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渋さ知らズと毛皮族がシェイクスピアをやるんだって!?

2014.10.25 Vol.629

 昨今、公共ホールはプロデュース公演や共催公演はもとより、ワークショップといった育成プログラムなど独自の方針を持ち、さまざまな活動を展開している。

 そのなかでも、演劇に限らず個性的なラインアップが並ぶのが池袋にある「あうるすぽっと」だ。

 あうるすぽっとでは今年、シェイクスピア生誕450周年を記念して「あうるすぽっとシェイクスピアフェスティバル2014」と題して2月から演劇、ダンス、落語とさまざまなジャンルでシェイクスピア作品を発信してきた。

 そろそろラストスパートとなる11月も注目の作品が並んでいる。

 まずは11月13日から始まる渋さ知らズ25周年企画『十二夜より十三夜』。渋さ知らズは日本が世界に誇る音楽集団。基本的にはジャズバンドというカテゴリーなのだが、古くから演劇における劇伴を担当することもあれば、バンドにダンサーも取り込むなど、ジャンルレスな活動を続けている。そんな渋さが今回は演劇をする。それだけでも十分びっくりなのだが、題材がシェイクスピアということで2度びっくり。25周年記念とうたうだけあって、脚本には4年連続で芥川賞候補となっている戌井昭人が名を連ねるなど、これまでに関わってきたさまざまなジャンルのアーティストが集結した。

 11月20日からは毛皮族との共同プロデュースで『じゃじゃ馬ならし』の上演が始まる。同作は数多いシェイクスピアの中でも、世界中のフェミニストたちから総スカンを食らう問題作。

 こちらも注目はキャスティング。鼻っ柱の強い深窓の令嬢「キャタリーナ」に異才のピン芸人鳥居みゆき、マッチョな上昇志向男「ペトルーチオ」に若手個性派俳優・柄本時生を起用する。そして小劇場界でも指折りの個性派たちが脇を固める。

 この2作品に共通するのは意外性と一回性。そしてそこからくる刹那感。唯一無二、見逃し厳禁の2作品となる。

石原さとみの純情

2011.04.11 Vol.505

劇団☆新感線でシェイクスピアに初挑戦!

石原さとみがシェイクスピアの四大悲劇に初挑戦する。15日に大阪で初日を迎える、劇団☆新感線の舞台『港町純情オセロ』に主人公オセロの妻役で出演する。これまでにもシェイクスピア作品を届けてきた劇団☆新感線が「オセロー」に新たな風を吹きこませた演出で、コミカルかつ切ない舞台にして届ける。「稽古が楽しいんです」という石原にインタビューした。

無理しなくてもいいんだって思ったら
自分の好きなことが見えてきたんです

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写真・蔦野裕

 サバサバしていてよく笑う、分からないことは分からないとはっきり言う。インタビューをしてみて、清楚で控えめという石原さとみのパブリックイメージは、ちょっとだけ覆された。

「去年から今年にかけて、1人でニューヨークに行ったことは自分にとって大きかったですね。以前の自分を振り返ってみると、自分がやっていることが好きじゃないといけないと思っていたし、やってることが好きなんだって勘違いしていたところもあったなあって思うんですけど、そういうんじゃないんだって。無理しなくてもいいんだって思ったら、自分の好きなことが見えてきたんですよ。それが何かって説明するのは難しいんですけど......、例えば、この間、友達と久しぶりに渋谷に買い物に行ったんです。部屋を明るくしたくて、人生で初めて布を買いに行ったんですけど、ものすごい種類のなかから自分がテンションが上がる色だとか、組み合わせを選べたんですよ! これが好き、これが気持ちいい、これにひかれる、大したことじゃないかもしれないですけれど、前は、自分はそう思わなくても、周りの人がいいよって言えば、それが一番だろうって、流されていたので」

 そうした自己改革が進行中の彼女は今、15日に初日が迫った舞台『港町純情オセロ』に取り組んでいる。稽古の様子を尋ねると、石原さとみは瞳を輝かせる。「見ているだけで楽しいんです」

 舞台『港町純情オセロ』は、劇団☆新感線の最新作で、イギリスの文豪で劇作家のウィリアム・シェイクスピアの四大悲劇のひとつ『オセロー』を、劇団☆新感線らしい斬新な解釈と演出で届ける作品。設定を、戦前の日本、それも関西の港町とし、ヤクザたちの抗争を取り入れながら描く。コミカルでありながら、ちょっと切ない舞台だ。自ら「読んだ記憶があまりない」というシェイクスピアビギナーの石原も「台本が面白くてどんどん読んじゃいました」と、役者という立場を飛び越えてハマっている。

 石原が演じるのは、橋本じゅん演じるオセロが溺愛する妻・モナ。父親が病院長を勤める病院に、ヤクザの組長であるオセロが入院したときに出会い結ばれるが、オセロを純粋に愛するがゆえに、悲劇に巻き込まれてしまう。

「とても純粋な女性。私自身も、あんまり人を疑ったりしないし、信じ込みやすいタイプだし、影響されやすいんですけど、あんなに純粋にはなれないなって思いますね。さっきのニューヨークの話と重なりますけど、今は"こんな自分じゃだめだ"って思っている段階なのもあって、モナに対してこんな自分もいたなって感じます。演じるにあたっては、そういったところは抜きにして、あまり深く考えずに、オセロが好き、世の中に悪い人はいないんだ、って彼女が信じているのと同じように信じて、突き進めばいいかなって思っています。稽古が始まったときから、オセロが、オセロを演じている橋本じゅんさんを見ているのがすごく楽しいし、好き(笑)。このままやっていけば役もでき上がっていくんじゃないかって思います」

 石原がそう自信を持てるのは、演出のいのうえひでのりという存在も大きそうだ。すでに報道もされているところだが、石原は、デビューのきっかけになった「ホリプロスカウトキャラバン」で、いのうえから演技指導を受けている。

「そう、9年ぶりに稽古をつけてもらいました(笑)。いのうえさんは、このセリフで椅子のここに座って、次のタイミングで移動とか、細かく演出してくれるんです。そのなかにいることで、モナという女性が作られていく気がしています。あとは、私が、慣れない関西弁でモナの気持ちをつなげることがポイントになってきそうですね......」

 さて、そろそろ本番も迫ってきた。

「シェイクスピアという土台の上で展開される新感線ワールド。私を含めて、シェイクスピア作品に入るきっかけとして理想的な作品だと思います。演じる立場としては、時間をかけて作り上げた作品のなかで、モナという1人の女性の人生を生きることを楽しみたい。それに加えて、生(なま)ならではの魅力も味わっていただけたらと思います」

 東日本大震災とその余波で、自然を前にした人間の小ささと、人の大きさと寛容さを目の当たりにした。大切な人への想い、そして人と人とのつながりを感じられるこの舞台は、さらにその想いを強くしてくれそうだ。

(本紙・酒井紫野)

劇団☆新感線プロデュース『港町純情オセロ』

【東京公演日】4月30日(土)〜5月15日(土)12時30分開演/18時開演 ※2日、9日は休演。30日、6日、11日は18時のみ。8日、13日、15日は12時30分のみ。 【会場】赤坂ACTシアター 【料金】S席1万500円、A席8500円(全席指定・税込) 【問い合わせ】サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(10〜19時) 【URL】http://www.junjo-othello.jp/
※大阪公演は4月15〜22日までイオン化粧品 シアターBRAVA!。


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