プロ野球の楽天が米大リーグ、ヤンキースからフリーエージェント(FA)となっていた田中将大投手(32)と2年契約で入団に基本合意したと1月28日に発表し、30日に東京都内で入団会見が行われた。2年契約で推定年俸は9億円プラス出来高払い。背番号はかつて在籍時に背負った「18」となる。
田中は「とてもワクワクしている。こだわりたいのはチームの日本一。(メジャーを経て)成長した姿を見せたい」と意気込みを語った。
今年は本拠地がある東北地方に甚大な被害をもたらした東日本大震災から10年の節目を迎える。田中は「10年という数字は自分にとっても意味のあるタイミングなんじゃないかなと思い、今回の決断に至った」と再入団の要因に挙げた。
2年契約については「1年が終わったらまた話をする機会をもらっている。どうなるか分からないが、まだ米国でやり残したことあると思っている。選択肢は捨て去りたくなかった。腰掛けではなく、本気で日本一を取りに行きたい。まずは全力で戦う」とメジャーへの復帰も視野に入れる。また今夏の東京五輪については「(日本代表に)選ばれるのであれば、心から出たいと思っている。前回の北京五輪では(4位で)悔しい思いをした。自国開催で、金メダルを取りたい」と強い意欲を示した。
今回の電撃復帰の背景には、新型コロナウイルス禍で過去にないほど動きが鈍い米大リーグのFA市場があった。
ヤンキースとの7年契約満了でオフにFAになった田中は、米メディアによると年俸1500万ドル(約15億6000万円)以上を希望。一方、ヤンキースは昨季の首位打者ラメーヒューらと高額契約を結び、トレードなどで先発枠も整備。年俸総額を課徴金が回避できる2億1000万ドル以内に抑えたいこともあり、田中との再契約の可能性は低くなっていた。
一方、今季から石井一久ゼネラルマネジャー(GM)が監督を兼任する楽天は、田中がオフに球団施設を利用するなど良好な関係を継続。千載一遇の好機を生かし、田中が在籍した13年以来の日本一奪回へ、日米通算177勝右腕との契約合意にこぎつけた。