舛添要一前東京都知事の辞職に伴う東京都知事選(14日告示、31日投開票)への立候補を表明していた衆議院議員の小池百合子氏が11日、都庁で会見し、公約となる政策を発表した。
小池氏は最初に「基本姿勢は『東京大改革宣言』」と切り出し、「都政の透明化」「オリンピック・パラリンピック関連予算。その運営の適正化」「行財政改革の推進」「身を切る改革――都知事の報酬の削減」「特区制度の徹底活用」の5つの柱を掲げた。
その実現のために「新しい3つの東京を作っていく」とした。それは「セーフシティ」「ダイバーシティ」「スマートシティ」の3つ。
セーフシティはより安心、安全な首都・東京を作るというもので、住宅や建造物の強靭化・耐震化、不燃化といった防災に関する政策。小池氏がかねてから推し進めている“無電柱化”も含まれる。また町会組織や商店街を「東京の財産」として、これらの機能を高め、有効に活用するための制度作りにも言及した。
ダイバーシティは女性も男性も子どももシニアも障がい者のすべてが生き生きと生活して活躍できる都市・東京を作るということ。2020年東京オリンピック・パラリンピックを契機に東京のユニバーサル化を図るという。また問題となっている待機児童については「限りなくゼロに近づけたい」ということで、空き家を利用した小規模保育所といった場所の確保はもとより、「保育士の待遇改善が問題」とし、その予算については「どんどん膨れ上がっていると聞いているオリンピック・パラリンピック予算をよく精査し、そのお金を都民のために使っていく。そのためにも予算の適正化を掲げた」と話した。また舛添氏が韓国人学校の用地にするために韓国政府に貸与する計画を進めていた市ヶ谷の都有地については「保育と高齢者施設を合体させたもの」を構想。ただしそれには国政において厚生労働省、文部科学省という縦割り行政の高い障壁があるのだが、「都民のニーズを優先し、縦割りを排していく。そのリーダーシップを握っていきたい」とした。
スマートシティは世界に開かれた環境金融先進都市・東京を作っていくというもの。すでにいろいろな省エネ策が取られているが、それを東京都知事としてもう一度推進していく。また金融においては「現在、アジア№1の座はシンガポールなどに奪われている。それを取り戻すためには特区の活用が必要。特区は整っているのにやっていないだけ。それを強力なリーダーシップで進めていく」とした。
小池氏は「企業・組織・個人といったみんなが参加し、“都民の都民による都民のための都政”をしっかりと取り戻し、一部の方々によって、いつどこで何が決まっているのか分からないといった状況を脱出して、透明性のある都政にしたい。都政への信頼回復こそ、いくつかある政策を実行する最大のエネルギーになる」と語った。
また、この日正式に出馬を表明した増田寛也氏は東京の一極集中を批判してきたのだが、その増田氏が東京のトップを目指すということについては「これまでやって来られたことの真反対をしなくてはいけない。なかなか説明がつきにくのではないかと思う」としたうえで、一極集中については「確かに一極集中している。問題も多い。しかし東京は日本のエンジン。選択と集中という観点からは稼ぎどころの東京で、経済も住んでいる人も充実したものにしていくことによって日本全体が引っ張られるという形になる。しかし、ただただ貢ぐ都市になってしまう、またそうしてはいけないと思う」という見解を示した。
舛添前知事が計画した虎ノ門のシャンゼリゼ構想や東京ブロードウェイ構想については「フランスから来た方が日本のシャンゼリゼ通りに行くとは思わない。インバウンドの方にはなんら魅力がない。“なんちゃって”になると思う。江戸の町をもう一度作るといったことならともかく、海外の物まねをする必然性は全くない。海外のものが素晴らしいと思うだけではなく、もっと東京や日本に自信を持って街づくりをすることで、インバウンドが増えてくると思う」と語った。