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大谷ノブ彦 カタリマス!(裏)
第40回 マグロック復活! ダイノジがフェスをやります

2015.06.03 Vol.643

 毎日暑いですね。もう、夏。夏といえば夏フェス。ビッグフェスの出演ラインアップも充実してきてフェスムードが高まってきました。そんななかで、『キキマス!』でもお知らせさせていただきましたが、ダイノジ、野外フェスをやります。場所は静岡の清水マリンパークで、日程は10月3・4日の2日間。1日目が『マグロックフェスティバル2015』、2日目が『フジソニック2015』。つい先日情報解禁になったんだけど、「マグロックってなんだよ…!」「フジソニックっていったいどっち?」なんて、SNSでは話題にしてくれて、すごくうれしいです。……だって、これ、リベンジだから。

 僕ら8年前に野外フェス「マグロックフェス」をやってるんです。同じ静岡の、同じ場所で。当時は、単純に野外フェスをやりたくて、当時の最高のメンバーに出てもらって。豪華だったんですよ……。でも、大赤字。僕の最初の挫折です。それから大地さんと僕は小さなイベントにいっぱい出演するであるとか、たくさん働くことになりました。そのうちフェードしようなんて思ってたDJだって、辞められないじゃんってことになりました。その記憶があるから、どんなことにせよ話題にしてもらえることがうれしいです。

 今回のフェス、静岡朝日放送さんと一緒にやるんですが、話を聞いたのが去年、おととしぐらいだったかな。ダイノジ20周年でいろんなことをやってきたのもあるし、この7年間でいろいろ経験してきたなかで、今、僕らがやりたいって思うことなんですよね。例えば、元気づけたいって復興地に行きます。だけど、もう地元の人たちは他から人を呼んで盛り上がろうって、自分たちでコンテンツを作っているんです。これって復興地だけのことじゃなくて、他の地方に行ってもそういった時代の流れを感じます。だったら、ダイノジもそれになりたいなって。漫才でも、DJでもなんでもいいから、盛り上がろうっていう人たちと一緒にやりたい、お手伝いしたいと思っていろいろやってます。

 さて、フェスに話を戻しましょう。マグロックには、キュウソネコカミ、Fear,and Loathing in Las Vegasといった僕らがいま見てほしいと思っているバンドが中心のラインアップ。2日目は静岡出身の電気グルーヴ、静岡育ちの吉井和哉さんと、静岡にゆかりのあるアーティストを軸にした少し大人のロックフェス。もちろん、DJダイノジは2日間とも出演します。出演アーティストは今後もどんどん追加されていきます。まだすごい人が控えてますから楽しみにしていてくださいね。

大谷ノブ彦 カタリマス! 第13回 みなさんの代わりにお話を「キキマス!」。

2015.05.25 Vol.643

 すげーことが起きました。僕、あの沢口靖子さんとしゃべったんですよ。『澪つくし』の沢口靖子さん、『科捜研の女』シリーズの沢口靖子さん、第1回東宝シンデレラガールの沢口靖子さんですよ! 僕らの世代にとっては、もう、お姫さまのような方です。そんな沢口さんと、お話できるなんて! 10代のころの自分に自慢したい。

 あこがれの沢口さんにお会いできたのは、もちろん『キキマス!』をやっているからです。沢口さんには25日に登場していただきますが、先ほど挙げた出演作品やご自身のこと、そして最新舞台の『台所太平記』(明治座、6月4日〜)のことなど、いろいろなお話を伺いましたので、放送を楽しみにしていてください。

 沢口さん、本当に素敵な方です。おきれいなのはもちろんなんですが、僕がイジられたら、それをたくさん笑っていただいて。うれしかったなあ。大阪のご出身ですから「笑い」との距離もすごい近いのかな。楽しかった。最後にはちゃっかり、握手までしてもらっちゃいましたしね(笑)。この手の感覚が残っているうちに、舞台も見に行こうと思っています。

 沢口さんはもちろんですが、『キキマス!』をやっているなかで、あこがれの人であるとか、俳優や女優さん、ミュージシャン、芸人、いろいろな方のお話を伺えるのは、とっても光栄なことです。どなたとお話していても「おもしろい」って思うことばかりですし、楽しいんです。

 こうやって番組を通じてお会いしてお話すると、普段よりもずっと話ができるような気がします。例えば、ミュージシャンの方々。仕事以外で話す場面はたくさんあるんですけど、そういうところでは僕、全然話さないんですよ。というか、話せない。何を話していいのか分からない。だからミュージシャンの友達っていないんですよね。芸人のなかにはすぐ友達になっちゃう人もいるけど、僕にはそれができないんだなあ。でも、それが番組で話すとなると別の話で、いろいろ話したくなっちゃう。仕事だからっていうのもあるんだろうけど、それだけでもない。僕はきっと、「たくさんの方に聴いてもらうために誰かの話を聞く」ことが好きなんだろうなって思います。自分のなかに留めておくんじゃなくて、外へっていう。それに聴いていただくためってなると、話す相手も、うざいような愛情を受け止めてくれるところもあると思うしね。

 これからも、みなさんの代わりに、いろんな方のお話を聞いていきたいと思います。

大谷ノブ彦 カタリマス!(裏)
第39回「大谷に敵はいない」

2015.05.20 Vol.642

 先週末は「ABSまつり」で秋田に行ってきました。『キキマス!』でも話したし、自分のブログにも書きましたが、あったかくていいイベントでね。お客さんもたくさんきていただきました。秋田のお客さんは、しっかり見てくれてるんだなって感じでした。もしかしたら、人によっては「ノリが悪いな」って感じちゃう雰囲気なのかもしれないけど、じっくり見たうえで笑う、みたいな、僕にとってはすごくいい感じで。ついつい出演時間もオーバーしちゃいました。……秋田、好きだなあ。

 仕事でいろんなところに行かせてもらっていますが、お客さんだったり、その土地の食べ物だったり、いろんなことからその土地に想いをはせます。秋田でも鍋にトッピングされてた白いネギの甘さの向こう側、名産の「いぶりがっこ」もそうですね。帰りの空港で知った「ババヘラ」っていうアイスクリーム。おばちゃんたちが、ヘラでコーンに盛ってくれるジェラードっていうかそういうものらしいんだけど、そこからおばちゃんたちを想う……。やっぱり、秋田好きだなあ。

 行くところ行くところ、好きになっちゃうんだよね。本当に好きなところばっかりです。もう、みんな好き!

 そんなことを考えてたら、これって地方の魅力に限ったことじゃないかもしれないなと思いました。僕ね、映画にしても、音楽にしても、芸人にしても、みんないいなって思っちゃってるんですよ。どんなものでも一歩近づいてみると「おもしろい」だとか「いいな」ってところがあって、そう感じると好きになる。「自分の好みじゃないんで」って距離を取ってたら、この感覚はないんじゃないかなあ。

 で、思うんです。そういう俺、無敵じゃないかって。今の大谷に敵はいないぞって。なぜなら、みんな「いい」から。誰のことも敵だと思っていないからです。何を言ってるんだって言われるだろうけど、本当にそう思ってるんですよ。いろいろあっていい、いろいろあるからいいんじゃないって。そう思えれば、誰でも無敵。だから、俺は無敵なんです。

大谷ノブ彦 カタリマス! (裏) 第38回 「〇〇の日」は〇〇に想いをはせる日

2015.05.14 Vol.642

 ゴールデンウイークの連休明け、2日ほど布団に潜っていました。体調を崩しながらも、6日は駒沢公園の「肉フェス」から『キキマス!』の公開生放送をどうにか終え、病院へ。本当に声が出なくなってしまって、翌7日の放送はお休みさせていただきました。何年かに一度、何もできないほど体調を崩すことがあるんですよね……こればっかりは、どうにもならない。いい先生に診ていただいて、どうにか復活。9日の土曜日から仕事に戻りました。『キキマス!』にも月曜日から復帰。「よしもと」ってすごいね、月曜は仕事が6カ所でありましたよ…

 伏せっていた2日間、考えていたのが母や家族のこと。母親とあとどれぐらい一緒に時間を過ごせるんだろうなって。スペシャルウイークで介護のことが話題になったし、SMAPの中居さんが、ニッポン放送でやっている彼のラジオ番組でお父様が闘病の末に2月に亡くなられていたことをしゃべりましたよね。俺はまだ肉親を亡くした経験はないんだけど、中居さんとは同い年だしね。自分が体を壊してたことも影響してるんだろうけど、余計にそんなことを思ったんです。
 

 番組でも話したんだけど、そんなふうに考えていたことをツイートもしたら、いろいろな反響があって、みんなにとっても、あるあるなんだなって思いました。お母さんに想いをはせる感じとかがね。10日は母の日でしたけど、感謝するのはもちろん、そうやって想いをはせる日なのかなって思います。これが父の日でも、他の日でも同じです。きっと、そういうことに気づくために、あるんだと思います。

 今、アメリカで人気の動画があります。『World’s Toughest Job』っていうタイトルなんだけど、ビデオチャットで就職面接をするっていう内容で、面接官がすごいハードな仕事だ、時間は関係ないし休みもない、とすごい条件を付き突けるんです。…とどめにサラリーはゼロ円とくる。面接を受けている人は、無理だよっていう当然の反応です。で、面接官はいうんです、今もその仕事をしてる人がいるんですよ、「Mom(お母さん)」って。

 仕事に復帰した土曜の夜、焦りにも似た気持ちから、大分にいる母親に「1カ月でも2カ月でもいいから、東京に出てきて一緒に暮らさないか?」とメールしました。母親は今も大分にいて、弟が面倒を見てくれています。弟がずっとやっていることを、1カ月、2カ月っていう短時間でやろうしてるなんて都合がいいとは思うけど……。で、母親の返事はというと、「なんの罠?」でした。  

 あの時、母が何を考えていたのか。40を超えてくると、そういう思いに寄りそっていくのが生活の一部になってきているような気がします。母を、妻や息子に置き換えても同じですね。そういう家族っていう、ちょっと厄介なものが今、非常に楽しいんです。

大谷ノブ彦 カタリマス!(裏)
第37回 子供が喜ぶことをしたい

2015.05.06 Vol.641

 ゴールデンウイークですね。『キキマス!』もゴールデンウイークムードで、4日、5日と放送がお休み。こどもの日にちなんでというわけでもないんですが、僕がやっている「キッズジャイアン」について話したいと思います。

「キッズジャイアン」というのは、DJ ダイノジでやっているパーティーのひとつです。タイトルの通り、子供も親も一緒に踊ろうよっていうことを意識したものです。子供の好きそうな曲をかけるっていうのもあるけど、ダンスを簡略化してみんなで踊ります。例えば、『恋するフォーチュンクッキー』のダンス。フリを完コピしてみんなで踊るのもいいんだけど、「そこはいらない!」と振り付けをシンプルにして一緒にやってみる。阿波踊りの踊り方を紹介してから「今日はこれを、ものすごい速さでやります。高速阿波踊り、できるかー!」と、すごい早い曲に合わせて踊らせる。みんな、大喜びです。

 最初は3年ぐらい前になるのかなあ。DJイベントに遊びに来てくれている子のなかに保育士さんがいて、「ぜひ、幼稚園に来てください」って言われたんです。幼稚園っていうと漫才っていう訳にも行かないし、DJだろうって。子供たちが好きな曲とかを散りばめたようなセットを持っていったんですが、すごい踊るんです。最後には手作りの金メダルをくれて……おじさん、感動しちゃった。子供が喜んでいるって純粋な快楽ですよ。それが、すべてのエンターテインメントのもとだろうと思ったし、だからこそ子供が喜ぶものを作らないとって思いました。それまではお金でしか考えなかったような僕が、そんな気持ちになるやり取りができたことは大きかったですよ。ここから始まって、復興地……僕は被災地ではなくてこう呼ぶんだけど、そこでも子供たちと踊りました。町のお祭りにも呼ばれたときは漫才もさせてもらうんだけど、最後に「じゃあ、ちょっと体を動かしましょうか」って、子供たちはもちろん、おじいちゃんやおばあちゃんも踊りましたね。おもしろかったなあ。

 選曲がカッコいいとか、テクニックがすごいとか、DJダイノジはそういったDJとは違います。DJがものすごくしゃべって、みんなで盛り上がって、一緒に踊る。パーティーもそういう雰囲気。僕らがDJをやってるのって、漫才やコントをするのと同じように、僕らの一つのネタであり、“芸”なんだよなあ。それをどんどん伝えていけたらいいのに。

「キッズジャイアン」は、今は呼ばれてやるスタイルですけど、定期的にやっていきたいと思っています。昼間のライブハウスとか、ショッピングモールとか、みんながふらっと来て楽しめるようなところでやりたい。そのためには、僕らはこういうこともできるよって、大地さんと僕がアピールしていかなきゃいけないと思っています。近々では、「Goody’z DANCE&MUSIC 2015」っていう5月23、24日に静岡の東伊豆町で開催される野外イベントでやります。僕たちの出演は23日です。お時間のある人はぜひ、来てほしい。イベントはもちろん、東伊豆も楽しいと思うしね。

 さて最後に、今週の『キキマス!』ですが、6日からスタートします。駒沢オリンピック公園で行われている「肉フェス」の会場から公開生放送です。これは、僕も楽しみだなあ。

大谷ノブ彦 カタリマス
第12回 人にはそれぞれの役割がある

2015.04.27 Vol.641

 ここ最近考えていることのひとつに「役割」っていうのがあります。というのも先日、日本はもちろん世界でも活躍しているギタリストのMIYAVIさんとご一緒する機会があって、そのなかで彼がこの「役割」ってことについて話してくれたからなんです。
 MIYAVIさん、ハリウッドで映画デビューも果たしているんですよ。アンジェリーナ・ジョリーが監督・製作した

『UNBROKEN』という作品で、日本では公開されてなくて、本国ではいろいろ話題になった映画です。それで、彼にアンジェリーナ・ジョリーから影響を受けたことについて聞いてみたんですが、「ミッション(MISSION、役割)を持っている」ってことを言ったんですよ。映画を制作するにしても、国際的な人道問題や難民問題、避難民などの問題提起にしても、母親として養子を迎えてたくさんの子供たちを育てていることだとか、全部そういうことは、自分の立場がどういう影響を与えるかを分かって、ミッションとしてやっている人だと。

 このこと、プロ野球、広島東洋カープの黒田投手の見方でも考えられますね。男気だ!って世の中が大騒ぎしているなかで、野球解説者の江本孟紀さんは『キキマス!』に来てかなり手厳しいことを言いました。黒田はいるかもしれないけれど他がいない、このままだとカープ危険だよって。それは、江本さんが野球解説者としてのミッションがあって発言しているわけです。その一方で、『週刊ベースボール』を読んでいたら、作家の北方謙三さんが黒田を大絶賛。黒田ほど分かりやすく男気というものを示した人はいない、子供たちに男気を教えたって、正反対なことを言っている。それが、北方さんの作家としてのミッションなんです。
 今、映画『セッション』について議論が起きていますが、これについても同じことが言えるでしょ。ジャズミュージシャンの菊地成孔さんに、映画評論家の町山智浩さんが反応してて、意見がぶつかり合っています。それも、それぞれがミッション、役割に基づいて、映画を見ているからなんです。

 プロ野球にしても、映画にしても、他のことにしても、それぞれにミッションがあり、役割に基づいてやってるって理解したほうがいいよって思います。それぞれの考え方に心酔している人たちが、「正しい」を一個にして、その「正しい」で裁こうとすることこそが、危険だと思うから。でも一番悪いのは、論争を読んで「じゃあ、行かない。見に行かない」ってなっちゃうパターンだけどね。

大谷ノブ彦 カタリマス!(裏) 第36回「じゃないほうの大谷」

2015.04.22 Vol.640

 競馬で勝ったと喜んでいたら、ベイスターズが良くないです。絶不調です。19日の長時間にわたった試合も、最後はエラーでゲームセット。負け方が悪い。どうにか最小限のところで収めて、悲観的なことで知られるベイのファンがネガティブなことを言い出してそのまま毎年のモードっていうのは嫌だなあ。

 一転、良いのは二刀流の日本ハムファイターズ・大谷翔平選手です。開幕4連勝で、完封まで。これまで立ち上がりが良くないっていうのが大谷選手のイメージでしたけど、最高じゃないですか。試合を見ていると、ただ調子がいいっていう感じじゃなくて、自分の弱点に対応して投げているように見えます。制球が良ければ打たれないとか、そういうことを理解している。そして、自分で試合を作り、最終的に試合にも勝っている。ピッチャーは、試合を作ることが大事です。その結果として勝ちがあるんです。一時期、「大谷じゃないほうの大谷!」なんて言われると、何をっ!と思ったこともあったけど(笑)、もうそれでいいよ、そうですよ。「エアギターじゃないほう」、「大谷じゃないほうの大谷」……いったい俺、どこに行くんだろう。

「じゃないほうの大谷」、漫才とラジオスター、どちらに専念すべきか迷っているかと言えば、考えれば二刀流どころじゃありませんでした。漫才、ラジオスター、DJ、コラムニスト……もうよく分からなくなっていますけど、肩書きはもう人に決めてもらえればいいや。僕ら芸人、二刀流どころじゃなくて、何刀流ってやらなきゃだめですからね。どんどん仕事も広がって、先日もついに『プロ野球ニュース』からオファーが来た!……と思っていたら、プロ野菜ニュースですって。プロ野球には遠回りですが、野菜は大好きだしね!いろいろ面白いことがいっぱい転がっていそうで楽しみでなりません。

 さて、『キキマス!』では今週、スペシャルウイークを実施中です。『母ちゃんバンザイ! 泣き笑いウチのオカン伝説』と題して、ゲストの方々にお母さんのエピソードを伺っています。20日は矢口真里さん、21日は『マッサン』のエリー、シャーロット・ケイト・フォックスさんからお話を伺いました。そして22日は西川きよし師匠、23日はピースの又吉くんが登場してくれますのでお楽しみに。

大谷ノブ彦 カタリマス!(裏)
第35回  半チャーハンは愛情のないキスみたいなもの。

2015.04.16 Vol.640

 14日放送の番組のなかで、「半チャーハンは愛情のないキスみたいなもの」っていう話をしたら、たくさんご意見をいただきました。僕に同意してくれる人、ラーメンを食べたあとに一口二口チャーハンが食べたいんだよねっていう肯定派と、いろいろな方から反応があって、面白かったなあ。でもやっぱり、僕は言いたい。半チャーハンは愛のないキス、いやセックスみたいなものだって。

 ラーメンと半チャーハン、半ラーメンと半チャーハンって、単品として出しているチャーハン、ラーメンとは別ものになっている場合がかなりあるんじゃないかなって思うんです。半チャーハンは半チャーハン用に作り置きしてあったりする場合もあるし、ラーメンの半っていうのもね。番組でも話したけど、本来出しているものの半分でそのお店を味わっちゃえみたいなところも、ねえ……。ミニかつ丼とかそういうのもそうです。なんかなあ、嫌いなんですよね。

そのなかで、唯一、僕が好きなのが、神保町のさぶちゃんの「半チャンラーメン」です。元祖といわれるところなんだけど、ここはラーメンとのバランスを考えたうえで、その半チャーハンを作ってるんです。「ラーメン」と「チャーハン」のセットじゃなくて、「半チャンラーメン」という単品なんですよ。

ラーメン店もちろん、食事を提供しているお店は、単品として出すサイズで、一番おいしく感じられるように考えて味を作っていると思います。それを半分にするって……違うんじゃないかなあ。やっぱり、一番おいしいとされる形で食べたいじゃないですか。

単品のサイズの話ついでに、番組ではいいきれなかった「取り分け」問題です。複数で食事に行って注文したものが届くと、ささっと取り分けてくれる方がいらっしゃいますね。それ、僕はいりません。僕がサラダを頼んだとしましょう。そのサラダ、僕はフルサイズで食べたいから頼んでるんです。取り分けられたらもうそれは別のサラダになってしまう。他の方がサラダを食べたいのなら、取り分け用にもう1つ頼めばいいと思うんです。焼き肉でも同じです。よくどんどん肉を焼いて、焼けた肉を僕のたれの皿にポンと置いてくれる人がいる。もちろん肉は食べたいですよ、でもまずは柚子胡椒で食べようと思ってた! そんなこと、あるでしょう? 

「取り分け」ってさ、気がきいてるだとか心遣いができてるみたいに言われたりするし、男性の女性に取り分けてもらうとうれしいなんて意見があったりするし、もはや同調圧力以外の何ものでもない。みんなで食べに行ったとしても食べたいものを自分が思うように食べたい時もある、それを僕は伝えていきたい。取り分けてるときには、一言、声をかけよう。それを広めていきたいって思いますね。だから僕が食べに行ったお店の方、サラダを2皿頼んでも、聞き返さないでください。こういうことなんで。

大谷ノブ彦 カタリマス!(裏)
第34回 何が敵か。

2015.04.08 Vol.639

 今月の2日、『キキマス!』でも予告していましたが、横浜スタジアムに行ってきました。ベイスターズの本拠地開幕戦。対カープの3連戦の最終日。いい試合でした。勝ちましたし、ドラマティックだったし、いい日に観戦できたなって思います。

 この日は、僕と息子、スタッフ、それにニューロティカのあっちゃん、ピエロ姿でボーカルを担当している人ね、そのメンバーで行きました。あっちゃんは八王子でお菓子屋をやっているので、そのお菓子をくれたりするもんだから息子は大喜び。家に帰ってから息子にニューロティカのビデオを見せながら、このピエロの格好している人があっちゃんだよって教えました。息子が「とってもいい人だったから、またお会いしたいって言っていたと伝えておいてよ」ですって。何なんですか、その反応。

 あっちゃんを見ていると、バンドの続け方を見つけた人だなって思います。ニューロティカは去年結成30周年を迎えたんだけど、そのあいだにはバンドブームがあり、バンド的にもいろいろあって、今はオリジナルメンバーは、あっちゃんだけなんです。こういう場合、ライブでは、昔のっていうか、かつての体制で発表した楽曲で盛り上がることが多いんだけど、ニューロティカは新たにスタートを切った楽曲のほうが盛り上がります。これってすごいことですよ。

「バンドってこうじゃなきゃいけない」っていうようなことを言う人、いますよね。それって芸人についても同じで、芸人への愛からそういうことをいってしまうんだと思います。でもそれって、愛があるようでいて、同調圧力であって、一番いらないもの。一番の敵なんです。バンドにしても芸人にしても、いろんな形があってよくて、大切なのはそれを熱を持ってやり続けることだと思います。新学年とか、新社会人とか新しい環境でスタートした人もいると思いますが、そのなかで「こうじゃなきゃいけない」っていうのがあると思う。もちろん、やらなければいけないこともあるよ。それをしたうえで、いろんな形ってあっていいんじゃないかなって思いますね。

 最後になりますが、あっちゃんがどうやって「見つけたか」を知りたい方は、ドキュメンタリー映画『あっちゃん』をぜひ見てください。ニューロティカの結成30周年を記念したドキュメンタリー映画です。朝早く起き、店のシャッターを開け、お菓子を詰める。夜はライブをするか、スタジアムかテレビの前でベイスターズ観戦…そんなあっちゃんの生き方が映し出されています。ちなみに、この映画にまつわる資金はクラウドファンディングで賄われていて、1000万円近い金額が集まったそうです。それだけ見たい、『あっちゃん』の映画を作ってくれよって人がいたってことが、すごいですよね。渋谷HUMAXシネマで、18日から公開です。

大谷ノブ彦 カタリマス!(裏)
第33回 2年目の『キキマス!』は、より”キキマス”に

2015.04.03 Vol.639

 新年度の始まりとともに、『キキマス!』も2年目に入りました。番組の構成も、メンバーも少し変わって、新しいスタート切りました。分かりやすい変化といえば、東島衣里アナウンサーが新アシスタントになってくれたこと。すでに他の番組でも活躍していらっしゃったこともあって、初登場となった3月30日の放送から、届くメールも初めて見るラジオネームの方が多いです。50〜60代の男性も多い。きっと東島さんのファン……。東島さんのホンワカした雰囲気、好きになっちゃうんだろうなあ。

 そのホンワカ感やのんびり感、僕にも伝染しているんです。今週、自分が喋っている量がすごく少ないんですよね。これ、そうしようって思ってやってるんじゃなくて、自然とそうなっちゃってる。東島さんと話すときだけじゃなくて、ゲストやキキマスターのマキタスポーツさんや森脇健児さん、中継コーナーを担当してくれる人、参加してくれるお店の方々、誰とお話をする場合でもそうなの。その人の話を聞く、より“キキマス”な感じになっている気がします。

 振り返ってみると、1年前、『キキマス!』が始まったころって、昼の時間帯の生放送を初めて担当することになって、すごく意気込んでたし、ピリピリしてました。他の番組にはできないこと、自分だからできることをどんどんやっていこう、言いたいことも言っていこうって。そういうことを放送でも話してたと思います。それが、1年間やってきて、余裕も出てきたっていうのもあるけれど、少しずつ変わって来たんですよね。

 一番言いたいことを届けるためにはどうしたらいいか。ちょっと“ラジオスター”みたいなこと言わせてもらっちゃいますけど、オープニングからラストまで、どう構成したら伝わるのか、それが大事なんだよね。すごく当たり前のことだけど。これって、DJをすることにも似ていて、一番届けたいこと、DJでいうなら最大の盛り上げに持っていくために、その前の曲、さらにはその前の曲って遡って構成していくのと同じだと思うんです。常に、自分の意見をぶつけるだけじゃなくて、それをより届けるために、番組の選曲やオープニングのトークの話題も選択していくんです。熱を持ってね。

 最後になりますが、チーフディレクター曰く、東島さんと僕、「姪っ子」と「おじさん」という裏テーマらしいです。いつも顔を合わせる家族の話はうんざりすることもあるけど、たまに会うおじさんなら仕方ないから付き合うかっていうのあるでしょ、そういうの。

 それでは、2年目の『キキマス!』もよろしくお願いします。

大谷ノブ彦 カタリマス第11回 参加することが「おもしろい」 

2015.03.22 Vol.639

 おもしろさって何か——。いつも考えてることではあるんですが、この間、改めて衝撃を受けたことがありました。

 先週末(13〜15日)、名古屋ドームで開催されていた『HAPPY MAMA FESTA』に出演しました。子育て中のママさんとかその家族が来るフェスなんだけど、大人気なんですよ。今年で3回目になるんですけど、毎回大きくなっていて、今年は11万人超の人が足を運んでくれたそうです。フェスには、よしもとの芸人もたくさん出演していて、僕らダイノジもその1組としてステージに立ちました。同じ日には「ラッスン・ゴレライ」の8.6秒バズーカーもいました。「ラッスン〜」ってすごいですね。子供から大人までみんながマネしてます。リズム芸という意味で、オリエンタルラジオもやって見せたりして、大きな話題にもなりました。

 彼らの出番を見ていたんですけれども、すごく不思議な気持ちになっちゃった。彼らが登場すると大きな笑いが起きて、客席がワーってなってすごい盛り上がりです。それで「ラッスン〜」って始めたんですけど、客席はみんな優しく温かく見守ってるというか、「そう、これだよね」みたいな雰囲気なんですよね。なんだこれって思いました。

 今の時代、おもしろいって感じるには、自分が参加することが重要なんでしょうね。それがエンターテインメントであり、面白いと感じるってことであり、参加していくという文化みたいなね。「ラッスン〜」って自分がやってみるからおもしろさを感じる。周りの人に対してやってみて、やってみた動画をアップしてみんなでシェアして……。その現象の一コマ、感動の一コマに自分が入れることにおもしろみを感じているんだろうな。昨年は大行列になっていた店が、今はそうでもないみたいなのがあるじゃないですか。あれって、味もあるんだろうけど、並ぶこと、つまり行列に参加することの楽しさっていうのが大きいよねって思うんです。そう考えながら、僕が芸人をやっていくうえで向かい合わなければならない相手っていうのは、こういった人たちなんだとも思いました。

 参加することって確かにおもしろいよね。こうしたフェスだったり、音楽フェスだったり、自分が出演していても出ている人を見ていても、おもしろいって思いますから。そういう中に僕がいること、いられることが本当におもしろいし、楽しいです。

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