−1の引き分け。翌2日のトットナムvsチェルシー戦でトットナムが2−2で引き分け、レスターの優勝が決まった。

 レスターは1884年に創設。昨シーズンは10シーズンぶりにプレミアリーグに再昇格し、14位でなんとか残留を決めたチーム。今シーズンもまずは残留が目標だったのだが、開幕から負けない戦いを展開し、11月22日のニューカッスル戦で初の首位に立つ。一時は2位に後退するも1月24日のストーク戦で勝利し首位に返り咲くと、以降がっちりと首位の座を守り、優勝を果たした。

 岡崎は今季、ドイツのマインツから移籍し、1日のマンU戦までリーグ戦36試合で34試合に出場。そのうち24戦で先発。得点こそ5得点と少なく映るが、前半から全力で走り回り、豊富な運動量で攻守に貢献。またニューカッスル戦(3月14日)では後世に語り継がれるほどのオーバーヘッドキックでゴールを決めるなど、数字では表せない貢献度でチームメートの信頼を勝ち取りレギュラーとして活躍した。

 英中部のレスター市内はチームカラーの青一色でライトアップされ、歓喜のお祭りムード。本拠地のキングパワースタジアム周辺には数百人のサポーターが集まり、市内のパブなどでは数千人がパーティーを開き、創設132年の初優勝を祝った。

なでしこ新監督に高倉麻子U−20女子代表監督が就任

2016.05.06 Vol.666

 日本サッカー協会が27日、都内で会見を開き、なでしこジャパン(日本女子代表)の新監督に、高倉麻子氏が就任することを発表した。

 高倉氏はかつて日本女子代表の中心選手として活躍。1991年と1995年の女子ワールドカップ(W杯)と1996年のアトランタオリンピックに出場。引退後は指導者に転身し、現在U−20(20歳以下)女子代表監督を務めており、当面はフル代表と兼務となる。

 高倉監督は会見でこれまで佐々木則夫監督のもとで成し遂げてきた数々の栄光を称えたうえで、自分の使命を「今まで積み上げてきたものにさらに磨きをかけて、もっと高い所に選手を連れて行くことかなと考えている。日本人にしかできないサッカーを追求していきたい。ワールドカップやオリンピックで良い成績を残すことのみならず、世界の女子サッカーをリードしていけるようなサッカーをしてみたい」と目標を掲げた。

 リオ五輪を逃したなでしこにとっては2019年の女子W杯、2020年東京オリンピックが次の目標となるのだが、高倉監督は「どの大会でも目指すのは優勝。簡単なことではないが、全員がそこに向かって、全力で取り組んでいくこと、日々を生きることが結果につながっていくと思う」と語った。

 先のアジア最終予選での敗退については「短期決戦の中で修正して次の試合、次の試合と臨むことができなかったかなと感じた。ボタンの掛け違いという言葉がありますが、最初にズレたことが非常に大きく、チームに影響してしまった」と分析。そしてチーム作りにおいては「チームの輪というのは、日本サッカー、なでしこジャパンには欠かせないもの。選手には明るく伸び伸びとサッカーをしてもらいたいと思うし、自分のサッカー人生に真摯に取り組んでもらいたい」と語った。

 なお男女を通じてフル代表に女性監督が就くのは初めてだが、日本サッカー協会の田嶋幸三会長は「外国人でも日本人でも、男性でも女性でも良かった。一番勝たせるのは誰かと考えて決まった。女性であるから選ばれたわけではない」と語った。

サッカー なでしこジャパンの新監督に高倉麻子氏が就任

2016.04.27 Vol.665

 日本サッカー協会が27日、都内で会見を開き、なでしこジャパン(日本女子代表)の新監督に、高倉麻子氏が就任することを発表した。

 高倉氏はかつて日本女子代表の中心選手として活躍。1991年と1995年の女子ワールドカップ(W杯)と1996年のアトランタオリンピックに出場。通算79試合出場、30得点。

 引退後は指導者に転身。2013~14年にはU‐16/U‐17日本女子代表監督、2014~15年にはU‐18/U‐19日本女子代表監督、今年からU‐20日本女子代表監督を務めるなど、指導者として日本の女子サッカーを支えてきた。

 また2012年から4年連続でAFC年間最優秀コーチ賞(女子)を受賞。FIFAとAFCから依頼され女子W杯カナダ2015など多くの国際大会にテクニカルスタディグループの一員として参加するなど、その力量は国際的にも高く評価されている。

 高倉氏は会見で「今まで積み上げてきたものにさらに磨きをかけて、もっと高いところに選手を連れて行く。日本人にしかできないサッカーを追求していきたい。さらにW杯やオリンピックでいい成績を残すだけでなく世界の女子サッカーをリードしていけるようなサッカーをやってみたい。日本人は非常に器用で勤勉で戦術理解も高い。なによりも人のために、組織として大きな力を発揮することができる。そういうことがなでしこジャパンの大きな力となっていた。そういうことを大切にしながら日本人にしかできないサッカーを選手とともに追求していきたい」と語った。

 高倉氏はフル代表とU‐20の監督を兼務する。

サッカーW杯アジア最終予選とリオ五輪の組み合わせ決定

2016.04.22 Vol.665

 

 サッカーの2018年ワールドカップ(W杯)ロシア大会アジア最終予選の組み合わせ抽選が12日、クアラルンプールで行われ、日本は豪州、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、イラク、タイとのB組に入った。

 最終予選は12チームが2組に分かれ、ホーム&アウェー方式で戦い、各組2位までが本大会出場権を獲得。各組の3位同士が戦い勝ったチームが北中米カリブ海4位との大陸間プレーオフに回る。

 組み合わせ抽選の結果を目にしたハリルホジッチ監督は「簡単な試合は一つもない」と語った。
 日本は9月1日にホームでUAEと初戦を迎え、2017年9月5日のサウジアラビア戦まで10試合を戦う。
 UAEとは昨年のアジア杯の準々決勝で、圧倒的に攻めながら1点しか奪えず、PK戦で敗れている。2次予選初戦のシンガポール戦のようなことがないように祈るばかりだ。

 また14日はリオデジャネイロ五輪サッカーの男女1次リーグ組み合わせ抽選がリオデジャネイロのマラカナン競技場で行われ、日本男子はナイジェリア、コロンビア、スウェーデンとのB組に入った。各組2位までが準々決勝に進む。

 体格が大きいスウェーデン、身体能力が高いナイジェリア、技術に優れたコロンビアと難敵ぞろいのグループとなったが、手倉森監督は15日、「強豪ぞろいで、一番過酷な世界大会。成長しながら進まないとメダルにこぎつけることができない」と話し「本大会出場を危ぶまれたチーム。期待値ゼロから興奮のるつぼにしていきたい」と意欲を見せた。

アフガニスタン戦は岡崎が先制ゴールで5−0圧勝

2016.04.10 Vol.664

 サッカーのワールドカップ(W杯)アジア2次予選のアフガニスタン戦が24日、埼玉スタジアムで行われ、日本が5−0で勝利を収めた。

 本田、香川といった主力が23日に合流。コンディションも鑑みてこの日は控え組が先発に名を連ね、4−4−2というフォーメーションも試された。

 前半、圧倒的に攻め込むもののなかなかゴールが決まらず、なんとなくシンガポール戦の悪夢が頭をよぎり出すが、終了間際の43分、岡崎が清武からのパスをゴール前で受けるや反転して相手DFを置き去りにすると左足で見事なシュートを決め、この嫌なムードを振り払った。

 後半に入ると15分に清武が金崎からの縦パスを左足で押し込み、代表では2012年11月以来のゴール。この日は1得点2アシストと、長く代表のトップ下に君臨する香川を脅かす動きを見せた。終始、ゴールへの貪欲な姿勢を見せ続けていた金崎も後半22分に相手GK、DFと競り合い体ごとゴールを決めるなど結果を残した。またハリルホジッチ監督体制で初めて招集されたハーフナーも後半27分から出場。金崎のゴールはハーフナーのポストプレーから生まれており、こちらも少ないチャンスの中でしっかり存在感をアピールした。

なでしこの佐々木監督が退任会見「メディアの方々もあまりプレッシャーをかけないで」

2016.03.18 Vol.662

 サッカーの女子日本代表(なでしこジャパン)の佐々木則夫監督の退任会見が18日、都内で行われた。

 会見の冒頭、日本サッカー協会の大仁邦弥会長から、オリンピック予選終了後の3月10日に佐々木監督から辞任の申し入れがあり、その後の理事会で決定したことが報告された。

 大仁会長は「今回の予選は残念だったが、それまでの佐々木監督の足跡は素晴らしいもの。決して今回の結果をもってこれまでの業績が陥れられるものではないと思っている。特になでしこのスタイルを世界で戦えるものにした。なでしこスタイルを世界が真似ている。佐々木監督が女子のサッカーを変えたと思っている」と佐々木監督をねぎらった。

 佐々木監督は「女子の指導者として11年、監督として9年間。これまで世界を目指して仕事ができた。最終的にはリオ五輪出場という結果は残せませんでしたが、僕自身は満足して充実した11年間を経験できた。これは僕の大きな宝物として、今後どういうふうに生きていくかは分かりませんが、この経験が自分自身の人生のプラスになると確信して新しいステージに向けて頑張りたい」と挨拶した。

 

 質疑応答の中では女子の指導について「選手たちひとりひとりの志が高い選手たちだったので、僕自身は男子を指導している時と変わらなかった。特別に鎧を着て肩ひじを張って指導したつもりはなかった。大変なことは特に感じなかった」と話した。

 また11年間を振り返っての「理想的な環境を与えていただいたことに感謝している。こういった経験をして、まさか退任会見でこんなにたくさんの皆さんに来ていただけるなんて。最終的にリオへの結果が出なかったにしても、こうやって会長に隣りに座っていただいて退任会見をしていただけるとは」という言葉の中に、この11年間での女子サッカーの環境の激変ぶりが見て取れる。

 そして今後のなでしこについては「僕がスタートしたころは(日本の)ランキングは11位くらい。20位くらいのチームとは明らかに差があった。しかし今は4位ですが20~30位のチームでも層が厚くなってきた。そういう意味でも世界で戦うのは厳しいという現実はある。(2020年の東京オリンピックに向けても)本当にこれからが大変なのでメディアの方々もあまりプレッシャーをかけないでいただければ」と最後まで選手への心配りを忘れなかった。

サッカーU‐23日本代表ポルトガル遠征のメンバー発表

2016.03.14 Vol.662

 日本サッカー協会は14日、都内で会見を開き、3月下旬よりポルトガルに遠征するU‐23日本代表のメンバーを発表した。
 会見には霜田正浩技術委員長(強化担当) とU‐23日本代表の手倉森誠監督が登壇。
 メンバー発表は手倉森監督の「神がかり的な勝ち方でオリンピックを決めただけに、今日の発表は“紙”で発表させていただきます」という言葉でスタート。
 今回の遠征では3月25日にU‐23メキシコ代表と国際親善試合で対戦。28日にはポルトガルの強豪クラブ、スポルティングリスボンと練習試合を行う。
 手倉森監督は「メキシコは前回のチャンピオンチーム。世界で戦ううえでの(日本ンの)現在地が分かるいい相手。スポルティングも外国人と戦えるということ、年齢が上の選手、いろいろなタイプの選手が交じったクラブチームとやれるというのは非常にいい経験になる。中2日のスケジュールも本戦を見据えて組んでもらった」と語った。
 メンバーの中で目を引くのがオランダのFCドルトレヒトでプレーするファン・ウェルメスケルケン・際。ファンについて手倉森監督は「オリンピックの最終予選のエントリーにもすでに入れていた。映像を集めてもらって見た時にものすごく興味がわいた。ヨーロッパに行ってメキシコと対戦するというタイミングはオランダでプレーしている彼を招集するチャンス。縁があるのではないのかと思って選んだ。ファンは両サイドもボランチもこなせる。ロングスローもある。U‐23が武器として持てなかった部分を彼が可能性として落とし込んでくれるのではないかと期待している」と語るなど期待の大きさが感じられる。
 また室屋、松原らが怪我で離脱したこともあって、今回は6人の新顔が名を連ねたが「最終予選が終わった1回目のキャンプでこれだけ多くの選手が入れ替わるということは、今回選ばれなかった選手にも可能性があるということを示唆しているということをぜひ感じてほしい」と多くの選手の競争意識を刺激した。
 この日発表されたのは22人だが、「これからは18人に絞っていかないといけない。本戦では間違いなくフィールドプレーヤーは2試合でまるっきりメンバーを代えるターンオーバーはできるわけではないので、連戦をさせたいという狙いもある。一気に減らすよりは今回は22人でやらせてもらいたいという話を俺のほうからしました」とより本番に近い条件での戦いを志向しているよう。また選手の選考については「さらなるクオリティーを高めたいという狙い。アジアでの割り切った戦いを覚悟したメンバーがあの23人。世界では違った持ち味で戦わないといけない。例えばアジアでは浮いたボールが多かったかもしれないが、世界では地上戦が増える可能性がある。そうなったときに、下のパスで崩せるようなクオリティーを高めておきたい。そういう観点で鎌田、関根という選手はアジアでは起用できなかったが世界と戦ううえでは起用する可能性も出てくる。そういったところも探っていきたい」と語った。
 FWは3人だけの選出だが、これについても4-4-2以外のシステムも念頭にあるようで、「4-4-2をベースに戦ってきたアジア予選から違うオプションを本大会に向けて作っていかないといけない。トップ下を置くオプションというのは本来、A代表でもある。これを準備することによって、よりA代表とつながる強化をすることができる」と話した。

なでしこ4大会連続の五輪出場逃す 佐々木監督退任へ

2016.03.12 Vol.662

 サッカー女子の「リオデジャネイロオリンピック2016 アジア最終予選」が大阪で、2月29日〜3月9日の日程で行われた。日本代表のなでしこジャパンは2勝1分け2敗、勝ち点7の3位に終わり、4大会連続の五輪出場を逃した。

 なでしこは初戦のオーストラリア戦(2月29日)に1−3で完敗。前半41分に日本のパスが審判に当たり、相手への絶妙なパスとなり2点目を失うという不運もあったが、日本を研究してきたオーストラリアに試合を支配された。

 第2戦の韓国戦(2日)もゴール前の決定力に欠き1−1でドロー。第3戦の中国戦(4日)にも1−2で敗れ崖っぷちに立たされた。前半14分にはMF川村のバックパスをDF田中とGK福元の連係ミスで中国のMFジャン・ルイに奪われ先制されるという、これまでのなでしこでは考えられないミスが出るようでは勝利は難しかった。

 この段階では他力本願ながらまだ2位に入る可能性がほんのわずか残されていたのだが、第4戦のベトナム戦(7日)の試合前に中国が韓国に勝利を収め、日本の3位以下が確定してしまった。

 残り2試合は五輪予選としては消化試合となってしまった。しかし佐々木監督は先を見据えキックオフ前にスタメンを変更。3戦にフル出場していた主将の宮間、大儀見、熊谷が先発を外れ、20歳のGK山下や、途中出場で攻撃の切り札を担ってきた岩渕が初先発。岩渕が先制ゴールを決め、後半に岩渕と交代出場した22歳の横山も終了間際に2試合連続ゴールを奪うなど、6−1で今予選初勝利を挙げた。

 最終戦となった北朝鮮戦(9日)も岩渕が後半35分に宮間のクロスを頭で押し込み先制。この1点を守り切り、1−0で勝利を収め、最終戦を飾った。

 予選の結果は1位・オーストラリア(勝ち点13)、2位・中国(同11)、3位・日本(同7)、4位・韓国(同5)、5位・北朝鮮(同5)、6位・ベトナム(同0)。結果的には中国戦の敗戦が響いた格好だ。

 予選敗退が決まった7日の試合後、「指揮官として一番責任は重い」と語っていた佐々木監督は最終戦を終え「責任を取らなきゃいけない思いはある。彼女たちとサッカーをやってきて本当に楽しかったし、本当に大きな宝物をいただいた」と退任を正式に表明した。

 後任には、2014年のU−17(17歳以下)女子W杯で日本を初優勝に導いた実績を持つ高倉麻子・U−20女子日本代表監督(47)らが候補に挙がっている。

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