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大谷ノブ彦 カタリマス! 第9回 「芸人」って何でもやるべきだと思う

2015.01.26 Vol.635

「芸人」っていう肩書き、いらねえなってよく思います。お笑いだけを追求する人っていう意味での「芸人」ね。『キキマス!』でも、このコラムでも何度か触れてきたことですけど、どんどんその想いが強くなってると感じています。

「芸人」という言葉を聞いた時、たいていの人が「お笑いをやっている人」って思いますよね。それはそうなんだけど、僕は、それだけじゃないって思ってます。で、調べてみたんですけど、ネタで笑わせることをやってる人が芸人っていうイメージはここ20年ぐらい。それ以前、例えば江戸時代とかもっと昔は、物を書いたり、社会問題について言及っていうか遠巻きに悪口を言ったりしていた。それって社会を揺さぶるっていうことが「芸人」の仕事として最も大事なことだったんじゃないかなって感じたんですよ。

「お笑いだけをやっている人」っていう今の芸人像を作ったのは、たぶん、僕も所属する吉本なんじゃないかなって思います。笑いを追求する、芸を追求するっていう芸人ロマンを与えて、その受け皿として劇場があり、芸人ロマンを担保に僕たちを働かせる(笑)。ある種のプロパガンダといえるかもしれません。もちろん、こういう姿勢も大事ですし、僕も求道者としての道はカッコいいと思う。ただ、その考え方って他人に強要した瞬間にとっても窮屈になります。吉本はそういう芸人の理想像を作ったから、いろんなものが出てくるなかで、それを守り続けなくちゃいけないところもあるんでしょうけど。
 で、そういう芸人像があるとき、僕ってどうなんだって思うんです。芸人でラジオのパーソナリティーってありなんですか、通販の番組を紹介するって芸人としてありなんですかって。DJを始めた時も芸人がこんなことしやがってって芸人に言われましたしね。必死だったし趣味でやってるとか言い訳もしましたけど、確信はあったんです。ダイノジだからできることがある、大谷ノブ彦だからできることがあるって。そう思ってやってきました。

 僕自身がそうだから言うんじゃないけど、芸人は何でもやっていいと思うし、やったほうがいいと思っています。そこには芸人としてのアウトプットがあるから、何をやるかっていうことよりも、考えの持ち方とか矜持のほうが大切だと思いますから。

 多様性を含んでいるのが「芸人」。そういう価値観を共有しないと、やばいんじゃないかなあ、今って。僕の多様性を評価する人でありたいっていう気持ち、こういうところからも強くなってるんだと思います。

大谷ノブ彦 カタリマス!(裏)第26回 僕たちには長渕剛が足りない!

2015.01.21 Vol.634

 今、僕たちに足りないのは長渕剛なんだっていう話が止まりません。このコラムでも今年最初の更新(「ラジオ界のボケになりたい」)でも長渕剛さんに触れていますけど、本当に止まらないんです。『キキマス!』でも火曜日にマキタスポーツくんが来ればその話。マキタスポーツくんとは他の現場でも、会えば年の暮れから長渕さんの話しかしてないんですよ。そんなこともあって先週13日の放送では、長渕さんについて熱く語りました。

  なぜ長渕さんかというのは、その更新(「ラジオ界のボケになりたい」)を見てもらうのがいいと思うんですけど、僕が多様性を評価する人でありたいということを意識するなかで、とても重要な存在なんですね。長渕さんはデビュー以降いろいろ変容していくなかで、優しい兄ちゃんから大衆のマスコット的な人になっていって……、ツッコミ側から完全にボケ側にまわっている。いろいろ言われることもあるけれど、なんていうのかな、そういう変化がエンターテインメントとしてできてた人なんだなって思うんです。そのあたりは、番組のポッドキャストでも聞けるので気になった方はぜひ聴いていただけたらと思います。リアルタイムで長渕さんを見てきたマキタスポーツくんと僕だからこその熱を帯びた話、楽しんでいただけると思います。

 さて、その長渕さん。今年の夏、富士山のふもとでコンサートをやるんです。静岡県富士宮市のふもとっぱらっていうところが会場なんですけど、そこに10万人集めて、オールナイト公演をやるっていう。10万人、オールナイトって……。どんなコンサートになるのか、まったく想像がつきません。それでも、行けば絶対何かが起きると思います。だって、長渕さんなんだから。

 ダイノジは2015年、長渕剛になると宣言しました。だから僕は、ふもとっぱらに行きます。マキタスポーツくんはもちろん、 脊山さん、そしてあなたも行くんです。そこで目撃者にならなくちゃいけないです。8月22日、約束の地で会いましょう。

大谷ノブ彦 カタリマス!(裏)第25回 答えって、ひとつじゃない。

2015.01.15 Vol.634

 ここ最近、多様性問題っていうの、あるなあって考えています。僕自身もそうですけど、時代そのものが多様性のほうが主流という時代になってきてるって思うし、いろんなことがその方向に向かってます。 『キキマス!』をやりながら思うんだけど、テレビも、ラジオもそうだけど、あるひとつの思想や思考に振り切るほうが人気が出てくるんです。いろんな考えがあってさ、そういうのもいいよねって。いろんなものがあっていいんだよねって、僕は思うんです。答えって、ひとつじゃないんだよって。

  例えば、アメリカのグラミー賞。主要4賞っていわれる「年間最優秀レコード」「年間最優秀アルバム」「年間最優秀楽曲賞」、そして「最優秀新人賞」の他にも、アレンジだとか、プロデューサーだとか、パッケージであるとか、たくさん賞があります。1つの曲でも楽曲としてであったり、ライブパフォーマンスとしての評価もあったり、評価のされ方もいろいろなんですよね。今年のノミネーションリストを見ても、多様性が認められているからこうなるんだなって思います。

 ONE DIRECTIONの人気もそうでしょう。オーディション出身で、とにかく歌がうまくて、楽曲も大人気です。楽曲を自分たちで作っていたり、演奏しているわけじゃない、アイドルじゃんっていう人もいるよ。だけど、そういうのをケンケンしてもさって、すげぇ思うんだよね。今はさ、その音楽は演奏している人が作ったものなのか、楽器を自分で演奏しているのか、自分で歌っているのかどうかとか、ぶっちゃけどっちでもよくて、いい音楽ならいいじゃないって評価する時代。評価をするにも、やり方は一つじゃない、答えはひとつじゃないってことなんですよね。

 13日の放送の『キキマス!トピックス』のコーナーで、今週末行われる「センター試験」を紹介しました。2020年度をメドに新しい試験が導入されるという話でしたけど、いろいろ変わるんだそうです。出題の方法が教科の枠を越えたり、回答の仕方もマークシートだけじゃなくて記述式にもなるとか、何度も受けられるようになるだとか。試験がその後の社会生活を送っていくうえで何を意味するのかっていう、本質的なところが問われていくんだろうね。これも、答えが一つではないってこと、多様性の方向に行ってるんだと思います。みんな、つながってるなあ。

大谷ノブ彦 カタリマス!(裏)第24回 ラジオ界のボケになりたい。

2015.01.07 Vol.633

 年末年始も『キキマス!』はいつも通りに放送していたわけですが、一般的には今週から仕事始めなんでしょうか。この「カタリマス!」の連載も新しい年になって初めてですね。担当から「……ありがちですけど、新年の抱負なんかを…」というリクエストがありましたから、それから始めたいと思います。

 今年の抱負は、ラジオでボケになる、それを目指すってことです。

 年末にマキタスポーツくんと話してたんです。長渕剛ってスゲーなって。長渕さんって、気がつけば“ツッコまれる人”、“ボケ”になってるって思いませんか。いろんなところでいろんな人からツッコまれて、それがすげぇ面白いんです。
 

 長渕さんって時代によって変わる人です。いい兄ちゃん像をやってた時期、フォーク期があって、石井聰亙監督の『爆裂都市』とかに影響を受けてるんだろうなっていうマッドマックス期。『HOLD YOUR LAST CHANCE』のバンド期に、チンピラ・やくざ期、その後にはインドかぶれ期っていうのもあって、今はブルース・スプリングスティーン期ですよ。革ジャン着て体を鍛え、取材する前にもトレーニングをする。それってすごい面白いじゃないですか。全部突っ込ませるんだから。

 今、テレビに出ている人って、みんなツッコミじゃないんだよね。みんなボケなの。お笑いだけじゃなく、スポーツとか、他のジャンルもね。長渕さんもそうでしょう。そういう人たちを見て面白いって思うようになってるんです。僕も年末年始にテレビに出演させていただきましたけど、変な人っていうか、よく分かんない人でしたよね。テレビに出てるのにラジオラジオって言い続けてて。現場では滑ったって思いましたけど、見てて面白かったって言ってくれる人もたくさんいて。それでいいんだって思えました。

 だから、ラジオでもそれになりたい。普段からラジオを聞いていただいている人は、何やってるんだ、ふざけたことをしやがってっていう人もいるかもしれないし、マキタスポーツくんが言ってた “通りすがりの正義”を振りかざす人にも出会うだろうし、ツッコミがはいると思います。でも、僕は正しいか間違いかをジャッジするんじゃなく、ほとんどが正しいんだって言える、多様性を評価する人でありたいなって思うんです。もちろん自分のなかで一つか二つぐらい提示できる何かは持っていたいと思うけどね。

 僕は裸になりたい。まっさらになって、外圧によって変化していくことを楽しみたいんです。手始めに僕は、家の本、CDを捨てようと思ってます。

大谷ノブ彦 カタリマス!第8回 「こっち側の人間」とか、つまんない。

2014.12.22 Vol.633

 年も押し迫ってくると、いろんなベストテンが出てきてます。映画、音楽、本……とにかくいろんなものの今年のベスト、さらにはワーストまでもが発表されます。並べられた作品から、選んだ人の視点が見られるのはすごく楽しいんですけど……なんかこういうベストテンみたいなの、どうなんだろう。それが悪いわけじゃないけど、少なくとも僕のなかではピンと来なくなっちゃった。

 例えば、映画。僕が今年初めて体験したことに「劇場でこんなに笑ってる!」っていうのがありました。『劇場版 テレクラキャノンボール2013』と『ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE 2』だったんですけど、この2作品、ベストテンにはほとんど顔を出してないんですよ。いわゆる映画じゃないってとらえられてるのもあるんでしょうけれども。10億円市場だっていう、確実に人が入ってる女子中高学生が見に行く映画がありますけけど、これも批評の対象にはなってないんです。

 こういうものをすべて一緒くたにして並べられないならベストテンみたいなのをやってもどうなのって思いませんか? 枠からはみ出しちゃったものは見ない、批評の対象にしない。誰かが決めた枠のなかで成立してるものを相手にするのって、1つのコミュニティーのなかでやってるだけじゃないかって思ってしまう……。「俺、そっち側じゃなくて、こっち側の人間だから」ってさ。新しいエンターテインメントって、その枠を飛び越えて出てくるものだと思うんだけどなあ。大ヒットした『アナと雪の女王』だって、作品の質感だけじゃなかったと思います。みんなで歌うだとかそういうもの含めてのものだったと思うんですよ。 

 そんなこともあり、今年は「映画って何だろう」「音楽って何だろう」「ロックって何だろう」、さらには「お笑いって何だろう」…ってことを改めて考えることが多かったし、「枠の中は対コミュニティー」っていうのが明確に出てきたと思っています。映画でも音楽でも何でも、いろんな作品があって、いろんな人がいて、そこで自分の役割をまっとうしている。だからこそ、面白さがあるなって思うんです。それなのに「こっち側の人間」とか言ってたら、つまんないでしょって。そういう思いが強くなった1年でした。番組でいろいろな人のお話を伺ったこともそう思うようになった大きな理由だと思います。
 さて『キキマス!』は年末年始も休まず生放送です。さらに僕、大みそかの特番もパーソナリティーを担当させていただきますので、よろしくお願いします。

大谷ノブ彦 カタリマス!(裏)第23回 『キキマス!』からドラマ主演まで! なんかすごい、2014年。

2014.12.17 Vol.632

  今年も残すところ、あとわずかになってきました。クリスマスも来週。もうすぐですね。

  クリスマス・イブの24日、ついに主演ドラマがオンエアになります。タイトルは『e-のスピリット』。以前、このコラムでも少しお話しましたが、本当です、主演なんです。2014年は『キキマス!』が始まって、『ゴッドタン』があって、そしてドラマ主演まで。なんか、すごいですね。

  地球を守るヒーローを選ぶオーディションをするというドラマで、僕は怪しい試験官・一石(いっせき)という役どころ。雑誌に掲載された募集広告を見て集まった若者8人を面接していきます。「どうしてヒーローになりたいの?」「ヒーローになると死ぬこともありますけど、それでもなりますか」。いろんな質問をぶつけていくなかで考え方が変わってきたりして面白い。「君は自分の名誉欲のためにヒーローになりたいんだ」なんて追い込み方もします。性格がめちゃめちゃ悪いの。僕に、ぴったりじゃないですか? そのやりとりが、出演している役者さんそれぞれの人生に照らし合わせたものになっていくっていう。撮影も楽しかったなあ。みんな、知恵熱出してました。TBSの『オトナの!』(毎週水曜深夜1時46分〜)のなかで流れるのでよろしくお願いします。

 僕、このドラマに関わることができて、すごくうれしいんです。なぜかっていうと、これ、広告とクリエイティブがうまく融合してひとつの作品になっているからなんです。キャスティングを軸にいろいろな事業を展開している「e-sprit」さんの一社提供で、会社は自分たちのことを宣伝したくてやってるわけだけれど、実際にはドラマを作ってるだけで企業の広告を出してるわけじゃない。クレジットは出ますけど、それ以上のことはないんです。オーディションを題材にしたドラマという作品で、伝えたいメッセージを表現している。このコラムでも何度か触れましたが、CMプランナーの澤本嘉光さんの仕事もそうですよね。広告なんだけれども、犬のお父さんたちがどうなるのか気になって見ちゃうっていう。このドラマもできてるんじゃないかな。

 音楽は、the telephonesの石毛輝くんがやってくれてます。それも楽しみですよ。

 クリスマス・イブには『e-のスピリット』をよろしくお願いします。上戸彩さんがパーソナリティを務める『第40回ラジオ・チャリティ・ミュージックソン』(ニッポン放送、24日正午から24時間)もね。

大谷ノブ彦 カタリマス!(裏)第22回 ベイスターズを応援するための物語ができた!

2014.12.15 Vol.632

 今年最後のリスナー感謝ウイークの真っ最中です。初日の8日は、大阪から浜村淳さんが駆けつけてくれましたが、出演が終わったらそのまま新幹線に乗って大阪に帰っていきました。番組が終わるころにはもう静岡ぐらいまで行ってるっていう……なんだか、すごいですね。

 今年も残すところわずかです。1年を振り返ったり、来年の抱負だとか、やりたいことを考える時期になってきました。このコラムでもそれを……っていうもんで、分かりました! 「来年は横浜DeNAベイスターズを応援することに決めた」で、どうでしょう。この1年で、そのための物語ができたんです。

 4月に番組がスタートして、野球はもちろん、いろんなテーマでお話をしてきました。面白いって思うことばっかりだったけど、なかでも特に面白かったのがベイスターズ! というか、ベイスターズのファンが面白い。番組でも取り上げたけど、「ベイスターズのためにクライマックスシリーズを残してほしい」だとか、2013年のシーズンが終わってベイスターズが掲げた目標が「来年はクライマックスシリーズに行きます!」だったとか。それに対して、ファンが「オーッ!」って素直に盛り上がっていただとか……ベイスターズを取り上げると寄せられるメールが面白すぎる。 番組を一緒にやってくれる脊山さんもユニフォームを持ってるぐらいだし、面白い人はみんなベイスターズファンなのかって思います。

 子どものころから野球が好きで、地元に近いチームということで広島、好きな選手や監督がいるから中日と、いろいろ応援をしてきました。で、ベイスターズを応援しようって決めるには、面白いに加えて、もうひと押しが欲しかったんですよね。なんか、応援するストーリーが欲しくって。そこで、坪井智哉コーチなんです。来シーズンからベイスターズの一軍打撃コーチ補佐に就任が決定。これでできました、物語が!

 自分のブログにも書いたんですが、坪井コーチとはちょっと思い出があるんです。大地さんがエアギターで世界一になったというのに、ダイノジがうまく行ってなかったころのこと。ダイノジで北海道のレギュラー番組を持っていたこともあって、日本ハムファイターズの試合もチェックしていたんですが、そこで見た坪井コーチ、いや、坪井選手のヒーローインタビューがめちゃめちゃ面白かったんで、その思いの丈をブログに書いたんです。そして、優勝パレードの時。番組で中継に行ったら、坪井さんが僕を指さしていったんですよ。「ブログ、ありがとね」って……。

 阪神、日本ハム、オリックスと球団を渡り歩き、アメリカにも行っていた坪井コーチ。僕なんかのブログを読んでいてくれた彼がベイスターズに! これはもう、ベイスターズを応援するしかありません。2015年は坪井コーチを見るってことでベイスターズを応援していきますよ。今のところは面識っていってもブログの件しかないんだけど、もっと近づけたらなって思っています。

 沖縄キャンプも見に行く予定です。みんな、野球のキャンプ、行ったことがありますか? 行ったらいいよ。野球が分かんなくてもお祭りだから。行けば楽しいの。みんなで僕とキャンプを楽しもうよ。……どっかの媒体、その様子、密着してくれないかなあ。ねぇ、TOKYO HEADLINEさん…?

大谷ノブ彦 カタリマス!(裏)第21回 人生、山あり谷あり……大谷あり

2014.12.03 Vol.631

 THE MANZAI、決勝大会進出者が発表されました。……ダイノジが残れなかったのは残念ではありますが、気持ちはもう次に行ってます。今回選ばれたメンバー、若手も多いですが、博多華丸・大吉さんや二丁拳銃さんとかベテランもちゃんといる。大地さんには、ダイノジもまだ可能性あるぞ、腐らずにやるぞ、来年は決勝だぞ!と。もうそういう気持ち。そのためにも、42歳の老体に鞭を打って、手を抜かず、必死にやろうと思います。そうしたら来年泣けると思う。身体的じゃなくて、自分のなかで盛りあがるって意味でね。
 

 そんなことがある一方で、仕事にはいろんな広がりが出てきてます。いろいろな司会とかドラマの主演とか! また『ゴッドタン』にも呼んでもらえるみたいだし。これ、「言われたとおりにやる」ってことをしてるからかなって思います。そこに楽しみとかやりがいも感じてるしね。

 芸能界とか芸人とかエンターテインメントの世界では「言うことを聞く」ってこと、大前提なんです。自分のやりたいことをやる、自分が面白いって思ったことをやるって、すごくカッコよく聞こえるけど、これって実は空気が読めてないってことでもある。これ、『キキマス!』で各曜日のキキマスターや、ゲストにお招きした人たちとお話しするなかで、改めて気づかされたことです。ここでも、何回か書いてきました。大前提であるこのこと、振り返ってみると、ターニングポイントになってます。以前読んだインタビューで、さまぁ〜ずさんも言ってました。売れた理由は台本通りにやるようになったからだって。

 例えば僕、改名して、大谷ノブ彦になりました。『いいとも!』にも出ていた開運アドバイザーの安斎勝洋先生とご一緒したことがあって、ちゃんとお金を払ってお願いしたものです。それまで改名とかそういったものはまったく信じてなかったんですけど、出口が見えなかったり、プライドが高すぎるだとか、思いあたることがたくさんあったし、大地さんがエアギターで世界一になったにも関わらずうまくいかなかったのも全部、僕のせいだって思ってて。とりあえず、改名したほうがいいよっていうのを信じてみたんです。

 それから変わったかっていうと、変わった。だけど、それは改名したから変わったんじゃなくて、僕自身が改名をするという人に変わったからなんですよね。神社に行ったのにいいこと起きなかったって平気で言っちゃう人、いるじゃないですか。そういう合理的な発言も分かるけど、やったらいいよ、行ったらいいよっていうのをやった人にはいいことが起きるもの、夢も叶うものなんです。

 でもそういうターニングポイント、その時は分からないもんなんですよね。だいたい3年ぐらい後に振り返って答え合わせで分かるもの。これがあったからこそ、今がある。あれがあったからこそ今の自分がある。そういう因果関係はほとんど後付けです。もっと複雑で濃厚で緻密で、詳細な出来事の集合体で人生ってできているものだから。

 来週8日から、今年最後のスペシャルウイークが始まります。番組では『キキマス!人生劇場 人生は山あり谷あり大谷あり』と題して、浜村淳さん(8日)、板東英二さん(9日)、坂上忍さん(10日)、そして僕がオールナイトニッポンでアシスタントを務めた華原朋美さん(10日)を生放送でスタジオにお招きして、それぞれの“山あり谷あり大谷あり”を伺っていきます。みなさん、いろんなことを乗り越えてきた方々だから、いろんな話、聞けるんだろうなあ。

大谷ノブ彦 カタリマス!第7回 僕の役割は「なぜ素晴らしいのか」を伝えること

2014.11.23 Vol.631

 12日のコラムでは、番組にお招きしたCMプランナー澤本嘉光さんのお話が目からウロコだったということを書きました。みんながスマホを持っていてradikoというアプリがある今は、歴史の中で最も多くの人がラジオを聞けるハードを持っている時代だと言われたことで、僕が持ってたラジオのイメージであるとか、よく耳にするラジオを聞く人が少なくなってるっていうネガティブな意識を覆してくれたんです。

 それから考えていたのは、どうしたらラジオを聞いてもらえるのか、アプリをインストールして、それを立ち上げてくれるのかってこと。そんなふうに思ってもらうためには何ができるのか、自分の役割ってなんだろうって。それで思ったのがレコメンド。しゃべって見方や解釈の仕方を紹介すること、それなんじゃないかな。

 僕、人に何かをオススメするとか何かについて話すっていうのが好きだったみたいなんです。僕が通っていた高校は進学校で、放課後みんな残って勉強してるような学校でした。女の子と話すことなんてなかった高3の時、女の子に日本史を教えてって言われたんですよ。ドキドキしながら「この人は、昼ドラにおけるなんとかですわ……」って、ミニコントというか、物語調で話したらすごく評判が良くてね、次の日もやってって言われたんです。初めて女の子に求めれられて、調子に乗って、それからはそのために準備をしたりしてね。それが今につながっています。

『キキマス!』には毎日、僕が音楽を紹介する「大谷レコメンド」というコーナーがあります。レジェンド、若手、音楽の国籍とかジャンルなどにこだわらず、僕がオススメしたい楽曲を紹介するコーナーで、いつも熱を持って、なぜその曲が素晴らしいのかをお話しています。

 作品を手に取るうえで重要なのが批評やレビューです。いろんなレビューがあふれているなかで大切なのが勧めてくれる人のパーソナリティーだったり、レコメンド能力の高さだと思います。情熱があって、愛情があって、情報量がある。そういうこと。

 僕がレコメンドをするうえで興味があるのは、どうしてその曲がすばらしいのか、どうしてその曲が愛されるのか、またなぜヒットしているのかというところ。「それは批評じゃない、レビューじゃない」って批評もありますけど、売れ線だからダメだっていうようなものとか、ただ否定すればいいっていう価値観、今はもう響かないんじゃないかなって思います。

大谷ノブ彦 カタリマス(裏)
第19回 澤本嘉光さんの話で燃えあがるラジオ熱

2014.11.12 Vol.630

 目からウロコ。『キキマス!』をやっているなかで何度もこんな瞬間を経験してきましたが、今回はすごかった。CMプランナーの澤本嘉光さんの話です。澤本さんは、ソフトバンクの犬のお父さんだとか、東京ガスの『ガス・パッ・チョ!』などを手掛けた方で、10日に番組に来てくれました。

 CM作りや今のCMを取り巻く環境など、短い時間のなかで、いろいろお聞きしました。CMを飛ばしてテレビ番組と録画できる機能があるからこそ、見たいと思ってもらえるCMを作ろうとしているという話。またACC CM Festivalの話も出ました。澤本さんは、ラジオCM部門審査委員長を務められていたということもあって、ラジオCMの魅力、さらにはラジオの可能性へと話は広がりました。

で、澤本さん、「今って実は、過去最高にラジオを聞くハードが普及している時代だ」っていうんです。ラジオが聞けるアプリ『radiko』があって、スマホを持つ人も増えている。ラジオを持っていなきゃ聞けなかった時代と比べたら、今のほうが、ずっとラジオを聞きやすい状況でしょって。どこに行っても、「ラジオを聞く人がいない」って話になることが多いなかで、はっとさせられました。僕はもちろん、番組スタッフも含めて。

 もうすでにみんな分かってることだと思うけど、スマホはエンターテインメントの中心になってます。音楽を聴く時間も、映画を見る時間も、テレビを見る時間も、本やマンガを読む時間がすべてカットされて、その分がそのままスマホに移行しているとも聞きます。ラジオだってそれに含まれてます。だったら、そういう楽しまれ方のなかに入っていかないと。そこで、何ができるのか、何してったらいいのか、それを考えよう、やろうっていう。毎日、いろんな方からお話を伺っていますが、こういう出会いがあるから、面白いんだよなあ。

 実はこれ、お笑いも例外じゃないんですよね。スマホでネタを見るとしたら1分ぐらいが限界だと思うと、レッドカーペットが象徴的だったなあ。だけど、ダイノジは10分なんです。10分なら必ず笑いがとれるし、自分で言うけど、いい漫才すると思う。今、THE MANZAIで4分のネタをやるわけだけど、それでさえ難しいです。きっと僕らだけじゃなくて、他の芸人も感じてることだと思います。そうしたお笑いとスマホとの相性の悪さがあるなかで、どう折り合っていくか。劇場に来る人がスマホを持ってる、それにどう関与するか。より考えなきゃいけないなあって思います。

 10日の放送終了後のスタジオでは、僕もスタッフも残って、話が止まりませんでした。いろいろ考えて、またこのお話したいですね。

GLAYがアルバム試聴会「真面目にやってりゃ、いいことある」

2014.11.07 Vol.630

 ロックバンドのGLAYが4日、EX THEATER ROPPONGIで最新アルバム『MUSIC LIFE』の試聴会を開いた。アルバムの収録曲7曲を大音量で鑑賞するもので、GLAYのメンバーや同アルバムのプロデュースを手掛けた亀田誠治も登壇。MCを務めたお笑いコンビのダイノジも加わって、制作時のエピソードなどを含めたクロストークで最新作について語った。

 リーダーのTAKUROによれば、「多幸感」という言葉が飛び交うなかで制作されたという本作は「すごく明るい」。亀田にドラムがいないのがGLAYの強みと指摘されたことから、さまざまなドラマーに出演オファーした結果、高橋まことを始めとする数々の名ドラマーとの共演が実現したことも明かした。

 本作はまた、アルバムのジャケットを、ビートルズの『リボルバー』のジャケットを担当した独イラストレーターのクラウス・フォアマン氏が担当したことも話題。TAKUROは「真面目にやってりゃ、いいことある」と満足げだった。

 29日から全国ツアーがスタート。GLAYテイストのロックショーで、「体を張った映像」演出も予定されているという。

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